コロナ対策を優先すべし

17日にスタートを切った自民党総裁選も、残すところ1日。メディア各社は

各候補の獲得票予想と解説に忙しい。永田町では派閥所属議員の投票行動予想を

カラーで色分けした一覧表まで出回っている。今回は前回、前々回と違い、派閥

の締め付けがきつくないので、投票行動の予想が難しい。



 現時点では国民の人気の高い河野太郎候補が4割強の党員票を獲得して、リー

ドしている。しかし、一回目の投票で議員票と合わせて総得票数の過半数382

票を獲得するには至らず、1、2位による決選投票になることが確実視されてい

る。決戦投票では地方票が47票に減るため、382票の議員票の行方が結果を

大きく左右することになる。



 過去の総裁選では、最初の投票で1位だった候補が決戦投票で逆転されるケー

スが2回あったが、今回は直後に衆議院総選挙が控えている。比較的国民世論と

近い傾向にある党員票の結果を永田町の論理で逆転することは、総選挙にマイナ

スに働くことは間違いない。議員心理は自ずと党員票を尊重する方向に流される

だろう。



 私は5割の党員票獲得が判断基準の目安になると考えている。自民党員のみと

は言え、全国100万人余りの民意を反映する票数である。その過半数を占める

支持を得た候補を382人の国会議員の意思で覆すのはいかがなものだろうか。

現に河野氏陣営では「党員票の多数を得た候補を決戦投票で逆転すれば、批判さ

れて衆院選で痛い目に合う」とけん制する。これに対し閣僚経験者は「河野氏の

党員票が5割以上なら逆転は許されない雰囲気になるが、5割未満なら『反河

野』が半数以上いることになり、逆転は許される」と話す。


 
 決戦投票では派閥の論理も強くなると言われているが、そんな自民党の体質が

問われていることを忘れてはいけない。当選3回以下の集まりで、派閥中心の総

裁選びに異議を唱える「党風一新の会」の動きに期待したい。



 新しく選出された自由民主党総裁は、10月4日に召集される臨時国会で首班

指名を受け、第100代内閣総理大臣に就任し、組閣作業を経て新しい内閣が誕

生する。

その後本会議で新しい内閣の所信表明演説を行い、各党の代表質問を経て新政権

の基本姿勢が確認された後、衆議院は解散総選挙に突入する。



 総選挙はコロナ対策が大きな争点となりそうだ。しかし、私はこの問題は選挙

で争うべきではないと考える。パンデミックと言う国家的危機に際しては、与党

も野党も関係ない。必要があれば総選挙を少々遅らせても、医療体制の整備や経

済支援策等、当面のコロナ対策について党派を超えて臨時国会で議論し、できる

だけ多くの意見を集約して解決策を見出し克服すべきである。



 そして来るべき総選挙では、残った問題のみを争点にすれば良い、それが今、

政治が果たすべき責任だ。

自由民主党総裁選挙に臨んでの私の選択

長い政治生活の中で、自民党総裁選を戦うのは今回で9回目となるが、今回ほ

ど支持候補の選択に悩まされたことはない。

 過去2回は駆け出し議員の頃からの盟友である石破茂氏の推薦人として、選挙

戦の最前線に立っていた。今回も石破氏が出馬していれば推薦人に名を連ねてい

ただろう。しかし、彼は長考の末15日に出馬を断念、河野太郎氏支援を表明し

た。この時点で、私は支持すべき候補をゼロベースで再考せざるを得なくなった。



 私は前回のコラムで「国民の関心事に応える意味のある政策論争が行われるこ

とを、切に願っている。」と言及た。総裁選は日頃の党内での政策議論を党員・

党友の皆様に、さらには国民の皆様に披露する絶好の機会だ。

 自民党は責任与党として多様な国民のニーズに応える現実的な政策を推進しな

くてはならない。その立案のために、常に幅広い視点で議論を積み重ね、政府に

提言、提案を繰り返している。そして多分野にわたる議論を支えるのは、全国各

地から選出された多彩な人材である。総裁選での政策論争は、この日々の議論の

集大成でなくでならない。



 こういった視点で、改めて15日までに出馬を表明していた3氏の主要政策を

見渡してみた。確かに、コロナ対策を皮切りに外交、防衛、経済、エネルギーな

ど幅広い分野で政策論が競われているが、一人ひとりの個性を重んじるリベラル

な主張、相互に違いを認め合い社会の絆を再生する、やさしさにあふれる日本を

創るといった観点での政策諭が弱いのではないかと感じた。



 一方で、立候補に向けて活動を続けていた野田聖子氏からは、かねてより「石

破さんが出ない時は推薦人なって欲しい」旨、繰り返し要請を受けていた。野田

氏の主要政策は、子ども・女性・障がい者・介護・貧困問題など、社会的弱者に

重点を置いたものだ。

 本格的な人口減少時代を迎える今、少子化対策はもとより、女性や高齢者、障

がい者の活躍を牽引する政策が不可欠である。野田氏の “人口減少は国家有事”

との認識、少子化対策を国家の最重要課題と位置づけ、子どもへの投資をあらゆ

る課題解決のカギとする理論は、永年、教育政策に取り組んできた私の政策論と

も軌を一にするところがある。



 岸田文雄、高市早苗、河野太郎の3氏に加えて、野田氏が出馬することで、重

要な政策論点である人口減少社会を展望する議論が期待できる。政策論争の幅が

広がり、自民党国会議員の層の厚さを示すことができる。このように判断し、告

示日前日の16日に野田氏の推薦人になることを決意した。



 今回の総裁選、コロナ禍のため全国遊説は控えることとなる。一方で、29日

の投開票まで様々な形でのオンライン討論会が予定されており、YouTubeでも配

信されるだろう。党員・党友の皆様には、4人の候補者の主張を十分吟味のうえ、

一票を投じていただきたい。

政策論争を望む

“政界一寸先は闇”とはいささか言い古された言葉だが、このところの永田町

ではそんな出来事が頻発している。



 このコロナ禍の状況下ではまさかあり得ないと思ってはいたのだが、8月31

日夜、「菅義偉首相が9月中旬に解散の意向」との一報が永田町を駆け巡った。

毎日新聞のスクープで、一部のメディアもこれに続いた。解散報道は反菅サイド

から流されたとの説もあるが、「官邸関係者が明らかにした」とのトーンだった

ので、信憑性が高いとされた。総理が本当に考えていたかどうかは知る由もない

が、近々予定されている自民党総裁選や総選挙などの日程を睨み、選択肢として

検討されていたことは間違いないと思う。

 ただ、再選に赤信号が点滅する中、総裁選をすっ飛ばして解散を打てば自身の

保身を優先したと見なされ、党内はもちろん国民の支持を失うことは必至だった。



 伝えられている限りでは、31日深夜、安倍前総理、麻生元総理をはじめ菅政

権を支えてきた多くの重鎮や側近の小泉進次郎環境相が説得を試みたようだ。

 菅総理は翌9月1日午前のぶら下がり取材で自ら解散について言及、「いまの

状況では(解散は)できない」「まず新型コロナ対策最優先」「総裁選の先送りは

考えていない」と述べ、解散説を否定せざるを得なかった。この時点で、総理の

専権事項である“伝家の宝刀”と言われる解散権が事実上封印された。



 この解散騒ぎに先立ち菅総理が切ったカードは二階俊博幹事長の交代であった。

8月30日午後の首相官邸。首相が幹事長交代を含む党役員人事の検討を伝える

と、二階氏は「結構だ。降りてもいい」と応じたという。幹事長は公認決定や選

挙資金などの差配に大きな権限を有する。

  在任が歴代最長の5年以上に及ぶ二階氏は、その権力を行使して会長を務める

二階派を膨張させてきた。時に強引すぎるとも映る手腕に党内の不満は鬱積。安

倍氏や麻生氏ら重鎮もいら立ちを募らせていた。(内閣支持率が30%前後と

「危険水域」に低迷する要因として、世論を顧みない二階氏の言動を指摘する声

もあった)



 菅総理は3日開かれる臨時総務会などで一任を取り付け、6日(月)に党四役

を中心に人事の刷新を行い、内閣支持率を回復させ総裁選を有利に運ぼうとした

のだろうが、総裁選を経ずしての直前の人事は論理的にあり得ない。

 解散と党人事をめぐるこれらの騒ぎは、個利個略、自らの保身としか見えず、

総理は急速に求心力を失う。結局人事は行き詰まり、3日午前の役員会で突然の

辞任表明となった。



 予想もしなかった総理の不出馬、退陣表明によって、総裁選の顔ぶれも展開も

大きく変化した。週末10日には、河野太郎行革担当大臣が出馬表明。今回は出

馬しないと見られていた石破茂元幹事長も、局面が変わったとし出馬を検討して

いる。すでに出馬を表明しいている岸田文雄前政調会長、このほど出馬会見をし

た高市早苗元政調会長のほかに、野田聖子幹事長代行も推薦人集めに奔走してい

る。女性候補が2人も俎上に登るなど、多彩な顔ぶれが予想される。



 私は過去2回の総裁選では石破氏の推薦人に名を連ねた。その石破氏は週末時

点で「前2回は負けると分かっていても戦う意味があったが、三度続けて負ける

戦いに同志を巻き込む訳にはいかない。勝機があるか、情勢を見極めたい」との

こと。氏にとって今回は5回目のチャレンジ、出馬するとなると氏の政治生命を

左右する最後の戦いである。私からは言うべきことは伝えた。今はただ氏の判断

を待ちたい。



 コロナ禍の総裁選として運動面で最大限の配慮をすることは当然であるが、直

後に控えた総選挙での党の顔となる総裁を決めるとともに、次の総理を決める選

挙でもある。候補者の主張がそのまま総選挙の公約になるとともに、次の政権の

政策になる。誰を選ぶかも重要であるが、単なる「コップの中の嵐」と言われな

いように、国民の関心事に応える意味のある政策論争が行われることを、切に

願っている。


自民党総裁選

9月17日告示、29日投開票の日程が正式に決まった自民党総裁選挙。昨年

9月の総裁選は、安倍晋三総理の突然の辞任に伴い実施されたため簡易型となっ

たが、今回は党員・党友投票も行われる“フルスペック”の総裁選である。全国

の自民党員・党友の意見が反映される地方票が加わることで、より国民世論が反

映される結果となることが予想される。



 この総裁選をめぐっては、「コロナの感染拡大の最中で、総裁選はやるべきで

ない」とか、「菅義偉総理では選挙に勝てないから顔を変えると言うのはおかし

い。国民の理解は得られない」と言う意見も出ていた。

 しかし、これらの主張は違っているのではないかと私は思う。今回の総裁選は

任期満了に伴うもので、いわゆる「菅降ろし」が目的ではない。むしろ実施しな

ければ、党員・党友の権利を奪うこととなるだ。内閣支持率は危険水域にまで下

がり、若手議員を中心に執行部への不満が拡がりつつあり、菅総裁に対する求心

力も著しく低下してきている。総裁選は総理にとっても党員・党友への説明責任

を果たせる絶好の機会となる筈だ。

 なので私は、終始「予定どおり総裁選を行うべし」と主張し続けてきた。コロ

ナ禍で行われる今回の総裁選、全国規模の遊説や候補者支援の集会等の実施は難

しいだろう。それでもソーシャルメディアを通じての討論会など、候補者の考え

方や人となりについての情報発信は可能である。



 そして、党員・党友の総意で総裁を選ぶためにも、国会議員の派閥力学や数合

わせで勝敗が決まってしまう総裁選にしてはならない。昨年の菅総裁選出時にみ

られたように、自ら所属する政策集団(派閥)の中からの候補者が出ないのに、

派閥が一致結束して特定の候補支援を決め、選挙前から結果が明らかになるとい

った事態は絶対に避けるべきだ。そんなことを繰り返せば、国会議員と地方との

分断が進み、国政への不信を招くだけだ。

 今回の総裁選は国民政党の選挙戦として、透明性の高い開かれた論戦により次

代のリーダーを選ばなければならない。そして、デジタル時代に相応しい手法で

候補者の主張を分かりやすく展開し、国民に自民党政治家の層の厚さを訴えなく

てはならない。



 一方、衆議院の任期満了(10月21日)が近づく中、野党は臨時国会の早期

開催を要求している。内閣支持率が低迷する中で、少しでも有利な状況下で解散

に追い込もうとする意図があるのだろうが、私はこの挑戦から逃げることなく、

受けて立ったらよいのではと思う。



 総裁選を国会審議と同時並行で行うことも可能だろう。国民はコロナ対策に関

する対策の充実を求めている。国難の時にあって、政治休戦してコロナ問題に特

化した議論をすればよい。本会議や委員会での議論はコロナに限り、それ以外の

政治的主張については党首討論の機会を設けてみてはどうだろうか。菅首相に

とって、コロナ対策に関する国民の不信感を取り除く絶好のチャンスとなり、国

民にとっても与野党トップの論戦は、来るべき衆院選に向けて、分かりやすい論

点整理の機会になるのではないか。



 総裁選は現時点で菅総裁と岸田文雄前政務調査会長の出馬が確定しているよう

だが、最終的にどのような顔ぶれになるのかは、今後の党内情勢次第である。私

自身の選択については、候補者が出揃い、それぞれの主張が明確に示されてから、

判断するつもりだ。

 政治不信が蔓延し、無党派層と言われる国民が増えつつあるのが現下の政治情

勢である。総裁選が政治への信頼回復に繋がるような形で行われるよう、志を共

有できる仲間に呼びかけていきたい。



※フルスペック総裁選とは
党所属国会議員(383人)と党員・党友による国会議員票と同数の地方票(3
83票)の合計(766票)で争われる。地方票はドント方式を採用し、各候候
補に割り当てられる。1回目の投票で有効票が過半数に達しない場合、上位2人
の決戦投票(議員票と各都道府県1票)となる。
 党・政治制度改革実行本部長として私が2013年秋に取り纏め、翌1月の党
大会で承認された。

今年の終戦記念日

57年ぶり2度目の東京五輪には、205カ国・地域(ロシアは個人資格で出場)と

難民選手団をあわせて約1万1,000人の選手が集い、史上最多の33競技339種目で

熱い戦いが繰り広げられた。

 残念ながら、新型コロナウイルスの影響で殆どの会場が無観客となったが、そ

の中でも日本代表の活躍は目を見張るものがあった。金27個、メダル総数58個の

獲得は、ともにこれまで最多(金は前回の東京と2004年アテネの16個。総数はリ

オの41個)を大幅に更新した。8日の閉会式で五輪旗は次回の開催地パリ市に引

き継がれ、大会は無事幕を閉じた。



 開催の可否をめぐって国論を二分した東京大会であったが、世論調査では五輪

開催が「よかった」が56~64%、「よくなかった」は34~28%となった。日本人

選手のメダルラッシュもあって、国民世論は一応好感を得た形だ。

 一方で、政府への評価は厳しい。直近の菅内閣支持率はメディア各社とも過去

最低(28~35%)となっている。昨年9月の政権発足時には軒並み70%台をキー

プしていたが、多くの調査で3割を切る状態だ。不支持率は53~54%と大変厳し

い状況にある。オリンピック開催中にもコロナ感染が拡大し続け政府に対する不

満だろう。永田町では内閣支持率が30%を切ると、政権が危険水域に入ったと認

識される。政府・与党が期待した五輪による政権浮揚への思惑は夢に潰えたよう

だ。



 菅義偉自民党総裁の任期は9月30日まで。党内からはそろそろ総裁選について

様々な意見が聞こえてくる。高市早苗前総務相が10日発売の月刊誌“文芸春秋”

で出馬意欲を表明したのに加え、中堅・若手も独自候補擁立を模索しているとい

う。

 私はこんどこそ、党則に従って党員・党友投票によるフルスペックの総裁選を

行うべきであると考えている。複数候補による国民目線に立った本格的な論戦を

おこなうことで、国民政党としての活性化を図るとともに国民の政治参加が促進

できるからである。ただ、コロナ下での総裁選のあり方については、最大限の感

染対策が求められることは言うまでもない。



 話は変わるが、今年のお盆休みは五輪の関係で7日(土)スタートが多い。コ

ロナウイルスの感染者数が過去最大になったとの報告が各地域から相次いでいる

中でのお盆休み。地元兵庫県でも12日に728人と過去最大となり、緊急事態宣言

の発出を検討していると報道された。

 毎年この時期は1年間の間になくなられた方々の初盆のお参りが恒例となって

いるが、最近は家族葬が大半となり、お参りを辞退されることも多い。

 現在の衆議院議員の任期は10月21日までだが、コロナ対策で国民の皆様に自粛

をお願いしている立場上、この時期に思うように動けないのは悩ましい。


 
 15日の終戦記念日は日本武道館で恒例の政府主催「全国戦没者追悼式」が行わ

れる。初当選から今日まで、私はこの日には必ず上京し式典に出席してきた。日

本の礎を築いた戦没者に追悼を捧げ、この国の未来を考えることは国政に参加す

る者としての責務と考えるからだ。

 ただ、今年は4度目の緊急事態宣言下での開催となるので、出席人数が大幅に

制限され、残念ながら式典への出席は叶わないが、今年の15日も例年と同じく先

人に感謝し、この国の「未来への責任」について決意を新たにしたいと思う。



 *前線停滞による大雨で被災された方々に、お見舞い申し上げます。

ニッポン

開催の賛否をめぐって国論が二分された東京オリンピックも開会から早や一週

間が経過した。開催都市に非常事態宣言が発出されるという状況のもと、ほとん

どの競技が無観客という苦渋の選択を余儀なくされた大会である。国民の皆さん

がどのように評価されるか、些か心配していたのだが、前半戦から日本選手の活

躍が次々と報じられ、今のところ大いに盛り上がっているように感じる。



 朝刊の一面には、連日、金メダルを手にしたオリンピックチャンピオンの笑顔

が弾け続けている。水泳女子個人メドレー200mと400mの二冠を制した大橋悠依

選手。卓球では混合ダブルス世界ランク2位の水谷隼・伊藤美誠選手が五輪史上

日本人はじめての金メダルを獲得した。また、1896年の近代五輪アテネ大会から

競技種目であったフェンシング男子エペ団体優勝、日本勢初の快挙を成し遂げた。

 お家芸の柔道競技では、五輪同日金メダルを決めた阿部一二三・詩兄妹をはじ

めメダルラッシュ(金9、銀1、銅1)が続いている。30日現在の日本のメダル

獲得数は金17、銀4、銅7個。金メダル獲得数は過去最多の前回東京大会の16個を

すでに上回っている。



 2008年北京大会以来、久々に復活した女子ソフトボールでは、宿敵米国を決勝

で2対0で下し優勝。エース上野由岐子選手の13年前と変わらぬ熱投は、多くの

人々の感動を呼んだ。

 体操男子の個人総合では体操ニッポンの若きエース19歳の橋本大輝選手が、最

終種目の鉄棒で大逆転で優勝、団体でも首位と僅差の2位で銀メダルを獲得した。

 今回初めて採用されたスケートボード、サーフィン競技でも日本の若い力が躍

動した。国際的舞台で活躍する彼らの姿に我が国の未来の可能性を垣間見た思い

がする。



 反面、鉄棒で落下した体操界のレジェンド内村航平選手、金メダル最有力と言

われながら予選で敗退した桃田賢斗選手、同じく競泳の瀬戸大也選手など、期待

に応えられず悔し涙を流した選手も多い。開会式で聖火の最終ランナーを務めた

大坂なおみ選手もその一人だ。オリンピックは何が起こるか分からないと言われ

るが、まさにそのとおりである。

 勝利して流すうれし涙、敗れて流す口惜し涙。涙の種類は違っても選手の涙は

見る人に感動を運んでくれる。メダルの色は違っても、表彰台の選手たちは最高

に輝いている。多くの感動を運んでくれた選手たちに、心から拍手を送りたいと

思う。


 
 大会が盛り上がる一方で気がかりなのは、新型コロナウイルスの感染拡大であ

る。29日には全国の感染者数が10,000人を超え、30日には緊急非常事態が首都圏

3県と大阪府にも発出されることが決定された。

 感染拡大とオリンピック開催の関係が取り沙汰されているが、そのような議論

に時間を割くよりも、ワクチン接種を如何にして加速するか、不要不急の移動を

如何にして抑制するかを議論し、早急に具体的手立てを講じるべきである。さら

には、コロナ対策の切り札となる治療薬の開発も急がなければならない。私が会

長を務める科学技術・イノベーション戦略調査会の“医療分野の研究に関する小

委員会”の出番である。



 緊急事態宣言下のオリンピック開催の是非についての評価は、歴史の判断に委

ねることとしたいが、TOKYO 2020が「やって良かった」と言われるような結果に

なることを切に願っている。そのためにも、国民の不安が解消され迅速かつ適切

な対応が政治に求められている。

解散総選挙は?

4日に投開票が行われた都議選は、自民党がなんとか第1党に返り咲いたもの

の、公明党とあわせて過半数との当初目標には大きく届かなかった。

過去の都議選の結果は直後の国政選挙に連動している。例えば、1993年の都議選

では日本新党が2議席から20議席へと大幅に議席数を増やしたが、その日本新党

が衆院選でも大躍進、非自民の細川護熙連立政権が誕生した。また、2009年の都

議選では自民党が大敗し、民主党に第一党を譲ったが、続く衆院選でも民主党が

大勝し、政権交代に繋がった。

これらの前例から推測すれば、政権与党である自公にとって秋の総選挙は厳しい

戦いにとなることは間違いないだろう。



 そもそもこの1年半の政府のコロナ対策に批判的な方々の票は野党に流れるで

あろうし、今後、ワクチン接種が予定どおり進まず、感染拡大が収束しなければ

浮動票も与党から離れることは必然だ。また、実質無観客で開催されることとな

ったオリパラ東京大会の成否も、少なからず影響する。大会がさらなる感染拡大

の一因となるような事態を招けば、政権の信頼失墜は間違いない。さらには、こ

こ兵庫県では保守分裂で激しく戦っている知事選挙のしこりも当然残るだろう。



 そんな状況下、衆院議員の任期満了まで3カ月余りとなった現在、政局の最大

関心事は、いつ解散総選挙が行われるかと言うことになる。  

解散総選挙のシナリオを考える上で今回は検討要素が二つある。

第一は自民党総裁選。菅総裁の任期は9月30日までなので、総裁選規程では9月7

日に告示され、月末までには総裁選が行わなければならない。今回は党員投票も

正式な形をとるので、それらの日程の考慮も必要になる。

第二はコロナワクチン接種状況。これまでの菅総理の発言を考えると、ワクチン

接種によりコロナの感染拡大に一定の目途がつくまでは、解散総選挙は行わない

ものと考えられる。



 オリパラ期間中に解散することも論理的に可能であるが、常識的にはない。な

ので、前記の2点を考慮した上で、憲法や公職選挙法第31条の規定に当てはめる

と、解散総選挙のシナリオは次のように整理される。

 シナリオA  オリパラ閉幕後に臨時国会を召集。冒頭解散もあるが、景気対
策の補正も取り沙汰されているので9月中旬解散?憲法の規定で解散後40日以内
に選挙となるので、投開票日は10月3、10、17日の日曜が有力となる。

シナリオB  10月21日まで臨時国会を開き任期最終日に解散した場合は、11月28日(日)の投開票も可能となる。

シナリオC  解散なしで任期満了となった場合、公職選挙法では「総選挙は議員の任期が終わる日の前30日以内に行う」と定められているので、9月26日、10月3、10、17日のそれぞれの日曜が対象となる。

つまり、国民の審判が下る総選挙は最も早いケースが9月26日、遅い場合でも11

月28日が投開票日となる。なので、永田町のこれからの動きは、すべて来るべき

衆院選を意識したものにならざるを得ない。(ただし、われわれ兵庫県の衆院議

員には、自民党分裂の構図となった県知事選が1週間後に控えているが…。)い

ずれにしても、暑い夏になりそうだ。



追伸:静岡県熱海地区で豪雨による土石流などの被害を受けた方々に心からお見舞い申し上げます。あわせて被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。

引き際

現在の衆議院議員の任期は今年の10月21日。それまでには必ず衆院選が行われ

る。その前哨戦とも言える東京都議選が25日に告示され、7月4日の投開票日にむ

け激しい選挙戦がスタ―トした。開催をめぐって国論を2分している東京五輪・

パラリンピック開催を目前にした首都決戦となるだけに注目度は高い。



 焦点は、4年前の都議選で大躍進した地域政党「都民ファーストの会」と歴史

的大惨敗を喫した自民党との対決の行方。小池百合子知事が特別顧問を務める都

民ファーストの会が一定以上の議席を維持するか否かだ。我が自民党としては、

第一党の地位奪還と自公での過半数確保をめざしている。



 続いて兵庫県では知事選が7月1日告示、18日投票で実施される。我が党が分

裂状態で選挙戦を迎えてしまったことは遺憾ではあるが、私としては自民党推薦

の齋藤元彦氏の応援のため汗をかきたいと思う。

知事選が終わり、オリパラ東京大会が閉幕すれば、いよいよ総選挙の季節が訪れ

る。長期予報では、今年の夏は暑くなりそうとのことだが、われわれ衆議院議員

にとってはことさらに暑い夏になりそうだ。



 ところで来るべき衆院選を前に、ここ数日びっくりさせられるニュースが飛び

込んできた。まずは愛媛1区選出の塩崎恭久元厚労相・官房長官(70)の引退表

明。不出馬の理由には、「政策課題が形になり区切りがついた」ことや「妻の体

調」を挙げられていた。

塩崎さんとは昨年来、新型コロナ変異株サーベランスで「官民連携ゲノム解析

チームの体制整備」について、共に汗をかいてきた強力なパートナーである。既

に解析チームのプロジェクトはスタートしているが、元厚生労働大臣の塩崎さん

と元文部科学大臣の私が省庁の垣根を越えて協力できたからこそ、このプロジェ

クトが実現できたと自負している。先日も実施状況をフォローアップする必要が

あると、話し合っていた矢先の引退表明、非常に残念でならない。



 また25日には、長崎1区選出の冨岡勉議員(72)が、世代交代や自身はさらに柔

軟な社会活動へ取り組んでいきたいことを理由として、出馬を断念したと発表。

冨岡氏は長崎大学の医師であり、特に再生医療では「超党派の再生医療を推進す

る議員の会」の幹事長として中心的な役割を果たしておられた。日本の再生医療

を世界のファーストランナーに押し上げた原動力である、「再生医療関連法案」

成立の最大功労者でもあった。



 党の政務調査会や議連の会合で毎日のように顔を合わせ、ともに議論していた

彼らの突然の引退宣言に、同年代である私としては少なからずショックを受けて

いる。彼らにはまだまだわが国ためにやっていただきたかったことがあっただけ

に、とても残念であるが潔いとも言える。その決断には敬意を表したいと思う。



 この他にも、三重4区選出の三ツ矢憲生・元外務副大臣が体調を理由に、国家

公安委員長の小此木八郎氏が横浜市長選立候補するためなど引退表明が続いてい

るが、現状の国政に失望したのでなければと思うのは、私だけなのだろうかと考

えたりもする。



 彼らのFacebookなどを見ると、引退を惜しむ声が数多く寄せられている。

すでに再選を目指し秋の総選挙に立候補を決意している私ではあるが、政治家は

いつかは政界から身を引く時が来る。その時には、惜しまれて引退したいものだ

と今から考えている今日この頃の私である。



雨後の筍

今国会での成立が予定されている法案も、土地取引規制法案を残すのみとなり、

会期もあと僅か。政治の舞台は国会での論戦から7月の都議選、または秋までに

行われる衆院選や自民党総裁選へと移っていく。



 毎年この時期に作成される、来年度予算編成にむけた政府の成長戦略と経済財

政運営に関わる基本方針(いわゆる骨太方針)の党内議論も終了した。比較的静

かになってきた永田町ではあるが、党内ではこのところ派閥の幹部が発起人にな

る新しい議員連盟が“雨後の筍”のように次々と設立され、政局の匂いをかぎとっ

てかメディアの注目を集めている。その皮切りとなったのが、前回コラムで言及

した「半導体戦略推進議員連盟」だが、先週末にも新しく2つの議連が発足し物

議をかもしている。



 一つは経済政策を新たに議論する議連で、会長は岸田文雄前政務調査会長。半

導体議連同様AAAが雛壇に並んだ設立総会には週末の午後にもかかわらず自民

党国会議員145人が出席した。岸田会長は、一部の富裕層に偏っていると指摘さ

れる富の再配分の在り方などを議論したいとした上で、「国民が幸せを感じられ

る資本主義のモデルを考えたい」と訴えた。



 続いて、開始時間を1時間ずらして開催されたのが甘利明税制調査会長をトッ

プとする「未来社会を創出する、バッテリー等の基盤産業振興議員連盟」。EV

=電気自動車の基幹部品となる蓄電池の競争力強化を目指す議連である。安倍氏

はここでも最高顧問に就任し、会の冒頭であいさつをしている。設立趣意書には

次世代の電池開発について「これを制するものが世界を制すると言っても過言で

はない」と強調され、経済安全保障の観点から安定的なサプライチェーン(供給

網)の構築する必要性も指摘している。



 さらに、15日には二階俊博幹事長が「自由で開かれたインド太平洋」を推進す

るための議連を発足することが決まっている。が、半導体議連勉強会と開催時間

が重なり、双方に参加している私はどちらに出席したものかと頭を痛めてい

る・・・。



 そんな中、政局とは全く関係ない議連が立ち上がった。持続可能な財政を実現

する目的で設立された「独立財政推計機関を考える超党派議員の会」である。

 政府から独立し経済や財政、社会保障の将来推計をおこなう機関の国会設置を

目指す。

 林芳正(自民)、逢坂誠二(立民)両氏のほかに、松本剛明(自民)、浅田均

(維新)、古川元久(国民)、西田実仁(公明)、大門実紀史(共産)の7氏が

共同代表。発起人には39人が名を連ねた。


 
 10日の設立総会で共同代表発起人の林参院議員は、「諸外国の動向を踏まえ、

この機関の設立は国会の機能強化であり、超党派で取り組むべき課題だ」と、逢

坂衆院議員は「国会の予算に対する機能は極めて弱い」と問題視した上で、「緊

縮・拡大財政のいずれを考える上でも、国会がしっかりとした機能をもって財政

推計できるのは極めて大事だ」と述べた。



 独立財政推計機関は政府の判断や推計に左右されず、国会が客観的なデータを

基に財政運営の監視機能を果たす。実現すれば、政府提出データをめぐる国会で

の不毛な議論がなくなるだけでも大いに有用である。リーマンショックや欧州債

務危機を経て、経済協力開発機構(OECD)の大半の国で導入されている。日本で

も一日も早く実現すべきと考えている。



 あれやこれやで今年もはや半年が過ぎようとしている。すでに30度を超える夏

日が到来し、今夏の猛暑が予感される。7月にはふるさと兵庫の知事選が行われ

る。秋までにはわれわれ衆議院議員は、必ず国民の審判を仰がなければならない。

 何かとストレスの多い毎日が続いているが、我らが阪神タイガースの快進撃、

首位独走が心に潤いを与えてくれる、今日この頃である。



 AAA=安倍内閣のキーマンだった安倍、麻生、甘利のイニシャルから、メディ
アはスリーエーと呼ぶ。

「半導体戦略」ジャパン・アズ・ナンバー・ワン・アゲイン

先週末21日、自民党は日本の半導体産業のあり方を議論する議員連盟を立ち上

げた。“産業のコメ”と言われる半導体は昨年の秋ごろから世界的に深刻な供給

不足に陥っている。コロナ不況に対応した減産規模が大きすぎたため、景気の急

回復に対応できない状況だ。

 しかも、現在の半導体の生産状況は、台湾積体電路製造(TSMC)など半導

体の受託生産は特定国の一部企業に集中している。4月の日米首脳会議の共同声

明には「台湾海峡の平和と安定の重要性」との文言が明記された。仮に台湾有事

が起きれば半導体の供給が一層滞り、自動車などの主要産業に甚大な影響を及ぼ

す恐れがあるからだ。



 議連は半導体を確保するサプライチェーン(供給網)構築が、自動車をはじめ

とする国内関連企業の競争力強化に不可欠と考えている。わが国およびわが国産

業界の生き残るための戦略的課題と言えよう。

 議連の会長に就任したのは、党で経済安全保障の議論を主導する甘利 明衆議

院議員。安倍晋三前総理や麻生太郎副総理・財務相の首相経験者二人が最高顧問

に名を連ね、私も顧問に就任することとなった。



 設立総会では、AAA(甘利、安倍、麻生)が、ひな壇に勢ぞろい。

安倍政権の主役3人の揃い踏みに、普段はこの手の議連には寄り付きもしない記

者が、ところ狭ましと多数出席していたのは、政局絡みとみたのであろうか?

もちろん、議連は政局とは一切関係ないのだが、金曜午後3時開始と言う時間帯

にも関わらず出席議員も100名を超えた。会費室は異例の満タン状態で、コロナ

下の会議の持ち方としては反省しなければならない。



 甘利会長は代表発起人としての挨拶で、「半導体を制するものが世界を制す

る」と指摘した上で「日本はこんなものじゃあない!『ジャパン・アズ・ナン

バー・ワン・アゲイン』を目指して先陣を切っていきたい」と力強く言い放った。

安倍氏は自らがダボス会議で提案したDFFT(data free flow with trust)

を念頭に、「同士国・地域と手を結びながら、実力を大いに強化しなければなら

ない」と強調した。



 サプライチェーン強靭化のため、国家として整備すべき重要半導体の種類を見

定めたうえで、必要な半導体工場の新設・改修を国家事業として主体的に進める

ことが必須である。具体的には、先端半導体を国内で開発・製造できるよう、先

端ファウンドリ(半導体チップ組立生産工場)の国内立地や、総合的な半導体開

発に不可欠な4分野(メモリー(記憶回路)、ロジック(演算回路)、アナログ

(信号処理)、パワー(省エネ化))それぞれの研究力強化等について、政府と

して他国に匹敵する規模の支援措置を早急に講ずるべきである。



 1980年代には世界の半導体市場で50%超のシェアを占めていた日本企業であっ

たが、日米半導体摩擦の影響や韓国勢などの台頭を受け、工場は陳腐化・老朽化

し存在感は低下していった。一方、デジタル化が進展し米中の覇権争いが激化す

る中、半導体の戦略的重要性は益々高まっている。



 議連は設立趣意書で半導体を「日本の経済安全保障上、不可欠」と位置づけ、

米国や台湾、韓国などを念頭に生産を後押しする強固な供給網づくりを進めてい

く。同時に、研究開発や人材育成にむけた基金の創設や米国企業との資本連携と

いった対策も検討課題に据える。日本企業は半導体の材料や製造に必要な装置で

は高いシェアをもつ企業が多いものの、製品としての組立出荷は台湾や韓国など

他国の後塵を拝している。



 甘利会長は新国際秩序創造戦略本部で経済安保政策の立案を担う立場にもある。

戦略本部では近々「経済財政運営と改革の基本方針2021」にむけた提言をまとめ

る予定だが、その中でも半導体は「戦略的自立性」「戦略的不可欠性」の両面に

おいて最重要技術に位置づけられている。



 バブル崩壊以降のわが国経済の停滞は、海外への技術移転に伴う国内産業の競

争力低下が主な原因だ。半導体市場の戦略的な再構築の過程においては、経済効

率性だけでなく、価値観をともにする国々と連携し、バランスのとれた国際市場

の形成にわが国が積極的に関わっていかなければならない。

 いまがラストチャンス!今後精力的に議論を重ね、日本の存在感を高めていき

たい。「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン・アゲイン」を目指して。