年頭所感2022

明けましておめでとうございます。健やかな新春をお迎えのことと、お慶び申しあげます。

昨秋の第49回衆院選において10回目の当選を果たすことができました。これもふるさと東播磨の皆様の支えがあったればこそと、改めて御礼申し上げます。

 9月に発足した岸田政権は、アフターコロナの我が国経済の成長戦略のど真ん中に、科学技術・イノベーションの推進を据えました。科学技術に大胆に投資し、大いに振興することによって、日本の成長力、国際競争力を高めようとするものです。

 私のライフワークも科学技術政策の充実です。昨年は10兆円規模の大学ファンドを創設し、研究開発や人材育成に対する支援を飛躍的に向上させる取組を立ち上げました。岸田政権の戦略を加速するためにも、さらに各種政策の立案と実行に力を注ぎ、「人材教育とイノベーションの力で日本の未来を創る」という私の夢の実現をめざします。

 我が国の現行憲法は制定から70年余り、一度も改正されていません。国際情勢や社会規範の変化に応じて、新たな法を定め、古くなった制度を改めていくのが立法府の責務です。国家の基本法といえども法律の一つ、必要に応じて時代に適合した姿に改めていくべきものでしょう。憲法改正は、我が党の党是です。改正国民投票法も成立し、手続きは整いました。安全保障や緊急事態への対処方策、新たな権利や義務の導入等々、いよいよ本格的な議論を始動する時。各党との議論も進め国民の広い理解を喚起していきます。

 今年こそは、新型コロナウィルスとの闘いに終止符を打ち、数十年後の未来を見据えた「日本の在り方」を定める節目の年になると考えています。再び”ジャパン・アズ・ナンバーワン”と呼ばれる日をめざすべく、日々努力を重ねてまいります。

 年頭にあたり皆様のより一層のご健勝とより一層のご活躍を祈念致しますとともに、本年も引き続いてのご支援、ご指導の程よろしくお願いいたします。

年の瀬2021

先週末24日には令和4年度予算案が閣議決定され、永田町も霞が関界隈もすっかり静かになりつつある。来年度の一般会計予算の総額は107兆5964億円、今年度の当初予算を9867憶円上回って過去最大となった。

 

思えば、私が初めて当選した頃の閣議決定は、もっと暮れも押し詰まった時期だった。まず、20日頃に財務省(当時は大蔵省)から内示があり、それを契機に政務調査会の部会を中心に議員が一斉に動き出す。霞が関の各省庁政務次官(当時)室には夜食や飲み物が用意され、関係者や多くの議員が激励に訪れていた。新人議員の頃は、夜になると省庁を片っ端からハシゴしていたものだったが、今はそのような風景は全く見られない。

 

現在では、シーリング(概算要求基準)の徹底などで実質的な予算折衝はかなり早い時期に決着しており、大臣折衝は単にセレモニーとして行われることが多い。今年も21日に臨時国会閉幕とともに、まだ予算編成中にもかかわらず党本部は閑散とした状況になった。「霞が関マフィア」と呼ばれ、省庁をハシゴしていた頃が少しばかり懐かしい。

 

年末恒例の今年の漢字は「金」。振り返れば、東京オリンピック・パラリンピック、総裁選、総選挙と非常に中身の濃い1年であった。また、昨年に引き続きコロナ対応に追われた1年でもあった。

 

ワクチン接種も進み一時は終息に向かうかに思えた新型コロナウイルス感染症だが、新種の変異株であるオミクロン株の出現により、海外では再び感染が拡大している。水際対策の強化で新株の侵入を防止しようとした我が国だが、徐々に市中感染が広がってきてしまった。ある程度の感染拡大は覚悟し、医療体制の充実を急ぐ必要がある。

 

そんな2021年もあと1週間を残すのみ。平年であれば、我々にとって年末年始は忘年会や新年会と繁忙期であるはずだが、昨年に続き今年も、案内は極めて少なくなっている。この機会に溜まっている資料に目を通したり読書に勤しんだりしながら、この国の行く末について改めてじっくり考えてみるのもわるくない・・・などと思う年の瀬である。

論戦スタート

このところ急激に感染が広がっている新たな変異ウイルス、オミクロン株。11日時点でのまとめでは、57の国と地域で確認されていると、報じられている。我が国では空港検疫などで10日までに13人の感染者が確認されたものの、今のところ市中感染はない。

オミクロン株については、「感染力は強いものの、重症化する様子はあまり見られていない」との情報もあるが、最終的な毒性の判断にはもう少し時間が必要だろう。

新型コロナ第5波の猛威は漸く収束してきたが、間もなく年末年始の人流が増える季節となる。オミクロン株の侵入やデルタ株の再興に対する十分な備えを取らなくてはならない。

その対策の一つがワクチン接種だ。

すでにわが国では人口1億2,622万人のうち接種者は1億人(79.0%)を超え、2回目の接種者も97,941万人(77.3%)を数えている。だが、ファイザーワクチンの接種効果が半年後に半減したというデータがあり、オミクロン株の拡大懸念からも3回目の接種が必要と言われている。

政府は当初、3回目の接種間隔はおおむね8か月以上とする方針であったが11日、高齢者や重症化リスクの高い人などをはじめ地域の実情に応じて6か月以上とし、前倒し接種を可能とした。

ここに至る過程で厚労省は6か月だと供給が間に合わないと逡巡していたが、党からの強い要請により方針が変更された。前二代の政権では「政高党低」(党より政府の力が強)とよく言われたが、“人の話をよく聞く”「政高党高」の岸田内閣となり、バランスの良い

政党政治へと着実に変化しつつある。

18歳以下への10万円給付についても、現金とクーポン併用支給を原則としている政府に対しても、各地の自治体から全額現金にすべきだとの声が相次ぎ混乱が続いている。

岸田総理は代表質問の答弁で柔軟対応を示唆してはいるが、条件付きで分かりにくく歯切れが悪い。事務処理の簡便さから、ほとんどの市町村が現金支給を希望している模様だ。条件をつけずに市町村の選択に任せるべきである。国家の命運を左右するような問題ではない。方針変更をためらうべきではない。

国会では各党の代表質問に続き、13日から衆院予算委員会で令和3年度の補正予算案の実質的な審議が始まる。岸田政権にとっては初めての予算委員会、代表質問とは異なる一問一答の本格論戦である。

与党側は、新型コロナ対策の強化や経済の立て直しに向けて、審議を着実に進めて来週半

ばには補正予算案の衆院通過を図りたい考えだ。対する野党側は、10万円給付をめぐる政府方針の混乱を質すと言われているが、議論すべきはそれだけではあるまい。

今の日本には解決すべき課題が国内外に山積している。総選挙を経て野党の構成も大きく変わった。野党第一党・立憲民主党にとっても泉健太新体制で臨む初の委員会審議である。これまでとは違った、実りある論戦が行われることを期待したい。

それが政治改革の第一歩となると私は確信する。

近況報告

政府は19日、臨時閣議を開き、1.新型コロナの感染拡大の防止 2.「ウィズコロナ」下での経済社会活動の再開と次なる危機への備え 3.未来社会を切り開く「新しい資本主義」の起動 4.防災・減災、国土強じん化の推進など安全・安心の確保、を柱に据えた新たな経済対策を正式に決定した。財政支出は過去最大の55.7兆円で、民間資金も入れた事業規模は78.9兆円となる。

4本の柱の中で今後の日本経済の針路を示すのは、「新しい資本主義」への起動である。賃上げを行う企業への税制支援、看護・保育・介護の現場で働く人々の給与引き上げ、最低賃金引上げ助成など経済的弱者を支える分配戦略に意を用いつつ、分配すべき糧を拡大する成長戦略にも力点を置いている。

なかでも、注目すべきは成長戦略のど真ん中に科学技術イノベーション政策が据えられていることだ。その核となる大学の研究レベルを高めるため、10兆円規模で“大学ファンド”を年度内に設置、世界に伍する研究大学を実現するため来年度から運用を始める。

さらに経済安全保障の強化として、先端的な重要技術の研究開発や実用化の支援のため、5,000億円規模となる基金の創設も盛り込まれた。念頭に置く分野は人工知能(AI)や量子技術、宇宙開発などである。政府は今年中に関連するシンクタンクを創設する予定で、大学など研究機関を支援する。

国産のワクチン開発や治療薬開発も含め、今回の補正予算における科学技術関係予算の総額は2.2兆円余りとなる。科学技術・イノベーション調査会からの提案はほぼ盛り込まれており、私としては満足できる結果となっている。

総選挙後、党や国会で一連の人事が行われた。自民党においては、私は引き続き「科学技術•イノベーション戦略調査会会長」を務めることになった。

世界を見渡すと、ポストコロナの国家間の技術覇権争いの動きが益々激化している。AIや量子などの新興技術や、先端半導体製造といった先進基盤技術について、その経済安全保障上の重要性が強く認識され、各国で多額の投資が行われている。また、カーボン・ニュートラルの実現など地球規模の課題解決のため、イノベーションへの抜本的投資強化を打ち出す必要もある。これまで以上に調査会の役割が増え、より闊達な議論が求められると予想される。しっかりと責任を果たしていきたい。

一方の衆議院では、「国家基本政策委員会委員長」に就任することになった。「国家基本政策委員会」とは何の審議をするのか分かりにくいと思うが、「党首討論」と言えば分かり易いだろう。このところ存在感が低下していると言われているが、国家の在り方、方向を探るべく、党首間による活発な議論が実現するよう努力したい。

11月も後半となり、コロナ対策や東京オリンピック・パラリンピック、自民党総裁選や総選挙と様々な出来事があった2021年も残すところ40日余り。年末に向けて臨時国会はもちろん恒例の税制改正議論や来年度予算編成引き続き慌ただしい日々が続くが、緊張感を持って国政に臨んで行きたい。

国民の審判

10月14日午後1時から開かれた本会議で衆議院は解散され、19日公示、31日投開票に向けて事実上の選挙戦に突入した。

解散によって議員らは立候補者となって議席を争うことになる。いわば、解散は議員らへの「リストラ宣言」でもある。「クビ」になったのに、なぜ目出度いことを祝うかのように万歳をするのだろうか?

解散後の「万歳」が初めて記録されたのは、1897年(明治30年)のこと。12月25日の「第11回帝国議会」の会議録を確認すると、当時の鳩山和夫議長(鳩山由紀夫氏の曽祖父)が解散詔書を読み上げ解散を宣言した後、「拍手起リ『萬歳』ト呼フ者アリ」と記載されている。その由来については、「景気づけ」「やけっぱち」「内閣への降伏の意」「天皇陛下への万歳」など…。諸説あり、理由は定かではない。

「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」。衆院解散でおなじみの光景だが、14日の解散時、万歳しなかった小泉進次郎氏は「みなさん、万歳三唱をみましたか。解散のときにみんな、万歳を言うんです。なんで言うんですか?国民のみなさんに大声を出すのをやめましょうと言っているじゃないですか。本会議場でなぜ、大声でばんざーいって言っているんですか」とぴしゃりと言い放ったという。

私も同じような理由で万歳をしなかったことがあるのだが、その時の選挙で落選してしまった。万歳をしなかったから落選した落選したわけではないと思うが、それ以来私は何も考えずに万歳することにしている。

今回も日本維新の会のみなさんが同じ理由により万歳しなかったと報道されていた。それも一理あると思うが、事前にそんな話があっても、おそらく私は万歳をしていただろう。ただし、大声はださないで。

今回の衆議院選挙に立候補せず、今期限りでの引退を表明している議員がおよそ30名いる。

自民党では、12回連続で当選し、今回の解散詔書を朗読した大島理森議長や、衆議院議長や閣僚、党の幹事長などを歴任した伊吹文明氏、運輸大臣や厚生労働大臣などを務めた川崎二郎氏らである。

立憲民主党では、農林水産大臣、衆議院副議長などを歴任した赤松広隆氏や国家戦戦略担当大臣などを務めた荒井聰氏ら。公明党では党の代表などを務めた太田昭宏氏、幹事長などを務めた井上義久氏らが引退。また、社民党のベテラン照屋寛徳氏も。

振り返れば私が初当選したのが1986年、同期性は確か67人いたと記憶している。

35年が経過して今回も立候補を予定しているのは、私を含めてわずか5人となった。些か複雑な気持ちにさせられる。私もそろそろ身の処し方について考えなければならないかもしれないが、今回の出馬には全く迷いは無い。

岸田文雄新総理は、成長戦略のど真ん中に「科学技術・イノベーション戦略」を謳っている。

私がライフワークとして取り組んできた仕事だ。これまで温めてきた政策がいよいよ結実する時がきた。

私にはやりたいことがある。まだやれることがある。その為にはこの選挙で国民の審判を受け、信託を得なければならない。そして、日本の未来を切り拓く為に再度国政の場で働きたい。それが今の私にとって「未来への責任」を果たすことと、確信している。

コロナ対策を優先すべし

17日にスタートを切った自民党総裁選も、残すところ1日。メディア各社は

各候補の獲得票予想と解説に忙しい。永田町では派閥所属議員の投票行動予想を

カラーで色分けした一覧表まで出回っている。今回は前回、前々回と違い、派閥

の締め付けがきつくないので、投票行動の予想が難しい。



 現時点では国民の人気の高い河野太郎候補が4割強の党員票を獲得して、リー

ドしている。しかし、一回目の投票で議員票と合わせて総得票数の過半数382

票を獲得するには至らず、1、2位による決選投票になることが確実視されてい

る。決戦投票では地方票が47票に減るため、382票の議員票の行方が結果を

大きく左右することになる。



 過去の総裁選では、最初の投票で1位だった候補が決戦投票で逆転されるケー

スが2回あったが、今回は直後に衆議院総選挙が控えている。比較的国民世論と

近い傾向にある党員票の結果を永田町の論理で逆転することは、総選挙にマイナ

スに働くことは間違いない。議員心理は自ずと党員票を尊重する方向に流される

だろう。



 私は5割の党員票獲得が判断基準の目安になると考えている。自民党員のみと

は言え、全国100万人余りの民意を反映する票数である。その過半数を占める

支持を得た候補を382人の国会議員の意思で覆すのはいかがなものだろうか。

現に河野氏陣営では「党員票の多数を得た候補を決戦投票で逆転すれば、批判さ

れて衆院選で痛い目に合う」とけん制する。これに対し閣僚経験者は「河野氏の

党員票が5割以上なら逆転は許されない雰囲気になるが、5割未満なら『反河

野』が半数以上いることになり、逆転は許される」と話す。


 
 決戦投票では派閥の論理も強くなると言われているが、そんな自民党の体質が

問われていることを忘れてはいけない。当選3回以下の集まりで、派閥中心の総

裁選びに異議を唱える「党風一新の会」の動きに期待したい。



 新しく選出された自由民主党総裁は、10月4日に召集される臨時国会で首班

指名を受け、第100代内閣総理大臣に就任し、組閣作業を経て新しい内閣が誕

生する。

その後本会議で新しい内閣の所信表明演説を行い、各党の代表質問を経て新政権

の基本姿勢が確認された後、衆議院は解散総選挙に突入する。



 総選挙はコロナ対策が大きな争点となりそうだ。しかし、私はこの問題は選挙

で争うべきではないと考える。パンデミックと言う国家的危機に際しては、与党

も野党も関係ない。必要があれば総選挙を少々遅らせても、医療体制の整備や経

済支援策等、当面のコロナ対策について党派を超えて臨時国会で議論し、できる

だけ多くの意見を集約して解決策を見出し克服すべきである。



 そして来るべき総選挙では、残った問題のみを争点にすれば良い、それが今、

政治が果たすべき責任だ。

自由民主党総裁選挙に臨んでの私の選択

長い政治生活の中で、自民党総裁選を戦うのは今回で9回目となるが、今回ほ

ど支持候補の選択に悩まされたことはない。

 過去2回は駆け出し議員の頃からの盟友である石破茂氏の推薦人として、選挙

戦の最前線に立っていた。今回も石破氏が出馬していれば推薦人に名を連ねてい

ただろう。しかし、彼は長考の末15日に出馬を断念、河野太郎氏支援を表明し

た。この時点で、私は支持すべき候補をゼロベースで再考せざるを得なくなった。



 私は前回のコラムで「国民の関心事に応える意味のある政策論争が行われるこ

とを、切に願っている。」と言及た。総裁選は日頃の党内での政策議論を党員・

党友の皆様に、さらには国民の皆様に披露する絶好の機会だ。

 自民党は責任与党として多様な国民のニーズに応える現実的な政策を推進しな

くてはならない。その立案のために、常に幅広い視点で議論を積み重ね、政府に

提言、提案を繰り返している。そして多分野にわたる議論を支えるのは、全国各

地から選出された多彩な人材である。総裁選での政策論争は、この日々の議論の

集大成でなくでならない。



 こういった視点で、改めて15日までに出馬を表明していた3氏の主要政策を

見渡してみた。確かに、コロナ対策を皮切りに外交、防衛、経済、エネルギーな

ど幅広い分野で政策論が競われているが、一人ひとりの個性を重んじるリベラル

な主張、相互に違いを認め合い社会の絆を再生する、やさしさにあふれる日本を

創るといった観点での政策諭が弱いのではないかと感じた。



 一方で、立候補に向けて活動を続けていた野田聖子氏からは、かねてより「石

破さんが出ない時は推薦人なって欲しい」旨、繰り返し要請を受けていた。野田

氏の主要政策は、子ども・女性・障がい者・介護・貧困問題など、社会的弱者に

重点を置いたものだ。

 本格的な人口減少時代を迎える今、少子化対策はもとより、女性や高齢者、障

がい者の活躍を牽引する政策が不可欠である。野田氏の “人口減少は国家有事”

との認識、少子化対策を国家の最重要課題と位置づけ、子どもへの投資をあらゆ

る課題解決のカギとする理論は、永年、教育政策に取り組んできた私の政策論と

も軌を一にするところがある。



 岸田文雄、高市早苗、河野太郎の3氏に加えて、野田氏が出馬することで、重

要な政策論点である人口減少社会を展望する議論が期待できる。政策論争の幅が

広がり、自民党国会議員の層の厚さを示すことができる。このように判断し、告

示日前日の16日に野田氏の推薦人になることを決意した。



 今回の総裁選、コロナ禍のため全国遊説は控えることとなる。一方で、29日

の投開票まで様々な形でのオンライン討論会が予定されており、YouTubeでも配

信されるだろう。党員・党友の皆様には、4人の候補者の主張を十分吟味のうえ、

一票を投じていただきたい。

政策論争を望む

“政界一寸先は闇”とはいささか言い古された言葉だが、このところの永田町

ではそんな出来事が頻発している。



 このコロナ禍の状況下ではまさかあり得ないと思ってはいたのだが、8月31

日夜、「菅義偉首相が9月中旬に解散の意向」との一報が永田町を駆け巡った。

毎日新聞のスクープで、一部のメディアもこれに続いた。解散報道は反菅サイド

から流されたとの説もあるが、「官邸関係者が明らかにした」とのトーンだった

ので、信憑性が高いとされた。総理が本当に考えていたかどうかは知る由もない

が、近々予定されている自民党総裁選や総選挙などの日程を睨み、選択肢として

検討されていたことは間違いないと思う。

 ただ、再選に赤信号が点滅する中、総裁選をすっ飛ばして解散を打てば自身の

保身を優先したと見なされ、党内はもちろん国民の支持を失うことは必至だった。



 伝えられている限りでは、31日深夜、安倍前総理、麻生元総理をはじめ菅政

権を支えてきた多くの重鎮や側近の小泉進次郎環境相が説得を試みたようだ。

 菅総理は翌9月1日午前のぶら下がり取材で自ら解散について言及、「いまの

状況では(解散は)できない」「まず新型コロナ対策最優先」「総裁選の先送りは

考えていない」と述べ、解散説を否定せざるを得なかった。この時点で、総理の

専権事項である“伝家の宝刀”と言われる解散権が事実上封印された。



 この解散騒ぎに先立ち菅総理が切ったカードは二階俊博幹事長の交代であった。

8月30日午後の首相官邸。首相が幹事長交代を含む党役員人事の検討を伝える

と、二階氏は「結構だ。降りてもいい」と応じたという。幹事長は公認決定や選

挙資金などの差配に大きな権限を有する。

  在任が歴代最長の5年以上に及ぶ二階氏は、その権力を行使して会長を務める

二階派を膨張させてきた。時に強引すぎるとも映る手腕に党内の不満は鬱積。安

倍氏や麻生氏ら重鎮もいら立ちを募らせていた。(内閣支持率が30%前後と

「危険水域」に低迷する要因として、世論を顧みない二階氏の言動を指摘する声

もあった)



 菅総理は3日開かれる臨時総務会などで一任を取り付け、6日(月)に党四役

を中心に人事の刷新を行い、内閣支持率を回復させ総裁選を有利に運ぼうとした

のだろうが、総裁選を経ずしての直前の人事は論理的にあり得ない。

 解散と党人事をめぐるこれらの騒ぎは、個利個略、自らの保身としか見えず、

総理は急速に求心力を失う。結局人事は行き詰まり、3日午前の役員会で突然の

辞任表明となった。



 予想もしなかった総理の不出馬、退陣表明によって、総裁選の顔ぶれも展開も

大きく変化した。週末10日には、河野太郎行革担当大臣が出馬表明。今回は出

馬しないと見られていた石破茂元幹事長も、局面が変わったとし出馬を検討して

いる。すでに出馬を表明しいている岸田文雄前政調会長、このほど出馬会見をし

た高市早苗元政調会長のほかに、野田聖子幹事長代行も推薦人集めに奔走してい

る。女性候補が2人も俎上に登るなど、多彩な顔ぶれが予想される。



 私は過去2回の総裁選では石破氏の推薦人に名を連ねた。その石破氏は週末時

点で「前2回は負けると分かっていても戦う意味があったが、三度続けて負ける

戦いに同志を巻き込む訳にはいかない。勝機があるか、情勢を見極めたい」との

こと。氏にとって今回は5回目のチャレンジ、出馬するとなると氏の政治生命を

左右する最後の戦いである。私からは言うべきことは伝えた。今はただ氏の判断

を待ちたい。



 コロナ禍の総裁選として運動面で最大限の配慮をすることは当然であるが、直

後に控えた総選挙での党の顔となる総裁を決めるとともに、次の総理を決める選

挙でもある。候補者の主張がそのまま総選挙の公約になるとともに、次の政権の

政策になる。誰を選ぶかも重要であるが、単なる「コップの中の嵐」と言われな

いように、国民の関心事に応える意味のある政策論争が行われることを、切に

願っている。


自民党総裁選

9月17日告示、29日投開票の日程が正式に決まった自民党総裁選挙。昨年

9月の総裁選は、安倍晋三総理の突然の辞任に伴い実施されたため簡易型となっ

たが、今回は党員・党友投票も行われる“フルスペック”の総裁選である。全国

の自民党員・党友の意見が反映される地方票が加わることで、より国民世論が反

映される結果となることが予想される。



 この総裁選をめぐっては、「コロナの感染拡大の最中で、総裁選はやるべきで

ない」とか、「菅義偉総理では選挙に勝てないから顔を変えると言うのはおかし

い。国民の理解は得られない」と言う意見も出ていた。

 しかし、これらの主張は違っているのではないかと私は思う。今回の総裁選は

任期満了に伴うもので、いわゆる「菅降ろし」が目的ではない。むしろ実施しな

ければ、党員・党友の権利を奪うこととなるだ。内閣支持率は危険水域にまで下

がり、若手議員を中心に執行部への不満が拡がりつつあり、菅総裁に対する求心

力も著しく低下してきている。総裁選は総理にとっても党員・党友への説明責任

を果たせる絶好の機会となる筈だ。

 なので私は、終始「予定どおり総裁選を行うべし」と主張し続けてきた。コロ

ナ禍で行われる今回の総裁選、全国規模の遊説や候補者支援の集会等の実施は難

しいだろう。それでもソーシャルメディアを通じての討論会など、候補者の考え

方や人となりについての情報発信は可能である。



 そして、党員・党友の総意で総裁を選ぶためにも、国会議員の派閥力学や数合

わせで勝敗が決まってしまう総裁選にしてはならない。昨年の菅総裁選出時にみ

られたように、自ら所属する政策集団(派閥)の中からの候補者が出ないのに、

派閥が一致結束して特定の候補支援を決め、選挙前から結果が明らかになるとい

った事態は絶対に避けるべきだ。そんなことを繰り返せば、国会議員と地方との

分断が進み、国政への不信を招くだけだ。

 今回の総裁選は国民政党の選挙戦として、透明性の高い開かれた論戦により次

代のリーダーを選ばなければならない。そして、デジタル時代に相応しい手法で

候補者の主張を分かりやすく展開し、国民に自民党政治家の層の厚さを訴えなく

てはならない。



 一方、衆議院の任期満了(10月21日)が近づく中、野党は臨時国会の早期

開催を要求している。内閣支持率が低迷する中で、少しでも有利な状況下で解散

に追い込もうとする意図があるのだろうが、私はこの挑戦から逃げることなく、

受けて立ったらよいのではと思う。



 総裁選を国会審議と同時並行で行うことも可能だろう。国民はコロナ対策に関

する対策の充実を求めている。国難の時にあって、政治休戦してコロナ問題に特

化した議論をすればよい。本会議や委員会での議論はコロナに限り、それ以外の

政治的主張については党首討論の機会を設けてみてはどうだろうか。菅首相に

とって、コロナ対策に関する国民の不信感を取り除く絶好のチャンスとなり、国

民にとっても与野党トップの論戦は、来るべき衆院選に向けて、分かりやすい論

点整理の機会になるのではないか。



 総裁選は現時点で菅総裁と岸田文雄前政務調査会長の出馬が確定しているよう

だが、最終的にどのような顔ぶれになるのかは、今後の党内情勢次第である。私

自身の選択については、候補者が出揃い、それぞれの主張が明確に示されてから、

判断するつもりだ。

 政治不信が蔓延し、無党派層と言われる国民が増えつつあるのが現下の政治情

勢である。総裁選が政治への信頼回復に繋がるような形で行われるよう、志を共

有できる仲間に呼びかけていきたい。



※フルスペック総裁選とは
党所属国会議員(383人)と党員・党友による国会議員票と同数の地方票(3
83票)の合計(766票)で争われる。地方票はドント方式を採用し、各候候
補に割り当てられる。1回目の投票で有効票が過半数に達しない場合、上位2人
の決戦投票(議員票と各都道府県1票)となる。
 党・政治制度改革実行本部長として私が2013年秋に取り纏め、翌1月の党
大会で承認された。

今年の終戦記念日

57年ぶり2度目の東京五輪には、205カ国・地域(ロシアは個人資格で出場)と

難民選手団をあわせて約1万1,000人の選手が集い、史上最多の33競技339種目で

熱い戦いが繰り広げられた。

 残念ながら、新型コロナウイルスの影響で殆どの会場が無観客となったが、そ

の中でも日本代表の活躍は目を見張るものがあった。金27個、メダル総数58個の

獲得は、ともにこれまで最多(金は前回の東京と2004年アテネの16個。総数はリ

オの41個)を大幅に更新した。8日の閉会式で五輪旗は次回の開催地パリ市に引

き継がれ、大会は無事幕を閉じた。



 開催の可否をめぐって国論を二分した東京大会であったが、世論調査では五輪

開催が「よかった」が56~64%、「よくなかった」は34~28%となった。日本人

選手のメダルラッシュもあって、国民世論は一応好感を得た形だ。

 一方で、政府への評価は厳しい。直近の菅内閣支持率はメディア各社とも過去

最低(28~35%)となっている。昨年9月の政権発足時には軒並み70%台をキー

プしていたが、多くの調査で3割を切る状態だ。不支持率は53~54%と大変厳し

い状況にある。オリンピック開催中にもコロナ感染が拡大し続け政府に対する不

満だろう。永田町では内閣支持率が30%を切ると、政権が危険水域に入ったと認

識される。政府・与党が期待した五輪による政権浮揚への思惑は夢に潰えたよう

だ。



 菅義偉自民党総裁の任期は9月30日まで。党内からはそろそろ総裁選について

様々な意見が聞こえてくる。高市早苗前総務相が10日発売の月刊誌“文芸春秋”

で出馬意欲を表明したのに加え、中堅・若手も独自候補擁立を模索しているとい

う。

 私はこんどこそ、党則に従って党員・党友投票によるフルスペックの総裁選を

行うべきであると考えている。複数候補による国民目線に立った本格的な論戦を

おこなうことで、国民政党としての活性化を図るとともに国民の政治参加が促進

できるからである。ただ、コロナ下での総裁選のあり方については、最大限の感

染対策が求められることは言うまでもない。



 話は変わるが、今年のお盆休みは五輪の関係で7日(土)スタートが多い。コ

ロナウイルスの感染者数が過去最大になったとの報告が各地域から相次いでいる

中でのお盆休み。地元兵庫県でも12日に728人と過去最大となり、緊急事態宣言

の発出を検討していると報道された。

 毎年この時期は1年間の間になくなられた方々の初盆のお参りが恒例となって

いるが、最近は家族葬が大半となり、お参りを辞退されることも多い。

 現在の衆議院議員の任期は10月21日までだが、コロナ対策で国民の皆様に自粛

をお願いしている立場上、この時期に思うように動けないのは悩ましい。


 
 15日の終戦記念日は日本武道館で恒例の政府主催「全国戦没者追悼式」が行わ

れる。初当選から今日まで、私はこの日には必ず上京し式典に出席してきた。日

本の礎を築いた戦没者に追悼を捧げ、この国の未来を考えることは国政に参加す

る者としての責務と考えるからだ。

 ただ、今年は4度目の緊急事態宣言下での開催となるので、出席人数が大幅に

制限され、残念ながら式典への出席は叶わないが、今年の15日も例年と同じく先

人に感謝し、この国の「未来への責任」について決意を新たにしたいと思う。



 *前線停滞による大雨で被災された方々に、お見舞い申し上げます。