憲法改正

自民党は23日、元復興相で無所属の平野達男参院議員(岩手選挙区)の入党を決めた。平野氏の入党で参院自民党の議席は122議席となり、参院で単独過半数を回復した。消費税導入やリクルート事件への反発で強い逆風の中での選挙となった1989年の参院選で過半数を割り込んで以来、27年ぶりとなる。

今回の平野氏の入党で自民、公明、おおさか維新、日本のこころの所謂「改憲4党」は、参院で162議席(諸派・無所属の改憲派を入れると166議席)を占め、憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を衆参両院で確保することとなった。

さて、前回のコラムでも言及した憲法改正を巡る議論。
「改憲勢力が2/3になったら、安倍総理は必ず9条の改正をやる」とまで言い切り、改正阻止を前面に押し出し、「改憲勢力による2/3確保阻止」を勝敗ラインにあげて参院選を闘った岡田民進党代表だが、選挙後の発言はいささか趣が違っているようだ。

「安倍政権下での憲法改正議論に反対」と主張していた岡田代表は、参院選後「憲法改正、あるいは議論そのものを一切しないと言っている訳ではない」と言及。改憲勢力に2/3を許したことについても、「何が2/3か、いろいろな考え方がある」と、開き直ったかとも思える発言で責任論を回避している。

岡田代表の責任論は民進党の皆さんが9月の代表選で総括すればよいと思うが、条件付きとはいえ、憲法改正の国会での議論に道筋が開けたといえる。
秋に予定されている臨時国会では、今後の進め方も含め活発な議論がおこなわれることを期待する。

憲法改正議論は、各党が改正を必要と考える条文についての意見を持ち寄り、論点が明らかとなった項目からスタートすべきであろう。憲法改正と言うと9条に焦点が当てられるが、改正を議論すべき項目は数多くある。

緊急事態条項や環境権など、70年前の憲法制定時には想定されなかった新しい項目。おおさか維新が提起している統治機構の問題、あるいは衆参両院のあり方や参院の選挙制度の問題も俎上に載せる必要がある。前文も、より美しくわかりやすい表現に改めてはどうだろうか。
その他、53条(臨時国会召集)や89条(公金の使用)、96条(改憲手続き)などについても議論が必要だ。

なかでも私が最も重要視しているのは83条(財政)だ。83条には「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と規定されているが、財政についての責任が不明確である。憲法改正に当たっては、前項に加え「国は国家の財政に責任を持たなければならない」という、新たな項目を加えるべきというのが従来からの私の主張である。

自民党が“憲法改正草案“を提示してから早や4年が経過した。草案策定後に選出された議員も数多くいる。秋からスタートする国会での議論を前に、党内でも草案内容の見直しや優先順位をめぐり議論が活発化するだろうが、私は83条の改正を強く主張するつもりだ。

憲法改正は、まず国会議員により改正原案が提案され、衆参各議院の憲法審査会で審査のうえ、本会議に付される。そして、両院がそれぞれ2/3以上の賛成で可決された場合、国会から国民に対しする提案が行われ、国民投票による過半数の賛成で承認、決定される。

今後、国会議員による改正原案策定の議論がよりオープンな形で行われることにより、国民の間でも憲法改正についての理解が深まることを期待する。

参院選が終って

第24回参議院議員通常選挙の結果は、ご承知のとおり、自公連立与党が改選議席の過半数61を大きく上回る70議席を得た。自民党は27年ぶりの単独過半数には僅かに1議席届かなかったが、勝利と言って良いだろう。
しかも、自公に加え、おおさか維新など改憲に前向きな勢力は、非改選組も合わせて2/3の議席を突破した。すでに衆議院は与党が2/3を確保しており、現行憲法の下で初めて改憲発議が現実味を帯びる歴史的な結果となった。

ただ3年前のような圧倒的な勝利ではない。鍵を握ると言われていた全国32の1人区では、すべての選挙区で野党協力(民進、共産、生活、社民の4党)が実現し、統一候補が擁立された。実質的には、自公VS民共の戦いであったが、与党21勝に対して野党11勝となった。3年前には自民が29勝2敗だったことを考えると、野党協力は一定の成果があがったと評価すべきであろう。

事実、福島と沖縄で現職閣僚が落選。東北6県では秋田以外は敗北。新潟、長野、山梨、大分も接戦を制することができなかった。岡田代表が「敗れたら次の代表選には立候補しない」と明言していた三重でも、民進党現職に屈した。
一方で、共産党との共闘が民進党の支持者離れを招いた側面も無かったとは言えない。いずれにしても、次の衆院選に向けて共闘が持続する可能性が高く、その行方を注視していく必要がある。

さて、実質的に発議が可能となった憲法改正をめぐる論議である。
選挙期間中、岡田代表は「改憲勢力が2/3になったら、安倍総理は必ず9条の改正をやる」と、憲法改正阻止を前面に出した。その結果、憲法96条が規定する改正発議の要件である両院の2/3の議席が勝敗ラインの一つになった。
私には改憲勢力が2/3になれば何故9条改正になるのか、全く理解できない。

改憲勢力といっても、各党それぞれ考え方に差がある。自衛隊の明確な位置づけに重きを置く党もあれば、環境権をはじめ新たな権利の追加を唱える党もある。地方自治を含む統治機構の改正に熱心な党もある。民進党のなかにも改憲に前向きな声もあるはずだ。

また岡田代表は、「安倍政権とは憲法に対する基本的なスタンスが違うから話をしてもしょうがない。安倍総理の元では改憲の議論はやらない」とも言っているが、これも全く理解できない。
憲法改正の発議権は、行政府ではなく立法府にあるのだ。誰が総理であろうと関係ない。そして最終的には国民投票により可否が決定する。

“日本国憲法”は、1946年(昭和21年)11月3日に公布、翌年の5月3日に施行されてから70年が経過した。この間、日本を取り巻く環境は内外共に大きな変化が生じている。にもかかわらず憲法が不変であることの方が異様と言えないだろうか。

そもそも法律は社会規範の集大成であり、憲法も法律の一つである。時代の変遷に即して改正すべき点は生じるし、現に時代に適合しない条文も少なくない。諸外国の憲法においても、少ないアメリカでも6回、最多のドイツに至っては58回も改正されている。日本の現状は国会の不作為を問われかねない状況とも言える。

その意味でも秋に予定されている臨時国会で、まず憲法の議論をスタートさせたいものだ。国会で議論を深めることによって、初めて課題や論点が明らかになる。
現憲法の「何が時代の変化に適応していないのか。どの様に変える必要があるのか」。国会では、党派を超えて真摯に議論することが求められている。

ブレグジット

ブレグジット。
聞きなれない言葉だが、「Britain(英国)+Exit(退出する)」を合わせた造語らしい。その意味するところは、英国のEUからの離脱だ。
2016年6月23日は、イギリス国民にとってさぞかし長い1日だっただろう。国民の意思に委ねられた残留か離脱かの判断は、離脱派の勝利に終わった。

正式な離脱は、英国が欧州理事会に離脱の意思を表示してから2年以内に交渉で定められるので、2020年にはEUは第二の経済国を失うことになる。それまでにEU対英国の経済貿易ルールを定めなくてはならない。世界各国はその内容を踏まえて対英国の交渉が必要となる。関係諸国は情報を共有し、協力してこの事態に対応しなくてはならない。

日本経済への影響も大きい。当面は、世界の不安感が引き起こしている円高や株安。当然のことながら円高は輸出企業に打撃を与え、インバウンドの減少も招く。株安は国民の財を減少させ、アベノミクスの成果を圧縮してしまう。さらには、欧州との経済連携の再構築が必要となる。英国に拠点を置く日系企業約1380社も「拠点維持か方針転換か」の経営判断を迫られる。

24日、在英の友人からメールが入った。
「The ignorance of the voters, next Americans will vote in Trump」。
「無知な有権者達、次にアメリカ人はトランプに投票するだろう」(訳)。
もちろん残留派の言葉だ。彼らが危惧しているのは、今回の非論理的な判断を招いた「内向きの排他的思考」が世界中に飛び火すること。トランプの支持者もブレクジットの支持者も思考の根底は同じだというものだ。EU諸国にも極右政党が生まれている。その台頭はEUのさらなる分裂を招きかねない。

英国は統一通貨ユーロには参加せず、金融政策上、ポンドによる独自性を有している。また、国境審査を廃止する(パスポートチェックなしで国家間移動を認める)“シェンゲン協定”にも入っていない。つまり、他のEU加盟国と比べれば、主権上かなりの自由度を有している。その英国でさえ、EU離脱派が勝利した。「EU加盟による移民流入によって職場が奪われる」といったきわめて単純な“大衆の声”によって。

英国の政治や経済をリードしてきたのはエスタブリッシュメント層(既製秩序階級)。彼らがいくら正論を唱えても、大衆は目の前の生活改善、所得向上が果たされなければ納得しない。これは持たざる者の反撃、拡大する所得格差に起因する反乱かもしれない。

共和党大統領候補トランプ氏の躍進、そして今回の英国のブレグジット。いずれもその原動力は、現状の生活水準に不満を抱える大衆の力。
生活への不満は、国家の方向を大きく変える。これはどこの国にでも起こり得ることだろう。しかしその方向が偏狭なナショナリズムにつながってはいけない。他国を排除して自己実現を図ってもそこには真の幸せはない。世界の共生と共栄こそがめざすべき道だ。

今や経済はグローバルなモノとカネの連環のなかで動いている。鎖国なんてありえないし、それは国民を不幸にする政策だ。だからこそTPPをはじめ、国際経済連携の推進が必要となる。

ヒトの移動も本格的に考えなくてはならない時期を迎えている。かつて明治から昭和の初期にかけて、100万人もの日本人が中国大陸や南米へ渡った。当時は職を求めての移民であったが、今や日本国内は労働力不足の時代、もちろん、国内労働力確保のための積極的受け入れも含めて、移民政策の在り方についても考えなくてはならない。

猛暑の夏

最近流行りのTV番組のネット話題やニュースのランキング、先週末のある局のニュースワードランキングによると、マーリンズのイチロー選手の日米通算4,257安打達成。日本各地に出没する“クマ”の騒動。海外からは、103名を殺傷した米フロリダ州銃乱射事件や上海ディズニーランドオープンなど、多彩な話題がランキング入りしていた。

なかでもダントツのトップは、舛添都知事に関するニュース。
多額の出張旅費に端を発したこの問題は、公用車使用の可否や過去の政治資金の使い方まで波及し、最終的に舛添知事は辞任に追い込まれた。

知事は本日辞任するが、話題の焦点は早やポスト舛添に移っている。様々な候補の名前があがっているが、果たして誰に落ち着くのか?目下の最大関心事である。新知事を選ぶ選挙は7月31日投開票。10日の参院選に加えて知事選も重なり、今年の東京は激暑の夏となりそうだ。

参院選は今週22日に火ぶたを切る。
安倍総理は国会閉幕後の記者会見で、消費税の引き上げの再延期を「新しい判断」と定義し、公約の変更になるので“国民に信を問う”とした。勝敗ラインは「与党の改選議席の過半数確保」に定めている。
前回衆院選の公約や政権運営の審判を受けるという意味で、われわれ衆議院議員も審判の対象ということになる。これまでの参院選とはいささか意味合いが違ってくる。

勝敗の帰趨を握るのは全国32の1人区だろう。今回は候補者一本化による野党統一候補が実現し、自公VS全野党のガチンコ勝負となった点でも従来とは違った参院選である。

高い水準を維持している内閣支持率や政党支持率からは、与党候補有利との目算が立つ。一方で、過去の参院選の得票数実績から、与党候補と野党候補の合算得票数を比較すると、多くの選挙区で拮抗または野党が上回っている傾向にあり、情勢は極めて厳しいものがある。

世論調査で有利であったとしても、決して予断は許されない。不用意な発言は選挙戦の風向きを大きく変えることもある。

1998年の橋本龍太郎内閣での参院選は当初自民党の大勝が予想されていたが、恒久減税を巡る選挙中の総理並びに閣僚の迷走発言により一転大惨敗。結果、橋本内閣は退陣し政変となった。近いところでは、2010年の参院選で菅直人首相が選挙中に唐突に消費税増税を訴え、1人区で8勝21敗と大敗し、民主党退潮のきっかけとなったことは記憶に新しい。

今回1議席増となった兵庫選挙区は、公明党が24年ぶりに候補者を擁立し3議席を有力5候補(自民、公明、民進、お維新、共産)が争う激戦区となった。
来月10日の投開票日まで暑い日々の中、ホットな戦いが続く。

まずは、我が党公認候補の末松信介氏に加えて、推薦している伊藤孝江氏の当選により、与党で過半数超えを目指して頑張らなければならない。
しばらくは参院選に集中したいので、次号は参院選後に。

背水の陣

6月1日、第190通常国会が幕を閉じた。閉会後の記者会見で安倍総理は、来年4月に予定されていた消費税10%への引き上げを、2019年10月まで2年半延期する方針を正式に表明した。

総理のこの決断について自民党内に反対論がない訳ではない。だが、参院選直前ということもあり、総務会では強い反対意見は出されず承認された。私も“やむを得ない”と判断した。財政規律や社会保障との一体改革の観点からいささか疑問を持たずにはいられないが、政党政治である以上は党の決定に従わなければならない。

政権奪還後3年半、アベノミクスを旗印に経済最優先で取り組んできた結果、雇用は大きく改善し企業の収益も良好になりつつある。3年連続のベースアップも実現した。さらに、この3年間で税収は21兆円上振れするなど、20年間のデフレ脱却まであと一息だ。

ただ一方で、ここまでの景気回復を牽引してきた外需が不安定化している。中国経済は供給過剰により失速気味であり、原油や鉄鉱石等の価格低迷は資源輸出国家の投資を抑制している。世界経済の行く手には大規模な需要不足というリスクが見え隠れしているのだ。

こういう状況から、先のG7伊勢志摩サミットでは、経済を成長軌道に乗せるため各国が機動的に景気対策を講じるという合意がなされた。これを受けて当面は需要創造に力点を置き、消費抑制効果が伴う消費税率引き上げは延期するというのが今回の判断である。

我々自民党は前回の総選挙で「2017年4月には消費税は10%に引き上げる」と訴えて当選したのだから、「公約違反」との指摘もある。麻生財務相や稲田政調会長のように、2014年12月の延期時には「国民に信を問う」と衆院を解散したのだから、今回も「総選挙を行うのが筋だ」という意見は、ある意味正論である。

しかし、熊本地震の被害状況やその災害に対応しなければならない自治体の混乱等を考慮すると、解散して衆参ダブル選は考えられない。総理の判断は当然だと思う。

参院選は元来政府の政策の評価を問うものであり、衆院選のように政権選択を問うものではない。
だが首相は、改選議席121議席の過半数61議席を連立与党の勝敗ラインと設定し、「国勢選挙である参院選で“新しい判断”の信を問う」とした。自ら勝敗ラインを改選過半数と設定し「信を問う」と宣言したのだから、敗れれば論理的帰結としては辞任ということになる。

政治家の国民に発する言葉は軽々であってはならない。その意味で今回の参院選は、俄かに重要性が増大したと言える。正に“背水の陣”である。

各種規制緩和やEPA(経済提携)交渉など経済構造改革のスピードが足りないのは事実。批判には真摯に耳を傾けて、反省すべきは反省し修正すべきは修正する必要もある。また、「新しい判断」を前提とした社会保障改革についての財源の確保やロードマップ、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けた財政再建の道筋を具体的に提示する必要がある。そうでなければ、「今の政治は次の世代より次の選挙しか考えていない」との批判を払拭できない。

このコラムのタイトルは「未来への責任である」。次の世代、子供たちのために「未来への責任を果たすために、いま何ができるか何をなすべきか」を、私も改めて考えなければならない。

震災補正

先週17日夕、熊本地震の復旧・復興に対応する総額7,780億円の平成28年度補正予算が成立した。衆参とも全会一致で可決している。
過去の震災直後の復旧補正予算は成立までに、阪神淡路大震災で42日、東日本大震災では52日要しているが、今回は33日目の “スピード成立”だ。

予算は、当面の被災者支援に要する費用として「災害救助等関係経費」を780億円計上。その内訳は15,000戸分の仮設住宅費573億円、自宅が全壊した方々に最大300万円を支給する生活再建支援金に201億円、災害弔慰金などに6億円である。
残りの7000億円は「熊本地震復旧等予備費」。使い道を限定せず、被災者の方々の事業再建、特に中小企業や農林漁業者、観光業などの産業基盤の復興を後押しするとともに、道路・施設などのインフラ(社会基盤)復旧やがれき処理等を迅速かつ十二分に進めていくための経費に充てる。

野党は「7,000億円の中身が決まってない」と批判していたが、被災地の早期復旧のため、被災者の方々の不安を緩和するためには行政の迅速な対処が第一だ。まして、今回の地震は、余震が続き被害が確定しない。将来の産業基盤の復興まで配慮して機動的に対応する今回の補正予算は、むしろ適切である。

発災直後の支援物資の輸送などに一部混乱もなかったとは言えないが、今回の初動対応は総じて素早かったと思う。5月の連休には全国からボランティアも被災地に入り、がれき処理などに尽力した。なかんずく、自衛隊の出動、ならびに米軍との協同による救助活動は日米の力強い同盟関係を観た気がした。

さて、発生から1ヶ月が経過し、被災地は救助から復旧の段階に入ってきた。何よりも優先すべきは“生活再建”だ。まずは住まいの確保。車で寝泊りする方々のエコノミークラス症候群も発生している中、仮設住宅の整備が急がれる。

ただ、仮設住宅入居や生活再建支援金の給付を含め、速やかな公的支援を受けるにためには“罹災証明書”が必要であるが、その発行作業が遅れている。5つの自治体で役場が被災し庁舎機能を失っていることに加え、家屋被害の調査認定を担当する調査員が不足しているからだ。

すでに、全国の自治体から応援員が現地に駆け付け、判定作業を急いでいるが、今後の大震災、大水害への対応として、事前の応援体制の強化が望まれる。民間建築業界の協力も含め、調査員の登録、研修の充実や派遣協定の構築も必要ではないだろうか。
この31日に私が幹事長を務める自民党建築設計議員連盟の総会が開かれるが、緊急議案として提案しようかと考えている。

これから被災地は、梅雨の季節を迎える。九州は元々多雨地域である。地震で緩んだ地盤が土砂災害を招くことも懸念されるなか、補正で措置した予算を有効に活用し、復旧作業を急がなくてはならない。
安倍総理は衆院本会議で、今後被害状況が拡大していけば更なる財政支援を検討する意向も表明した。

東日本大震災、熊本地震とも、被災地の創造的復興を実現し、そしてその教訓を後世に活かし、我が国の安全・安心、公共の利便性をスムーズに確保するためには、中長期の観点から息の長い支援が必要である。

地域おこし

今年のゴールデンウィークは、「2日(月)と6日(金)の両日に休みをとれば、10連休の超大型連休となる」という方が多かったのではないか。どちらか一方でも休めれば、7連休や6連休だ。JTBによると今年のGWは「海外旅行人数は昨年より2.8%増の54.6万人。国内旅行人数と海外を含めた総旅行人数はともに過去最高で、2,395.6万人」ということらしい。

巷間、景気の動向に関して、あるいはアベノミクスの成否について様々な意見が交錯しているが、この旅行動向は明るい指標を提示している。
この大型連休はふるさとへの帰省の時節でもある。懐かしい山河の初夏を味わい、ご両親、祖父母との語らいを楽しまれた方も多いだろう。

私のふるさと東播磨ではGWの時期に「国恩祭」という祭事が行われる。地域の22の神社が、毎年輪番で郷土の繁栄と安泰を祈念する春の大祭だ。今年の当番は、加古川市の平之荘神社と明石市の御厨神社。私は4日に平之荘神社のお祭りに出席させていただいた。

この国恩祭は江戸時代の天保年間(1830年代)に起こった大飢饉に由来する。飢饉による人心荒廃を憂いた加古郡と印南郡の神職が集い、「祓講」という神社組合組織を結成して臨時の大祭を行ったのが始まりといわれている。180年以上の歴史を有し地域に根差した財産ともいえる文化行事となっている。

このような地域の伝統文化を「地域おこし」に活用しようとするのが“日本遺産”(Japan Heritage)の認定制度だ。平成27年度からスタートし、この2年間で37件が認定されている。兵庫県内では、「丹波篠山 デカンショ節 -民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」「『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人の営み~」の2件だ。今後、平成32年までに100件程度まで増やす予定という。

文化庁も保護一辺倒の文化財行政から転換を図ろうとしている。地域に点在する歴史的魅力や特色ある有形・無形の文化財をパッケージ化し、物語性を付加して観光資源として積極的に国内外へ発信し活用しようとしているのだ。

いにしえより神社は「鎮守の森」と称され、地域を守ってくださる村のシンボルであり街づくりの中心であった。そしてそれは地域の核であり人々の心の拠りどころ、絆となってきた。
日本各地で様々な祭りが継承されているが、我がふるさとの「国恩祭」のように、「複数の神社が地域貢献のために連合して行う祭事」というのは全国的にも極めて珍しいのではないだろうか。自治体も含めた地域の合意形成が必要であるが、日本遺産の認定に一度チャレンジしてみる価値がある。

大地震に襲われた熊本県でも1件、南部地域の10市町村による「相良700年が生んだ保守と進取の文化 ~日本でもっとも豊かな隠れ里―人吉球磨~」が認定されている。

熊本では大地震発生以来3週間が経過したものの、未だに大きな余震が断続的に続いている。まだまだ収束が近いとは言えない状況だが、活動を一時停止していたご当地人気キャラクター「くまモン」が、最近活動を再開したと報道されている。是非、地域おこしの主役として被災者のみなさんに元気を届けて欲しいと切望している。

改めて、この度の地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、不幸にもお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

熊本地震

金本新監督率いる我が阪神タイガースは、対戦相手が一巡した4月10日までに通算8勝6敗1分けと、例年にもまして好スタートを切った。

今週のDeNA3連戦は水曜の雨天中止を挟んで2連勝、広島カープと同率で再び首位に躍り出た。快調である。

 

14日はTV放映がなかったので、夜のスポーツニュースを楽しみにしていたのだが、

その矢先、9時のNHKニュースの途中、9時26分頃に緊急地震速報が飛び込んできた。速報が画面に表示が出され『緊急地震速報です』、『熊本で震度7、マグニチュード6.4』と、女性キャスターが繰り返し何度も呼び掛ける。

 

阪神淡路大震災を経験している家内はテレビ画面に釘付けになって、余震の報道の度に『震度7というと神戸と同じよ。怖い~大丈夫かなぁ?熊本の同僚議員に連絡したら…』等々、完全に冷静さを失って心配している。

 

TV画面からは熊本市内中心部の情景は刻々と伝わるものの、肝心の震源地近くの被害情報は夜なので良くわからなかった。

震源の益城町では避難場所の体育館に400人の被災者が駆けつけたらしいが、天井の一部と照明器具が落下したので、野外の広場に多くの方が毛布にくるまって不安な夜を過ごされたと、朝のニュースで報道されていた。

熊本県災害対策本部がまとめた15日午前9時時点の被害状況は、死亡者9人、重軽傷者は886人。倒壊家屋多数で、火災4件。強い余震が続くなか熊本県内では一時約4万4千人が避難所に身を寄せたという。

 

災害は忘れた頃にやってくるといわれる。

私が本部長をつとめる党の教育再生実行本部は、4月4日に第6次提言をとりまとめ安倍首相に提出した。

その中には『学校は地域の災害時の避難場所であり、構造上の耐震化はもとより吊り天井などの非構造部材も含めた老朽化対策を万全に施し、更には地域コミュニティの拠点として、バリアフリー化や空調の整備も含めた総合的な安全性の確保が重要』と提言したばかりだが…。

 

今日から再開が予定されていたTPP特別委員会は、総理の震災についての報告のみで、今日は取り止めとなり政府は震災対策に最優先で取り組むことになった。

最近、東日本大震災の政府の初動対応についての議論がスタートしたが、とにかくス

ピード感が求められる。

 

補欠選挙や国会審議も重要ではあるが、今は与野党とも一致結束して震災対応に当たらなければならない時である。

 

東日本大震災の時に一部でみられた、政治的パフォーマンスや現場が混乱するような被災地訪問は、嚴に慎むべきである。とにかく初動が大事である。政府は党派を越えて協力して貰えるように情報提供する。各党がバラバラに現地に入るのではなくて、超党派の現地調査団を編成するなどして、被災地の負担軽減に心掛けるべきである。

 

そうでなければ、過去の教訓を生かした事にはならない。

一日も早い復旧を、その為に何ができるか、政治の真価が問われている。

民進党

民主党と維新の党は昨年末に統一会派を結成し、今年になって合流に向けた話し合いが行われていた。交渉は紆余曲折を経てようやく合意に達し、3月27日(日)、新たな党名を「民進党」として結党大会を開催した。これにより、国会議員156人(衆院96人、参院60人)の野党第1党が誕生したことになる。

 

政党の結成に際しては、本来どの様な政治理念の実現を目指すのかを明確に示し、活動の基本となる綱領の作成についての議論に力が注がれるが、それを後回しにして合流の方法論や党名に関する協議に多くの時間が費やされた感は否めない。

 

合流方法を巡っては維新の“吸収合併”を主張する民主党と、双方解党による“対等合併”に固執する維新との間で平行線が続いたが、最終的には民主党を存続させて、党名を変更した上で維新を吸収する形となった。

また、党名は「国民とともに進む政党」と思いを込め、「野党勢力を結集して、政権を担うことができる新たな新党を作る」とするが、結党大会の会場では国旗は片隅に掲示され、国歌は斉唱されなかったという。政権を担おうとする政党の姿かと疑問が湧く。

 

何よりも、政策の方向性が不明で、どの様な日本を作ろうとしているのかが見えてこない点が最大の問題点だろう。単に与党との対立軸としての合流新党では、価値観が多様化している我が国において魅力ある選択肢になるとは思えない。イデオロギー論争が終わった現在、保守とかリベラルと言った単純な言葉では政党カラーを表現することは難しいだろうが、国民の心に響くメッセージがなければ「選挙目当ての理念なき看板の掛け替え」、野合と言われても仕方がない。

 

執行部人事では、代わり映えのしない名が連なる中で、衆院当選2回の山尾志桜里氏が政調会長に抜擢された。山尾氏は、子供を保育園に入れられない不満を「日本死ね」と表現した匿名ブログを取り上げて首相を追求し、一躍脚光を浴びたのは記憶に新しい。

カウンターパートナーである自民党の政調会長は稲田朋美氏。与党と野党第1党の政策責任者が奇しくも女性というのは、安倍政権の看板政策“女性活躍時代”に配慮したキャストとの感がしないでもない。

 

また、両氏とも法曹一家で山尾氏は元検事、稲田氏は元弁護士である。最初の法廷対決(?)はNHKの日曜討論になるのだと思うが、政府与党の政策を追求する山尾検事、反論する稲田弁護士という構図を思い描くのは私だけではあるまい。相手の失策を攻撃する誹謗中傷合戦ではなく、具体的な法案制定につながる政策形成議論を期待したい。

 

一方、最近、我が党議員による不用意な発言が続いている。1強多弱と言われ、圧倒的な議員の数による政権与党の運営について、党内外から緊張感が欠如しているのではないか指摘されているのも事実だ。民進党の発足により、与野党間の良い意味での緊張感が高まり、我が国の政治に吉となることを望みたい。

 

29日には平成28年度予算案も成立する見通しだ。国会審議の重点は、TPP関連法案に移り、さらには伊勢志摩サミットに向けて外交政策、世界の景気浮揚に向けた経済対策等が後半国会の重要課題となるが…。

 

民進党の発足を契機に政局は一気に夏の参院選挙(衆参同時選?)に向けて走り出すことも間違いないだろう。岡田代表は「選挙戦で結果がでなければ9月の代表選には出馬しない」と、退路を絶って覚悟を示している。

迎え撃つ我々与党もより緊張感を持って、日々の活動に専念しなければならない。