近況報告

政府は19日、臨時閣議を開き、1.新型コロナの感染拡大の防止 2.「ウィズコロナ」下での経済社会活動の再開と次なる危機への備え 3.未来社会を切り開く「新しい資本主義」の起動 4.防災・減災、国土強じん化の推進など安全・安心の確保、を柱に据えた新たな経済対策を正式に決定した。財政支出は過去最大の55.7兆円で、民間資金も入れた事業規模は78.9兆円となる。

4本の柱の中で今後の日本経済の針路を示すのは、「新しい資本主義」への起動である。賃上げを行う企業への税制支援、看護・保育・介護の現場で働く人々の給与引き上げ、最低賃金引上げ助成など経済的弱者を支える分配戦略に意を用いつつ、分配すべき糧を拡大する成長戦略にも力点を置いている。

なかでも、注目すべきは成長戦略のど真ん中に科学技術イノベーション政策が据えられていることだ。その核となる大学の研究レベルを高めるため、10兆円規模で“大学ファンド”を年度内に設置、世界に伍する研究大学を実現するため来年度から運用を始める。

さらに経済安全保障の強化として、先端的な重要技術の研究開発や実用化の支援のため、5,000億円規模となる基金の創設も盛り込まれた。念頭に置く分野は人工知能(AI)や量子技術、宇宙開発などである。政府は今年中に関連するシンクタンクを創設する予定で、大学など研究機関を支援する。

国産のワクチン開発や治療薬開発も含め、今回の補正予算における科学技術関係予算の総額は2.2兆円余りとなる。科学技術・イノベーション調査会からの提案はほぼ盛り込まれており、私としては満足できる結果となっている。

総選挙後、党や国会で一連の人事が行われた。自民党においては、私は引き続き「科学技術•イノベーション戦略調査会会長」を務めることになった。

世界を見渡すと、ポストコロナの国家間の技術覇権争いの動きが益々激化している。AIや量子などの新興技術や、先端半導体製造といった先進基盤技術について、その経済安全保障上の重要性が強く認識され、各国で多額の投資が行われている。また、カーボン・ニュートラルの実現など地球規模の課題解決のため、イノベーションへの抜本的投資強化を打ち出す必要もある。これまで以上に調査会の役割が増え、より闊達な議論が求められると予想される。しっかりと責任を果たしていきたい。

一方の衆議院では、「国家基本政策委員会委員長」に就任することになった。「国家基本政策委員会」とは何の審議をするのか分かりにくいと思うが、「党首討論」と言えば分かり易いだろう。このところ存在感が低下していると言われているが、国家の在り方、方向を探るべく、党首間による活発な議論が実現するよう努力したい。

11月も後半となり、コロナ対策や東京オリンピック・パラリンピック、自民党総裁選や総選挙と様々な出来事があった2021年も残すところ40日余り。年末に向けて臨時国会はもちろん恒例の税制改正議論や来年度予算編成引き続き慌ただしい日々が続くが、緊張感を持って国政に臨んで行きたい。

国民の審判

10月14日午後1時から開かれた本会議で衆議院は解散され、19日公示、31日投開票に向けて事実上の選挙戦に突入した。

解散によって議員らは立候補者となって議席を争うことになる。いわば、解散は議員らへの「リストラ宣言」でもある。「クビ」になったのに、なぜ目出度いことを祝うかのように万歳をするのだろうか?

解散後の「万歳」が初めて記録されたのは、1897年(明治30年)のこと。12月25日の「第11回帝国議会」の会議録を確認すると、当時の鳩山和夫議長(鳩山由紀夫氏の曽祖父)が解散詔書を読み上げ解散を宣言した後、「拍手起リ『萬歳』ト呼フ者アリ」と記載されている。その由来については、「景気づけ」「やけっぱち」「内閣への降伏の意」「天皇陛下への万歳」など…。諸説あり、理由は定かではない。

「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」。衆院解散でおなじみの光景だが、14日の解散時、万歳しなかった小泉進次郎氏は「みなさん、万歳三唱をみましたか。解散のときにみんな、万歳を言うんです。なんで言うんですか?国民のみなさんに大声を出すのをやめましょうと言っているじゃないですか。本会議場でなぜ、大声でばんざーいって言っているんですか」とぴしゃりと言い放ったという。

私も同じような理由で万歳をしなかったことがあるのだが、その時の選挙で落選してしまった。万歳をしなかったから落選した落選したわけではないと思うが、それ以来私は何も考えずに万歳することにしている。

今回も日本維新の会のみなさんが同じ理由により万歳しなかったと報道されていた。それも一理あると思うが、事前にそんな話があっても、おそらく私は万歳をしていただろう。ただし、大声はださないで。

今回の衆議院選挙に立候補せず、今期限りでの引退を表明している議員がおよそ30名いる。

自民党では、12回連続で当選し、今回の解散詔書を朗読した大島理森議長や、衆議院議長や閣僚、党の幹事長などを歴任した伊吹文明氏、運輸大臣や厚生労働大臣などを務めた川崎二郎氏らである。

立憲民主党では、農林水産大臣、衆議院副議長などを歴任した赤松広隆氏や国家戦戦略担当大臣などを務めた荒井聰氏ら。公明党では党の代表などを務めた太田昭宏氏、幹事長などを務めた井上義久氏らが引退。また、社民党のベテラン照屋寛徳氏も。

振り返れば私が初当選したのが1986年、同期性は確か67人いたと記憶している。

35年が経過して今回も立候補を予定しているのは、私を含めてわずか5人となった。些か複雑な気持ちにさせられる。私もそろそろ身の処し方について考えなければならないかもしれないが、今回の出馬には全く迷いは無い。

岸田文雄新総理は、成長戦略のど真ん中に「科学技術・イノベーション戦略」を謳っている。

私がライフワークとして取り組んできた仕事だ。これまで温めてきた政策がいよいよ結実する時がきた。

私にはやりたいことがある。まだやれることがある。その為にはこの選挙で国民の審判を受け、信託を得なければならない。そして、日本の未来を切り拓く為に再度国政の場で働きたい。それが今の私にとって「未来への責任」を果たすことと、確信している。

続・官民連携ゲノム解析チームを!

政府は、1都3県の緊急事態宣言を21日で解除することを決定。およそ2カ月半にわたった今回の宣言は、すべて解除されることになった。

一方、首都圏では新規感染者が横ばいから微増の傾向にあることや、来月にかけて歓送迎会や花見など人が集まる機会が増えることも想定されることなどから、リバウンドが懸念される。新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長は、今回のコロナ感染症の流行は1~2年続くとも言っている。

 

このため宣言を解除した後も、①飲食の感染防止や、②変異したウイルスの監視体制の強化、③感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、④ワクチン接種の着実な推進、

⑤医療提供体制の充実、の5つの対策を徹底し、感染の再拡大防止に全力を挙げる方針だ。

対策のうち②については、前回コラムの“官民連携ゲノム解析チーム”の構築を急ぎ、サーベイランス能力の向上を図らなくてはならない。その際、昨夏以来、自民党の行革推進本部や科学技術・イノベーション戦略調査会から出された政府への提言『(1)有事は国が司令塔となる、(2)「公衆衛生・疫学研究」と「地域医療・臨床研究」の一体化を行う、(3)感染症データは国が一元管理するとともに積極開示を行う』が原則となる。

 

イギリスの英国医師会雑誌とNature誌は、英国型変異ウイルスは従来型に比べて死亡率が50%位高いとする分析を掲載している。この変異株の比率が日本でも拡大する傾向にある。しかも英国型よりも強毒性で強感染力のウイルスへの変異がいつどこで起こらないとも限らない。しかし、それを発見する我が国のサーベイランス体制、能力は脆弱と言わざるを得ない。

 

19日の久元喜造神戸市長の記者会見によると、神戸市の3月5日~11日までの陽性検体における変異株率速報値は55.2%。2月以降一週間毎の推移は、4.6%→10.5%→15.2%→21.9%→38.8%→55.2%と増加の一途を辿っている。このような状況把握ができるのは、神戸市の環境保健研究所が独自の方針で昨夏からゲノム解析調査を充実、新規感染者の6割以上の検査を行ってきた成果だ。これに対して、国が地方の研究所に求めてきた変異株調査レベルは、感染者の5~15%の検査であり、この数値をクリアできない(検査能力が不足している)自治体も多い。

 

先日も触れたが、現在わが国の疫学調査は、保健所ごとに対象もレベルもバラバラで統制がとれていない。また、ゲノム解析は国立感染症研究所のみが担うことになっている。特に「公衆衛生・疫学研究」と「地域医療・臨床研究」の一体化については、所管省が厚労省と総務省や文科省に分かれていて、政治主導でないと解決しない課題である。ここは政治の出番、政治の責任とリーダーシップで改革を実行しなくてはならない。

真っ先に実施すべきは、変異株を漏れなく発見する仕掛けを立ち上げることだ。大学医学部や民間検査会社など、ゲノム解析能力を保有するあらゆる機関を連携させる必要があり、“官民連携ゲノム解析チーム”体制の構築は、緊急かつ必須の課題だ。

 

そこで自民党では政務調査会に、コロナ本部ガバナンス小委員会、データーヘルス特命委員会、科学技術・イノベーション戦略調査会の合同会議を設置し、精力的に議論を重ね、前述の内容を「変異株のモニタリング体制に関する緊急提言」として、西村康稔担当大臣と田村憲久厚生労働大臣に申し入れを行った。

 

ウイルスの変容を早期に捉え、感染拡大阻止や経済対策のエビデンスを整えるとともに、広範な調査と高精度のゲノム解析のスピーディーな体制づくりが非常に大切だ。

政府には党の緊急提言に沿って、ALL JAPANのモニタリング体制を構築することを強く求めたい。

ソフトパワー

東京オリンピック代表選考会も兼ねておこなわれた第97回日本選手権水泳競技大会が、4日から10日まで本番の会場となる東京アクアティクスセンターで開催された。

わずか1年で白血病を乗り越えて復帰した池江璃花子選手が、初日4日から100mバタフライで優勝し、オリンピックメドレーリレーの代表に内定!7時のニュースのみならず夜のスポーツニュースすべてのトップ扱いだった。8日には100m自由形でも優勝、400mリレーの代表権も得た。

 

最終日の10日には、50mバタフライと50m自由形も制覇し、エントリーしたすべての種目で勝利し4冠を達成した!大会8日間で11本のレースを消化したことになる。選手権に出場しただけでも驚きであったが、コロナ禍のもとトレーニングも大変だったと思うが、よくぞここまで復調した。多くの国民に夢と感動を与えたことだろう。

今大会は疲労を残さないようクールダウンも念入りにおこない、できるかぎり早く就寝したともいうが、いくら20歳の元気盛りとはいえ、その努力は筆舌に尽くし難いものがあったであろう。夏の本番までにトレーニングを重ね、さらに成長した姿を見せてほしい。

 

3月には大坂なおみ選手が全豪オープンを2年ぶりに勝利し、4回目のグランドスラムを

達成した。現地時間4月3日には、世界屈指の名門コースで開催された「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権」で、滝川二高3年の梶谷翼(17歳)さんがプレーオフを制して栄冠を勝ち得た。そして、今朝、米国から松山英樹選手がゴルフ界の頂点、マスターズ・トーナメント優勝というビッグニュースが飛び込んできた。日本人初のメジャー制覇だ。

コロナ禍で閉塞感が漂う中にあって、明るい話題が日本中を駆け巡った。スポーツや文化が持つソフトパワーを見せつけられた気がする。

 

新型コロナ感染の再拡大を受けて、大阪と兵庫、宮城の3府県を対象に5日から、今国会での法改正で盛り込まれた「まん延防止等重点措置」を初めて適用した。大阪市や神戸市など阪神間の5市では、飲食産業への営業時短要請が夜8時までに強化され、クラスターが発生しやすい高齢者施設や歓楽街でも頻回な検査も実施されることになる。更に12日からは、東京、京都、沖縄が追加される。

 

その一方、3月21日の緊急事態宣言解除を受けて、厳しく自粛が求められていたスポーツや文化イベント、コンサートなどの観客数が、施設規模に応じて一定緩和された。例えばプロ野球では、上限が5000人から1万人に引き上げられた。だが、甲子園の収容人数からすれば、5分の1だ。これまでに蓄積してきた知見を生かせばもっと緩和できると思われる。現に、スーパーコンピューター“富岳”がシミュレートしている「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測と対策」「パンデミック現象及び対策のシミュレーション」等々、科学的エビデンスもある。

 

飲食業や観光業など、業種によってはコロナ破綻も叫ばれて久しい。特に地方経済への深刻な打撃を救済することが喫緊の課題だ。われわれ政治家には財政出動も含め、いま以上の景気の落ち込みを阻止する判断が求められている。そのためには、科学的エビデンスの下、必要に応じて、スポーツ・文化イベント、旅行などの制限緩和は必要だ。

 

科学的エビデンスを得るうえでは、前回、前々回のコラムで言及したとおり、ウイルスの変容を早期に捉えるモニタリングと、広範な調査と高精度のゲノム解析のスピーディーな体制づくりが非常に重要である。4月1日には体制整備にむけたプロジェクトがスタートした。今後は、その進捗状況をしっかりとフォローアップしていきたい。

 

ところで、私にとってスポーツのパワーの源泉は、阪神タイガース。

昨年は、開幕12試合が終わった時点では1勝10敗1分けで断トツ最下位!今年は8勝4敗で首位!週末のDeNA戦に3連勝、11勝4敗で首位キープだ。

春先に調子がよいと、「今年こそ優勝だ、日本一!」と、虎党は幸せな気持ちになれる。いまは1万人しか入場が許されていないが、1日も早く超満員の甲子園で六甲おろしが歌える日が来ることを切に願っている。

官民連携ゲノム解析チームを!

 政府は5日夜、新型コロナウイルス感染症の対策本部会合を開き、首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言について、期限を21日まで2週間延長すると決定した。またこの延長に伴い、感染再拡大の予兆や感染源を早期に掴むためのモニタリング検査の実施や、感染者の濃厚接触者などを調べる「積極的疫学調査」の強化等を新たに対処方針に盛り込んだ。

 RNAウイルスは絶えず変異を繰りかえす。今回のコロナウイルスも既に英国型、南ア型等の変異株が次々と現れている。日本オリジナルの強力な変異株が、いつ生まれないとも限らない。

 そこで過日、慶応大学医学部臨床遺伝学センター長の小崎健次郎教授を、党の科学技術・イノベーション戦略調査会にお招きし、14病院での全ゲノム解析に基づく研究成果を「新型コロナウイルスの変異のモニタリング」と題してお話し頂いた。

 その中で小崎教授から、現下の変異株問題への対応策として早急に整備すべき体制について有意義な提案を頂いた。

それは、

①  国(厚労省・感染研)が全体の司令塔となる。

②  大学医学部とその連携病院等の「臨床研究ネットワーク」を、保健所・地方衛生研究所・国立感染症研究所の「公衆衛生ネットワーク」とリンクさせ、全国をカバーして立ち上げる。

③  現行の「公衆衛生ネットワーク」での変異株同定と並行し、ゲノム解析能力を有する大学等がウイルス全ゲノム解析を行い、既知の変異株に加え新たな「日本型」変異株も常時同定可能とする。

④  大学等での解析データは、感染研に集約すると同時に連携病院等に還元、院内感染管理、治療法開発等に寄与する。

⑤  同時に係るデータは、個人情報保護を前提に時期や場所を特定しつつ国民、研究者、製薬企業等、世界に積極開示し、国際データベースのGISAIDへも公開する。

⑥  大学等は、研究・論文作成を加速し、未知の変異株解明に寄与する。

というものだ。

 実はこのような趣旨は、昨夏以来、自民党の行革推進本部からも、コロナ対策本部感染症対策小委員会からも、私が会長を勤める科学技術・イノベーション戦略調査会からも、政府に対して提言が行われている。いずれも、(1)有事は国が司令塔となる、(2)「公衆衛生・疫学研究」と「地域医療・臨床研究」の一体化を行う、(3)感染症データは国が一元管理データは国が一元管理するとともに積極開示を行う、という点で共通する。

 ウイルスの変容を早期に捉え、素早く対応策を講ずるには、水も漏らさない広範な調査と高精度のゲノム分析を迅速に行う体制が求められる。これは今回のコロナ対応に限らず、一般的な感染症対策として必要な備えである。しかしながら、現在我が国の疫学調査は、保健所ごとに対象もレベルもバラバラで統制がとれていない。また、ゲノム解析は国立感染症研究所のみが担うという極めて貧弱な体制である。

 それにも関わらず、未だに政府の総合体制整備が進んでないことに、些か苛立ちを覚えている。特に(2)「公衆衛生・疫学研究」と「地域医療・臨床研究」の一体化については、政府(主に厚労省と文科省)に任せていても一向に進展しないだろう。

 ここは政治の出番、政治の責任とリーダーシップで解決しなければならない。真っ先に実施すべきは、変異株を漏れなく発見する「官民連携ゲノム解析チーム」体制の構築だ。大学医学部や民間検査会社等、ゲノム解析能力を保有する機関を連携させる必要がある。感染症サーベイランスの充実は必須の課題だが、仮に日本で第4波が発生し、欧米のような感染者の急拡大、重症者の急増を招いても、しっかりと対応できるようシミュレートしておくことも重要である。

 自民党コロナ本部ガバナンス小委員会での変異株対策検討作業が先週から始まった。データヘルス推進特命委と科学技術・イノベーション戦略調査会がともに協力して、三者一体でこの課題を早期に解決しなければならない。

火星探査

 地球の環境に最も近い惑星である「火星」は、今や世界各国が新発見を競い合う探査ラッシュの様相を呈している。先行していたアメリカ、EU、ロシア、インドに続き、今月9日には日本のHⅡAで打ち上げられたUAEの探査船も周回軌道に入った。

 そして、19日朝には「忍耐」を意味する「パーシビアランス」と名付けられたアメリカの新型探査車が火星に着陸した。昨年7月にフロリダから打ち上げて以来7か月、4億7千万キロを旅し、かつては湖だったと考えられている「ジェゼロ・クレーター」という地点に降り立ったのだ。先輩探査車「キュリオシティ(好奇心)」と同様に、これから2年間、数十キロを走り周って探査を続ける。その名のとおり根気強くコツコツと火星の地中を調べ、微生物が存在する(した)ことを確認してもらいたい。

 この探査車の開発には、NASAの研究所に勤務する日本人エンジニア、大丸拓郎さん(31)が参加している。大丸さんは着陸が成功した直後にNHKの取材に答え「無事に着陸してほっとしたが、これからが本番なので、厳しい環境の火星で探査車が計画どおりに動いてほしい」と語っている。今回のプロジェクトでは、搭載された小型ヘリコプターで、火星の薄い大気の中での飛行試験に挑むほか、将来、地球に持ち帰ることを前提にドリルで地質のサンプルを採取することも計画されている。

 大丸さんは「明るい話題がない中、火星探査機は希望を与えてくれる象徴のような存在。生命の痕跡を見つけられれば、人類にとって大きな発見になる。注目してもらえればとてもうれしい」とも話されていた。

 思い起こせば、幼いころの私はロケットを作ることを夢見ていた。宇宙工学を専攻しMITに留学してNASAで仕事をしたい、などと言っていた時期があった。そういうに考え至った理由は定かでは無いが、アポロ計画が影響したことは間違いない。中学時代の私はアメリカの若き大統領、ジョン・F・ケネディに憧れ、1962年9月12日に国民へ向けて行われた演説の一説、“We choose to go to the moon(我々は、月に行くことを決めました)”というくだりにとても感動した記憶があるのだ。

 残念ながらケネディ大統領は、その演説のわずか1年後に暗殺され、自分の目でアポロ計画の実現を目にすることは叶わなかった。しかし、無謀にも思えた「10年以内の有人月面着陸」という夢のような公約は1969年7月16日に確実に達成された。

 半世紀たって我々は、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にないより大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進する新たな制度を創設、「ムーンショット*」と名付けた。

 私の人生は、かつての夢とは全く異なる方向に進んだが、今回のような“宇宙開発”に関する報道に接すると、今でも未知への挑戦を繰り広げている科学者を羨ましいと思うことがある。今般のコロナ対策でも明らかなように、国民への説明責任を果たす上で、政策決定には科学的知見に基づくエビデンスが必須でもある。科学者にはなれなかった私ではあるが、これからも政策形成のプロセスで科学に関わっていきたいと思う。

追伸:20日の夕刻、オーストラリアから「大坂なおみ全豪オープン優勝!」という素晴らしいニュースが飛び込んできた。五輪組織委員会を巡る問題を吹き飛ばすような、彼女のパワフルなプレーと笑顔の優勝スピーチは、改めてスポーツが持つ力を実感させてくれた。今夏のオリンピックでも大阪選手の大活躍を観られるためにも、まずはコロナウイルスの感染終息に向け万全を尽くさなければならない。

*ムーショット目標(2050年までに)
目標1 人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
目標2 超早期に疾患の予測・予防することができる社会を実現
目標3 AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
目標4 地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
目標5 未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食糧供給産業を創出
目標6 経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
目標7 主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現

science for policy

“科学の発展によって産業が発達し生活が豊かになる”

20世紀はそんな前提が共有されていた時代であった。第2次世界大戦中のマンハッタン計画以降、米国では国家が主導する形で科学の進歩を牽引してきた。ケネディ政権下のアポロ計画、ニクソン政権のがん征圧計画、クリントン政権の情報スーパーハイウェイ構想やナノテクイニシアチブなどである。そんな国策のもと、開かれた研究環境と厚待遇で世界中の頭脳を集積させ、国家プロジェクトで科学の発展方向を示し、半世紀余りにわたり軍事や産業で世界のトップに君臨した。

21世紀に入ると、情報技術の進歩により世界中が瞬時につながる時代を迎えた。これとともに産業活動は、優秀で安価な労働力、より大きな消費市場を求めて一気にグローバル化していった。この時流に乗った勝者には巨大な富が集中した半面、旧来型の産業観の持ち主にとっては仕事が海外に奪われたのである。後者には、科学は豊かさをもたらすものではないとの不満感も芽生えたかもしれない。このような新技術の恩恵を実感できない人々の存在が、科学を意に介さないトランプ政権を産み出した要因の一つかも知れない。

トランプ大統領は、気候変動対策「パリ協定」からの離脱をはじめオバマ政権の政策方針を数多く覆したが、その中で科学技術政策にも厳しい姿勢を示した。地球温暖化を緩和する環境対策研究をはじめ、温暖化対策国立衛生研究所(NIH)や疾病対策センター(CDC)の予算削減案を提示した。さらには昨年来のコロナパンデミックの下で、WHOからの脱退まで表明した。

そんなアメリカの科学技術政策が、バイデン大統領の誕生により大きく再転換することになった。パリ協定への復帰、WHO脱退の撤回、新型コロナ対策の新戦略策定と、次々に改善策が打ち出されている。その中で、大統領科学顧問に「ヒトゲノム計画」で名をはせたエリック・ランダー氏を指名した。指名にあたり大統領は、パンデミックの教訓を今後のさまざまな公衆衛生の向上に生かす方策、加えて、気候変動への対処、技術や産業で世界的リーダーであり続けること、科学の成果をすべての国民が共有できるようにするための方策などを求めている。

我が国でも首相に科学技術顧問が必要という議論が長年続いているが、未だに実現していない。今回のコロナ対策に見られるように、政策決定に科学的根拠が求められる場面も多く、専門的知見で首相を支える役職の設置は喫緊の課題である。

一方、自民党科学技術・イノベーション戦略調査会では、昨秋以降「政策の為の科学(science for policy)」について議論を進め、年末には中間報告をまとめた。

その中で「アカデミアは「正当性」、政治は「正統性」を追求するという、視点の違いがある。この両者が対話をすることにより、国民の幸福や利便が増進する可能性がある。しかし現状は、アカデミアと政治の間の対話が少なく、それは双方にとって不幸なことでもあり、国の発展や国民の幸福の増進には繋がらない」として「アカデミアと政治の対話の必要性」を提言している。

また「アカデミアと政治・行政が適切に対話するためには、まず両領域を仲介する何らかの境界組織、あるいは政府系・非政府系を問わないシンクタンクなどの組織が必要である」として、「科学と政治を繋ぐ境界組織」の必要についても言及している。

アフターコロナの新社会創設に向けた覇権争いは激化している。各国とも科学技術・イノベーションを政策の中核に据え、これまでとは次元の異なる投資を計画している。日本も後れを取ることはできない。

あらゆる政策の立案と実行にはデータに基づく根拠が必要であり、そのためには科学的知見が不可欠だ。学術会議問題で「政治と科学の関係」が揺らいでいる昨今ではあるが、「政策の為の科学」(science for policy)について改めて問い直し、信頼関係を再構築しなくてはならない。

※米国2018年度会計予算教書における科学予算の削減=知的財産権の保護等を含む経済連携協定(EPA)は前年比31%減と最大の減額幅。生命科学研究に資金を供給する米国立衛生研究所(NIH)も18%の減額だ。感染症対策を担う米疾病対策センター(CDC)が17%減、全米科学財団(NSF)が11%減と、科学研究予算では米航空宇宙局(NASA)以外は軒並み減額となっている。

メモリアルデイ

 年を跨いで新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。1月8日に首都圏1都3県に再発令された緊急事態宣言を、14日には栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県にも拡大し、11都府県が対象となった。昨春の宣言時と異なり、今回は休業要請などの対応は緩和されているものの、国民の皆さんにとって再び我慢の時が始まることとなった。

 菅義偉総理や関係都府県知事は、国民の協力によりこの難局を乗り越えるべく、懸命に呼びかけている。西村康稔大臣や専門家が新宿や渋谷の大型パブリックビジョンでも道行く人達に必死に訴えているが、今のところヒトの流れはそれ程減っていないようだ。

 人々の行動変容が感染者数の減少として現れるまで2週間程必要なため、今回の対策の結果が判明するのは今週末以降となる。対策の効果が十分でないと判断された場合には、更なる規制強化が求められることになる。

 発足当初7割という高支持率を誇った菅内閣の支持率が、4割前後まで急落している。その主要因がコロナ対策に対する不満であることは明らかだ。「未知のウイルスへの対応は誰がやっても上手くいかない」との見方もあるが、果たしてそうだろうか?何か足りないものがあるのではないのか? 与党の一員として、責任を改めて問い直さなければならない。

 例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正。通常国会に規制強化策を盛り込んだ改正案が提出される予定だが、遅きに失したのではないか? 党内では、この類の改正の必要性が8月に提起されていたが、個人の行動制限や罰則に対する慎重論があり、事態が深刻化するまで議論が進まなかった。東京都は先日、3ヶ所の公的病院をコロナ患者受け入れ専用病院とすると発表したが、この発想も昨夏に提案されていたものだ。

 今から考えると何故もっと早くできなかったのかと、反省しきりではある。第一波、第二波の感染対策が一定の成果を得ていたので、「そこまでやらなくても」との甘い判断があった。最悪の事態を想定する力が足りなかったものと思う。政治は結果責任を問われる。危機管理の在り方を改めて問い直さなければならい。

 日本の医療体制にも疑問が寄せられている。人口あたりのベッド数が世界で最も多く、感染者数は圧倒的に少ないのに、何故医療が逼迫するのかという点である。当面、目の前の医療崩壊を防ぐ緊急対応措置が先決だが、ある程度事態が沈静化したら、医療資源の配分、特に人的資源の養成と配置について、改めて検証する必要がある。

 今日、18日には総理の施政方針演説をはじめとする政府4演説が行われ、国会での論戦がスタートする。国家像が見えないと言われている菅総理がどんな施政方針を表明し、与野党の質問にどう答えるのか、じっくりと確認したい。

 菅総理にとっては初めての本格的な論戦の場となるこの国会は、正に政権の命運を賭けた勝負の場となるだろう。安倍前総理の突然の辞任により計らずも(?)その座に就いた菅総理ではあるが、ここは国家の最高責任者として覚悟を持って臨んで欲しい。

 昨日は、阪神・淡路大震災のメモリアルデイ。26年前の1月17日AM5:46に阪神淡路地方を襲った大震災は、6千4百余の人生を一瞬にして奪い去った。早朝からのニュースを見ながら、震災からの復旧・復興に駆けずり廻った日々を思い出した。そして当時、「想定外」、「未曽有」という言葉が繰り返し使用されたことも脳裏によみがえった。

 あの時と同じく今も国難の時、危機管理能力が問われる時であることは変わりない。そして、「想定外」を無くし、「未曽有」の災禍に適切に対応することこそが危機管理の本質であり、政治の果たすべき役割であろう。

 26年前の日々に想いを馳せながら、コロナ禍という新たな国難に政治責任を果たすべく、更なる努力を重ねて行きたいと思う、今年のメモリアルデイ(1月17日)である。

年頭所感 (2021)

明けましておめでとうございます。

全世界に蔓延する新型コロナウィルスへの対応は長期戦を覚悟せざるを得ません。一方でワクチン開発といった朗報も届いています。今年こそは新しい日常を確立し、飛躍の年としなくてはなりません。

まずは、ウィズコロナ社会の実現です。人類は結核など数々の伝染病を克服してきました。新型ウィルスも不治の病ではありません。ただワクチンや新薬の普及までは、マスク着用や三密回避による感染拡大抑止が大切です。ご協力をお願いします。

パンデミック収束の先に東京オリンピック・パラリンピックの開催があります。防疫体制を万全に海外からも多くの観戦者を受け入れ、日本文化を世界に発信したいものです。

次に疲弊した経済の再生です。密集回避のために迫られたテレワークやオンライン教育の普及は、デジタル革新を加速する契機ともなりました。政府もこの動きに呼応して、秋にはデジタル庁を創設します。ビッグデータやAIの一層の活用は、生産性の向上、新産業・新サービスの創出に繋がるでしょう。また、ワーケーションや二拠点居住など、新しい働き方、住まい方に対応した制度改革も進めなければなりません。

こういったDXをはじめ、社会変革の源泉となるのが科学技術です。近年、我が国の基礎研究力の低下が懸念されてきましたが、その解決策として新たな経済対策に、大学の研究開発資金を産み出す「十兆円規模のファンド創設」が盛り込まれました。これは我々が長年温めてきた政策のひとつです。このファンドの果実として、将来のノーベル賞受賞者が次々と生まれ育つことを期待しています。

最後にふるさと播磨の発展です。昨年、“播磨地域臨海道路”のルートが決定し、都市計画の手続きが始まりました。東西50キロの高速道路は交通環境を大きく改善してくれるはずです。そして、今秋には播磨路いっぱいに高らかに秋祭りの太鼓が鳴り響くことを祈っています。

本年も引き続いてのご支援、ご指導の程、よろしくお願いいたします。

2020(年の瀬)

一年前の年の瀬は、大成功に終わったラグビーWCの興奮が冷めやらぬなか、オリンピックイヤーの幕開けを楽しみに待つ日々だった。しかし、現実には新型コロナウイルスに世界が翻弄される一年を体験することになってしまった。

世相を漢字一字で表現する「今年の漢字」は“密“。新語・流行語大賞でも、「3密」をはじめ「ニューノーマル」「アベノマスク」「アマビエ」等々、コロナ関連用語が続々とノミネートされた。

政策運営面でも、コロナ対策として、感染抑止のための社会行動規制と経済活性化に向けた需要創造という、相反する方策を状況に応じて打ち出さざるを得なかった。まさに、年初には思いもしなかった厳しい一年だった。

新型コロナウイルスの感染が国内で初めて報じられたのは1月16日。武漢から帰国した方だった。その後2月には横浜に入港したクルーズ船の集団感染への対応が注目された。が、このころまでは外国の病気といった雰囲気があった。

国内で感染が続出するのは2月下旬から。2月27日には安倍総理が、全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明。結果的に3月2日から春休みまでの期間全国一斉に休校措置が取られることになる。

3月にはこの感染症を「新型インフルエンザ特措法」の適用対象とする法改正が行われ、緊急事態宣言に基づく外出自粛要請や施設使用制限等の法的措置が可能となった。4月7日には、総理が緊急事態宣言を発令、国民生活は一変、飲食店の営業自粛をはじめ行動制限を求められた。街からは人の姿が消え、党の会合でも少人数以外はリモートとなり、国会でも本会議の採決以外は半数での審議となった。私も3ヶ月間全く地元に帰らなかった。こんな事は永年の議員生活でも初めてだった。

国民の皆様の協力により5月末に感染は一時的に収束していったが、反面、飲食店をはじめとする経済への影響はあまりにも大きかった。

7月、夏休みが始まり人の移動が活発化すると、感染は再び拡大基調となった。再度の自粛要請により9月には収まりかけたかに見えたが、10月に景気対策が本格稼働すると、寒さの到来とも相まって、11月には第3波が到来した。感染力を強化した変異種も発見されており、その猛威はしばらく弱まりそうもない。

一方で、いくつかのワクチンが完成したとの朗報もある。年明けもウイルスとの厳しい戦いが続くだろうが、オリンピックの季節までには何とか収束させたいものだ。

コロナ禍の夏の終わり、安倍総理が体調を理由に突然辞任。菅、石破、岸田の3氏に

よる総裁選の結果、菅義偉政権が誕生した。発足当初の高い支持率はコロナ対応への国民の不満からかここへきて急落、年を跨いで厳しい政権運営が続くと予想される。

私のライフワーク、科学技術政策の分野では、年末に明るいニュースが届けられた。12月5日、小惑星探査機“はやぶさ2”が「リュウグウ」で採取したサンプルを地球に届けてくれたのだ。小惑星の砂は太陽系の成り立ちや生命の起源を明らかにしてくれるだろう。また、6年間50億キロの旅路は、我が国の小惑星探索技術のレベルの高さを世界に知らしめた快挙でもあった。また、新スパコン“富岳”がコロナ対策で活躍し、計算能力4部門で連続世界一を獲得したことも忘れられない。

この一年間で私の政策面での成果は、先日決定された経済対策に「大学支援の為の10兆円ファンドの創設」を盛り込むことができたことだ。研究者の安定した活動経費確保をめざした長年の懸案であり、それなりの満足感をもっている。

アフターコロナの社会を見据え、世界各国も科学技術・イノベーション政策への投資を拡大している。国際社会の激しい競争に勝ち抜いて行かなければならない。

この一年間、何かとお世話になり本当にありがとうございました。来年も引き続きのご支援ご指導を、よろしくお願い致します。最後に、来るべき年が皆様にとって輝かしい年

でありますよう祈念いたします。