G7広島サミット

19日から広島で開催された今年のG7サミット。激戦が続くウクライナから大統領が来日したことにより、例年以上に世界の脚光を浴びた。「広島から核廃絶と世界平和を呼びかける」との岸田文雄総理の思いは、ゼレンスキー大統領の出席で、より力強いメッセージとなり発信された。

 

国際秩序に混乱をもたらしているロシア、中国に対してG7諸国が結束して対抗していくことは従来からの方針であるが、今回の会合でF16のウクライナへの供与をはじめ、一歩踏み込んだ合意形成が図られた。

それ以上に重要なのは、招待国として参画していたグローバルサウスの指導者たちとゼレンスキー大統領の個別対話により、ウクライナ問題について中立的な立場をとってきた新興国・途上国の理解が深まったことである。

 

なかでも注目されたのはインドの対応だ。インドとロシアは経済面でも軍事面でも深い関係にあり、3月の国連総会でのロシア非難決議も棄権した。そんなインドとウクライナがトップ会談を行うことは極めて難しい状況であったが、G7サミットという場があったからこそ可能となった。モディ首相は「ウクライナで続いている戦争は世界全体にとって大きな問題だ。経済や政治にとどまらず、人道的な問題だと私はとらえている」と述べたうえで、「インド、特に私は個人レベルで解決のためにできることは何でもする」と、ゼレンスキー大統領に伝えとされている。

 

19日にはG7メンバーが平和記念公園の原爆資料館を視察し、その後、原爆慰霊碑にそろって献花し、犠牲者に祈りをささげた。21日には、インドや韓国、ブラジルなど招待国の首脳ら、そしてゼレンスキー大統領も同様に祈りをささげた。その姿に深い感銘を覚えたのは私だけではないだろう。

各国首脳が核爆弾の使用が如何なる惨禍を引き起こすかを広島の地で共有し、世界にその不使用を発信することは、核兵器使用に対する大きな抑止力となるにちがいない。

 

この他にも、G7広島サミットでは、気候変動への対応、食料安全保障の確立、感染症危機への枠組み創設、信頼できるAIへの目標設定など、数多くの政策方針に関する合意が得られた。

様々な成果があった首脳会合だが、共同声明が実現されなくては何の意味もない。参加各国、とりわけ議長国である日本には大きな責任がある。岸田総理のリーダーシップのもと、しっかりと声明の具体化を図り、それを実行していかなくてはならない。

 

話は変わるが、サミットが終わった直後から、メディアの紙面で「解散」の文字が躍っている。

総理は「今、重要な政策課題に結果を出すことを最優先で取り組んでいる。解散・総選挙については考えていない」と答えているが、これだけはその時になってみないとわからない。

私は現時点では解散総選挙は行うべきでないと考えている。今はまだやるべきことが山積している。