ウクライナ2

ロシアがウクライナに侵攻を開始してから既に半月以上が経過した。圧倒的な戦力を有するロシア軍であるが、ウクライナ国民の強い祖国愛の前に、まだ首都キエフを落とすことはできない。

日本政府は今回のロシアの軍事侵攻について、「ウクライナの主権と領土を侵害し、力による一方的な現状変更は国際法に明確に違反する許されない暴挙である」「国際社会は結束してロシアに対して断固たる対応をすべきである」と主張している。また、「プーチン大統領はすぐにでも姿勢を改め、停戦に応じ軍を撤収するべきである」とも唱えている。G7諸国をはじめ、世界の大半の国々が同様のスタンスでロシアの暴挙をたしなめようとしている。が、プーチン大統領はそんな国際世論に耳を傾ける気は全くなさそうだ。むしろ欧米の軍事介入を警戒し、ポーランド国境付近への攻撃を強めている感もある。であれば、耳を傾けるように圧力をかけるしかない。

圧力といっても軍事力の行使は難しい(もちろん我が国にはできない)。仮にNATO軍とロシア軍が一戦交えれば、それは第三次世界大戦の始まりとなってしまうからだ。現にNATOは、自ら軍事力を行使することを明確に否定している。ウクライナはNATO加盟国ではないので、当然といえばそれまでだが、これからも自制力を維持してもらいたい。(「戦争疲れ」でアフガニスタンやイラクから撤退したばかりの米国が世界大戦を始めるとは考えにくいが…)

一方で、経済的な攻撃は強化しなくてはならない。既にG7諸国はロシアの最恵国待遇取り消しへと動いている。金融取引の停止に続き、主要国との貿易コストの増大はロシア産業に大きな打撃を与えるだろう。ロシアに立地している工場の操業停止を宣言する企業も続々と出ている。就労の場を失うロシア国民の蜂起、国内世論の喚起によるプーチン政権の政策転換は期待できないだろうか?

長期戦に対応できるようにウクライナへの支援拡充も大切だ。食糧や生活物資の提供はもちろん、継戦に必要な武器の補給は欠かせない。我が国もできる範囲内の取り組みということで、防弾チョッキやヘルメットを提供した。避難民の受け入れを宣言する自治体も数多い。

この戦争の行方については予断を許さないが、戦争終結までウクライナの人々の大きな犠牲が続くことを考えれば、我々はあらゆる手段を講じて、できる限りの支援をしなければならない。

強力な経済制裁には報復措置も避けられないだろう。交流が途絶えることによる損失も計り知れない。しかし、我々は勇気をもって行動しなくてはならない。日本が国際社会で存在感を示すためにも。