論戦スタート

このところ急激に感染が広がっている新たな変異ウイルス、オミクロン株。11日時点でのまとめでは、57の国と地域で確認されていると、報じられている。我が国では空港検疫などで10日までに13人の感染者が確認されたものの、今のところ市中感染はない。

オミクロン株については、「感染力は強いものの、重症化する様子はあまり見られていない」との情報もあるが、最終的な毒性の判断にはもう少し時間が必要だろう。

新型コロナ第5波の猛威は漸く収束してきたが、間もなく年末年始の人流が増える季節となる。オミクロン株の侵入やデルタ株の再興に対する十分な備えを取らなくてはならない。

その対策の一つがワクチン接種だ。

すでにわが国では人口1億2,622万人のうち接種者は1億人(79.0%)を超え、2回目の接種者も97,941万人(77.3%)を数えている。だが、ファイザーワクチンの接種効果が半年後に半減したというデータがあり、オミクロン株の拡大懸念からも3回目の接種が必要と言われている。

政府は当初、3回目の接種間隔はおおむね8か月以上とする方針であったが11日、高齢者や重症化リスクの高い人などをはじめ地域の実情に応じて6か月以上とし、前倒し接種を可能とした。

ここに至る過程で厚労省は6か月だと供給が間に合わないと逡巡していたが、党からの強い要請により方針が変更された。前二代の政権では「政高党低」(党より政府の力が強)とよく言われたが、“人の話をよく聞く”「政高党高」の岸田内閣となり、バランスの良い

政党政治へと着実に変化しつつある。

18歳以下への10万円給付についても、現金とクーポン併用支給を原則としている政府に対しても、各地の自治体から全額現金にすべきだとの声が相次ぎ混乱が続いている。

岸田総理は代表質問の答弁で柔軟対応を示唆してはいるが、条件付きで分かりにくく歯切れが悪い。事務処理の簡便さから、ほとんどの市町村が現金支給を希望している模様だ。条件をつけずに市町村の選択に任せるべきである。国家の命運を左右するような問題ではない。方針変更をためらうべきではない。

国会では各党の代表質問に続き、13日から衆院予算委員会で令和3年度の補正予算案の実質的な審議が始まる。岸田政権にとっては初めての予算委員会、代表質問とは異なる一問一答の本格論戦である。

与党側は、新型コロナ対策の強化や経済の立て直しに向けて、審議を着実に進めて来週半

ばには補正予算案の衆院通過を図りたい考えだ。対する野党側は、10万円給付をめぐる政府方針の混乱を質すと言われているが、議論すべきはそれだけではあるまい。

今の日本には解決すべき課題が国内外に山積している。総選挙を経て野党の構成も大きく変わった。野党第一党・立憲民主党にとっても泉健太新体制で臨む初の委員会審議である。これまでとは違った、実りある論戦が行われることを期待したい。

それが政治改革の第一歩となると私は確信する。