国際卓越研究大学

永岡桂子文部科学大臣は、1日、“国際卓越研究大学”について、「東北大学を初の認定候補に選んだ」と発表した。国際卓越大に選定されると、10兆円規模の大学ファンドから年間数百億円規模の支援を最長25年間受けられる。世界のトップ水準の研究力を目指すための新しい仕組みだ。

東北大の他に東大、京大、筑波大、東京科学大(東京工業大と東京医科歯科大が統合予定)、東京理科大、早稲田大、名古屋大、大阪大、九州大の計10大学が応募した。その選考に際し、国内外10人からなる有識者会議を設置して、書類審査やヒアリングを実施、6月には第一次選考候補を東京大、京都大、東北大の3校に絞っていた。

審査のポイントは、まずは国際的に注目される研究論文数などこれまでの研究実績、それに加えて「大学の目指す未来像」、すなわち3%程度の事業成長など、意欲的な事業・財務戦力や、大学運営の体制づくりの視点が重要とされていた。

東北大は、次世代型放射光施設「ナノテラス」などを運用して最先端研究を進めるとともに、日本語と英語の公用語化を導入し、外国人研究者と留学生の比率をそれぞれ30%に増やすことなどの意欲的な戦略提案が評価された。
ただし、東北大が掲げた▽民間起業家らの研究資金額10倍▽海外研究者の受け入れなどは課題が残るとして認定に留保をつけ、認定候補として同会議が来年度の計画認可まで伴走支援するとした。

そもそも「10兆円規模の大学ファンド」は、2020年6月に私が会長を務める自由民主党の科学技術・イノベーション戦略調査会から提言したものである。提言案をもとに財務省との厳しい折衝を経て、経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針)に「世界に伍する規模のファンドの創設」と明記され、2020年と2021年の補正予算で運用資金の拠出が実現したものである。

それだけに私は、今回の審査結果を期待を込めて注視してきた。様々な意見が寄せられる中、非常に厳しい審査であったと推察される。ここに至るまで有識者会議のメンバー各位のご努力に心より敬意を表したい。今後1年間伴走支援ということだが、さらなるご尽力をお願いしたい。