13、14日の二日間、このコラムで何度も言及した地元最大のイベントである曽根天満宮の秋季例大祭が盛大に催行された。
コロナウイルス感染拡大の影響でこの2年間は神事のみだったが、今年は屋台(やっさ)の町内巡行や“一ツ物神事”なども加わり、3年ぶりにフルスペックで行われた。
コロナが収束してないとの判断から、今年も神事のみとした神社も多いようだが、曽根天満宮では5月に早々と催行が決定されていたと言う。神社総代の話によると、「総代会でも全く異論はなく、何の迷いもなかった」とのこと。
3年間待ちに待った秋祭り!に地域の入れ込み方も尋常ではなく、各町の清書元(せいしょもと、祭りの責任者)をはじめ、屋台部、青年団は準備段階から例年以上に気合が入っていたような気がする。
私は13日の神事に出席するため、前日の夜8時に姫路駅に着いた。自宅に帰る車中から見た屋台蔵では、本番に備えて太鼓に乗せて声合わせの真っ最中で、道路の反対側まで大勢の見物客が押しかけていた。
また、別の屋台蔵では通りに面した広場に屋台を運び出して、周りを町内会の面々が取り囲みやはり声合わせの稽古をしていた。いつもの祭り前の風景ではあるが、2年のブランクが参加者を増やしているようにも思えた。
心配された天候は両日とも雲一つない好天に恵まれたが、そのおかげで気温が上昇、25度を超える夏日となり、屋台を担ぐには些かキツイ気候だったかもしれない…。
屋台は2トン近くあるので事故が起きやすい。13日の宵宮には救急車のサイレン音が何度も聞こえてきてケガを心配していた。しかし、後で聞いたら熱中症患者の救急搬送が続出したとのこと。温暖化の影響かもしれないが、季節外れの猛暑にも困ったものだ。
天満宮の秋祭りを彩る屋台は近隣の神輿屋台と異なり、それぞれの町内独自の色(白、赤、緑等々)を配する三層の布団屋根に特色がある。境内に一同が揃うと非常にカラフルなのがウリである。今年は本屋台10台、子供屋台3台が勢揃いした。
夜になると布団屋根を中心に色とりどりのLED電球で飾られ、夜陰に浮かぶ屋台の華やかさは一段とヒートアップする。
そして、境内での屋台の練り合わせのあと、竿先につけた提灯に囲まれてそれぞれの屋台蔵に帰ることになる。その道すがら、名残を惜しむかのように数台の屋台が練り合わせ、深夜まで続けられる。そして時間の経過とともに担ぎ手の体力も尽き、屋台は蔵に収められ、祭りの幕が閉じられる。
祭りの次の日から来年の祭りに向けた一年が始まるのが、我がふるさとの暦だ。元旦には、氏子青年会が初詣客に祭りのハイライトをまとめたカレンダーを配る。“一年を二十日で暮らすいい男”とは、江戸相撲の力士のことを言うが、播州浜手にもそれに近い気風がある。
改めて地域社会の“絆”を実感した3年ぶりの秋祭りだった。今年は揃いの法被と鉢巻きに加え、揃いのマスクも配られていたが、来年はマスクなしの祭りを迎えたいものだ。