解散総選挙は?

4日に投開票が行われた都議選は、自民党がなんとか第1党に返り咲いたもの

の、公明党とあわせて過半数との当初目標には大きく届かなかった。

過去の都議選の結果は直後の国政選挙に連動している。例えば、1993年の都議選

では日本新党が2議席から20議席へと大幅に議席数を増やしたが、その日本新党

が衆院選でも大躍進、非自民の細川護熙連立政権が誕生した。また、2009年の都

議選では自民党が大敗し、民主党に第一党を譲ったが、続く衆院選でも民主党が

大勝し、政権交代に繋がった。

これらの前例から推測すれば、政権与党である自公にとって秋の総選挙は厳しい

戦いにとなることは間違いないだろう。



 そもそもこの1年半の政府のコロナ対策に批判的な方々の票は野党に流れるで

あろうし、今後、ワクチン接種が予定どおり進まず、感染拡大が収束しなければ

浮動票も与党から離れることは必然だ。また、実質無観客で開催されることとな

ったオリパラ東京大会の成否も、少なからず影響する。大会がさらなる感染拡大

の一因となるような事態を招けば、政権の信頼失墜は間違いない。さらには、こ

こ兵庫県では保守分裂で激しく戦っている知事選挙のしこりも当然残るだろう。



 そんな状況下、衆院議員の任期満了まで3カ月余りとなった現在、政局の最大

関心事は、いつ解散総選挙が行われるかと言うことになる。  

解散総選挙のシナリオを考える上で今回は検討要素が二つある。

第一は自民党総裁選。菅総裁の任期は9月30日までなので、総裁選規程では9月7

日に告示され、月末までには総裁選が行わなければならない。今回は党員投票も

正式な形をとるので、それらの日程の考慮も必要になる。

第二はコロナワクチン接種状況。これまでの菅総理の発言を考えると、ワクチン

接種によりコロナの感染拡大に一定の目途がつくまでは、解散総選挙は行わない

ものと考えられる。



 オリパラ期間中に解散することも論理的に可能であるが、常識的にはない。な

ので、前記の2点を考慮した上で、憲法や公職選挙法第31条の規定に当てはめる

と、解散総選挙のシナリオは次のように整理される。

 シナリオA  オリパラ閉幕後に臨時国会を召集。冒頭解散もあるが、景気対
策の補正も取り沙汰されているので9月中旬解散?憲法の規定で解散後40日以内
に選挙となるので、投開票日は10月3、10、17日の日曜が有力となる。

シナリオB  10月21日まで臨時国会を開き任期最終日に解散した場合は、11月28日(日)の投開票も可能となる。

シナリオC  解散なしで任期満了となった場合、公職選挙法では「総選挙は議員の任期が終わる日の前30日以内に行う」と定められているので、9月26日、10月3、10、17日のそれぞれの日曜が対象となる。

つまり、国民の審判が下る総選挙は最も早いケースが9月26日、遅い場合でも11

月28日が投開票日となる。なので、永田町のこれからの動きは、すべて来るべき

衆院選を意識したものにならざるを得ない。(ただし、われわれ兵庫県の衆院議

員には、自民党分裂の構図となった県知事選が1週間後に控えているが…。)い

ずれにしても、暑い夏になりそうだ。



追伸:静岡県熱海地区で豪雨による土石流などの被害を受けた方々に心からお見舞い申し上げます。あわせて被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。