未来への責任

小沢さんの国会招致を巡る混乱で、宙に浮いた状態だった補正予算案だが、民主党岡田幹事長が「(招致の)実現に向け努力する」と約束し、ようやく審議入りが合意された。

幹事長が約束したのだから、今後、小沢さんの問題がどう扱われるかは、民主党内の自浄能力を計る物差しとなる。仮に「努力」が報われないとしたら、民主党は国民世論から厳しく体質を問われることだろう。

現下の深刻な経済情勢を緩和するためには、一日も早い補正予算の実行が必要だ。尖閣問題をはじめ政局化の火種は山積しているが、ここは、補正予算審議最優先で、早期成立を目指して欲しい。

野党にとって、国会の論戦こそが自らの政策や存在感をアピールする最大の機会だ。自民党は政府予算案に対抗する組み替え案を8日にも提示する。

我が党の経済政策、政府案との考え方の違いを分かり易く国民に伝え、支持回復に結びつけてもらいたい。

ところで政府の補正予算案提出に先立ち、自民党は通常国会で廃案となった「財政健全化責任法案」を再提出した。

この法案では財政健全化目標を

 ①2020年度を目処に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス:PB)を黒字化~

 ②2015年度までにPBの赤字を国内総生産(GDP)比で2010年度から半減~

としている。

これは政府が6月に閣議決定した「財政運営戦略」とも重なる。

菅総理も予算委員会で我が党の議員の質問に、「考え方は基本的に共通している」と答えている。本会議の代表質問でも審議に前向きな答弁がなされた。

財政健全化は、自らが財務大臣として出席した6月のG8財相会議での国際公約なのだから当然だが…。

一部メディアでは、財政健全化法案をして「民主党マニフェストへの自民党の揺さぶり」と報じているが‥‥。私はこの意見には組みしない。

そもそもマニフェストでは「政策に必要な財源は予算(特別会計を含む)の組み替えにより確保できる」となっていたが、この論が破綻しているのは先の特会仕分けで証明された。

菅総理は代表選で「マニフェストには“政策”と“財源”という2つの側面がある」とも指摘、暗に「財源」のない場合の「政策」の見直しにも言及していた。

これらを総合的に考慮すると、政府も財政健全化責任法案を審議しないと言う理由はない筈だ。

持続可能な健全な財政の確立は、誰が政権を取っても避けられない課題である。

ここはお互いに大人になって、財政の建て直しへの共通の土俵を築く努力をして欲しい。

それが今の政治に課せられた「未来への責任」だ。