メディアジャック

このところニュースもワイドショーも民主党代表選挙にTVジャックされている感がある。

個人的には飽き飽きするほど同じような映像を見せつけられていささか辟易しているが、世間では「総理を3ヵ月で変えるのは良くない」との消極的理由も幸いし、「小沢さんより菅さんが総理にふさわしい」との風評が高まっている。

その効果なのか、これと言って特筆すべき成果もあげてないのに、菅内閣の支持率が上昇している。
世界各国が次々と景気対策を打ち出しているなか、我が国は、1ヶ月余り政府の機能を麻痺させてしまい、効果的な円高対策も講じられていないのだが…。

確かに、ここ数回の代表選と異なり、今回の民主党代表選は前世紀の自民党総裁選を彷彿させる血みどろの戦いが繰り広げられている。
菅・小沢というキャラクターの全く違う候補者の全面対決(一騎打ち)の構図が、メディアの、そして国民の興味をそそっているのだろう。

しかし、両者の発言からは、日本の将来像、国家戦略は全く見えてこない。そして、これだけの批難合戦を展開すれば、戦いの後の怨念もどうなることやら? 他人事ながら心配だ。

選挙が終わったとたんに、党内融和、挙党一致という具合にまとまるなら、まさにお見事なメディアジャック、代表選による党勢拡大作戦は大成功といったところか。

そんな中、ヘッドラインはとれなかったが、先週久しぶりに自民党の話題がニュースで流れた。
9日(木)の党新役員人事の決定だ。新三役は、幹事長に石原伸晃氏(53)、総務会長に小池百合子氏(58)、政調会長は石破茂氏(53、留任)。

偶然ではあるが、3人とも2年前の自民党総裁選に立候補し、麻生元総理と総裁の座を争った面々だ。

若返りとの報道もあるが、民主党の枝野幹事長(46)、玄葉政調会長(46)と比べると若いとも言えないし、知名度は高いがそれほど新鮮な顔ぶれでもない。
ただこれまでの自民党の役員人事なら、党内力学からしてもこのメンバーにはならなかっただろう。その意味では思い切った人選だとも言えるし、各人の経験も発信力も十分だ。

来春の統一地方選挙、そして来るべき総選挙は、この新三役の下で戦うことになる。党勢拡大、政権奪還に向けて、谷垣総裁とともに新しい自民党の姿を大いにアピールしてくれることを期待している。