この国を何処へ

 7月29日、民主党は参議院選を総括する両院議員総会を開いた。
 報道によると、菅総理は消費税を巡る自らの発言について謝罪した上で、枝野幹事長が「(消費税増税は、)唐突感と疑心をもって受け止められた」などと分析した総括案を説明したという。

 しかし、出席議員からは総理や幹事長ら執行部の退陣を求める意見が続出し、2時間を超える議論の末に、ようやく、現執行部体制を継続することが了承された。
 厳しい執行部批判を展開したのは、小沢前幹事長に近いと言われる議員。民主党内の主導権争い、派閥抗争の構図がふたたび鮮明になった。

 翌30日、菅総理は国会召集日としては異例の記者会見を開き、(消費税増税問題は)「だれが首相になっても避けて通れない」と、引き続き財政再建に取り組む決意を表明した。ただ一方で、9月の党代表選では消費税問題は公約に掲げないとも発言した。

 これは、いかにも無責任な対応ではないか?
 このタイミングでの総理記者会見は、ある意味で再出発の所信表明である。
 にもかかわらず、総理の言葉は、党代表再選に向け、ひたすら低姿勢で風が去るのを待っているようにしか見えない。政策実現に向けた誠意と決意が感じられないのだ。

 先の党大会での「新しい政治の地平を開いたと評されるよう死力を尽くしたい」との続投宣言に偽りがないのであれば、この国を何処へ引っ張っていこうとしているのか、自ら描く日本の未来像をはっきりと提示して欲しい。

 そして、本気で財政再建に取り組むのであれば、消費税引き上げの立場を後退させることなく、社会保障と税制の党内議論に早急に着手しなくてはならない。
同時に、財政不足で行き詰まった昨年の衆議院選マニュフェストがどうなるのか?の議論も不可避だ。できないものはできないと、はっきり国民に示すべきだ。

 いずれにしても、まずは予算委員会での議論をじっくり聞いてみたい。