ボタンの掛け違い?

 永田町では、「俺は聞いてない」のたぐいの話が実に多い。
ちょっとした「ボタンの掛け違い」が問題を大きくすることは日常茶飯事だ。

 防止策は、情報を正しい順序で段取りよく説明することに尽きる。霞が関の官僚にはそのノウハウが蓄積されている。故に、これまで重要政策の決定過程では、有力政治家へのご説明(いわゆる根まわし)は官僚に一任されていた。

 誰には誰か強いとか、信頼があるとかも見事に分析されている。少々の躓きがあっても、政治主導のもと役者を変え、攻め口を変えて火消しにあたり、次第に収束に向かっていった。

 ところで、政府の最重要課題(となってしまった)である普天間基地移転問題。連立政権内の意見調整どころか、閣内さえ無調整と思える無秩序発言が繰り返され、一向に解決の糸口が見えてこない。

 この問題も表面上は、ボタンの掛け違いのように見える。しかし、その淵源は単純な手順のミスではなく、総理の不見識にあるのではないか。国際的な安全保障関係への影響や、基地周辺の住民感情を考えず、場当たり的に発せられる軽いメッセージこそが、問題を深刻化させている。

 「命がけで」とか「職を賭して」といった総理の言葉の値打ちは、繰り返されるにつれ、どんどん軽くなる。「あくまで5月末までに‥‥」と言われても、今や、全く信憑性がない。

 普天間問題に限らず、その場しのぎの総理発言の数々が、国政の混乱を増幅させていることを総理自身が自覚されているのだろうか?

「このままでは日本は沈没する」と多くの政治家が発言しているが‥‥私もまったく同感である。

 現政権の暴走を一刻も早く停止させなければとつくづく思う