文芸春秋の四月号に掲載された与謝野馨元財務大臣の寄稿、(さらには鳩山前総務大臣の新党設立発言)が大きな波紋を呼んでいる。
ヘッドラインが「新党結成へ腹はくくった」、サブタイトル「谷垣総裁には失望した。私が決断を下す時が来た。」となっているのだから、波紋を呼ぶのは当然である。
ただヘッドライン、サブタイトルとも必ずしも真意を正確に伝えていると私は思わない。
与謝野氏は、日本が直面している状況の深刻さ、そして政治の危機感のなさを訴えるべく、警告を発したのである。
少なくとも先日の有志の勉強会で、与謝野氏の口から直に話を聞いた同志は、その主張に共鳴し、危機感を再認識した。
鳩山内閣の支持率は30%を切る直前、危険水域近くまで下落している。原因は、政治と金、総理の発言のぶれやリーダーシップの欠如、一向に見えてこない成長戦略など、色々考えられるが、一言でいえば、国民が政権交代に託した期待に応えていないからだ。
いやむしろ、旧来型の金権誘導政治に後退している感さえある。
しかし半面、本来なら新たな受け皿となるべき自民党への支持も盛り上がらない。党再生、そして現政権に対抗する政策方針の具体像が一向に見えて来ないからだ。
与謝野氏の危機感はその様な現状認識に起因するものである。
何よりも自民党が一致結束すべき時であるとの執行部の主張は正しいが、結束の為にも解党的出直しに再手しなければならない。厳しい議論を重ね、すべての党員が合意できる新しいビジョンを一日も早く示さなくてはならない。
政策論を競い合うことをおそれてはならない。自民党の強みは、自由闊達な党風のもと、多彩な人材が主張をぶつけ合い、合意を得てきたことにある。
谷垣総裁のリーダーシップのもと直ちに人心の一新を含め、新しい自民党の姿を明確に打ち出すべきである。
参議院選挙を目前にして我が党に与えられた時間的余裕はない。そして、今の日本にもそれ程時間的余裕があるとは思えない。