引き際

現在の衆議院議員の任期は今年の10月21日。それまでには必ず衆院選が行われ

る。その前哨戦とも言える東京都議選が25日に告示され、7月4日の投開票日にむ

け激しい選挙戦がスタ―トした。開催をめぐって国論を2分している東京五輪・

パラリンピック開催を目前にした首都決戦となるだけに注目度は高い。



 焦点は、4年前の都議選で大躍進した地域政党「都民ファーストの会」と歴史

的大惨敗を喫した自民党との対決の行方。小池百合子知事が特別顧問を務める都

民ファーストの会が一定以上の議席を維持するか否かだ。我が自民党としては、

第一党の地位奪還と自公での過半数確保をめざしている。



 続いて兵庫県では知事選が7月1日告示、18日投票で実施される。我が党が分

裂状態で選挙戦を迎えてしまったことは遺憾ではあるが、私としては自民党推薦

の齋藤元彦氏の応援のため汗をかきたいと思う。

知事選が終わり、オリパラ東京大会が閉幕すれば、いよいよ総選挙の季節が訪れ

る。長期予報では、今年の夏は暑くなりそうとのことだが、われわれ衆議院議員

にとってはことさらに暑い夏になりそうだ。



 ところで来るべき衆院選を前に、ここ数日びっくりさせられるニュースが飛び

込んできた。まずは愛媛1区選出の塩崎恭久元厚労相・官房長官(70)の引退表

明。不出馬の理由には、「政策課題が形になり区切りがついた」ことや「妻の体

調」を挙げられていた。

塩崎さんとは昨年来、新型コロナ変異株サーベランスで「官民連携ゲノム解析

チームの体制整備」について、共に汗をかいてきた強力なパートナーである。既

に解析チームのプロジェクトはスタートしているが、元厚生労働大臣の塩崎さん

と元文部科学大臣の私が省庁の垣根を越えて協力できたからこそ、このプロジェ

クトが実現できたと自負している。先日も実施状況をフォローアップする必要が

あると、話し合っていた矢先の引退表明、非常に残念でならない。



 また25日には、長崎1区選出の冨岡勉議員(72)が、世代交代や自身はさらに柔

軟な社会活動へ取り組んでいきたいことを理由として、出馬を断念したと発表。

冨岡氏は長崎大学の医師であり、特に再生医療では「超党派の再生医療を推進す

る議員の会」の幹事長として中心的な役割を果たしておられた。日本の再生医療

を世界のファーストランナーに押し上げた原動力である、「再生医療関連法案」

成立の最大功労者でもあった。



 党の政務調査会や議連の会合で毎日のように顔を合わせ、ともに議論していた

彼らの突然の引退宣言に、同年代である私としては少なからずショックを受けて

いる。彼らにはまだまだわが国ためにやっていただきたかったことがあっただけ

に、とても残念であるが潔いとも言える。その決断には敬意を表したいと思う。



 この他にも、三重4区選出の三ツ矢憲生・元外務副大臣が体調を理由に、国家

公安委員長の小此木八郎氏が横浜市長選立候補するためなど引退表明が続いてい

るが、現状の国政に失望したのでなければと思うのは、私だけなのだろうかと考

えたりもする。



 彼らのFacebookなどを見ると、引退を惜しむ声が数多く寄せられている。

すでに再選を目指し秋の総選挙に立候補を決意している私ではあるが、政治家は

いつかは政界から身を引く時が来る。その時には、惜しまれて引退したいものだ

と今から考えている今日この頃の私である。