ソフトパワー

東京オリンピック代表選考会も兼ねておこなわれた第97回日本選手権水泳競技大会が、4日から10日まで本番の会場となる東京アクアティクスセンターで開催された。

わずか1年で白血病を乗り越えて復帰した池江璃花子選手が、初日4日から100mバタフライで優勝し、オリンピックメドレーリレーの代表に内定!7時のニュースのみならず夜のスポーツニュースすべてのトップ扱いだった。8日には100m自由形でも優勝、400mリレーの代表権も得た。

 

最終日の10日には、50mバタフライと50m自由形も制覇し、エントリーしたすべての種目で勝利し4冠を達成した!大会8日間で11本のレースを消化したことになる。選手権に出場しただけでも驚きであったが、コロナ禍のもとトレーニングも大変だったと思うが、よくぞここまで復調した。多くの国民に夢と感動を与えたことだろう。

今大会は疲労を残さないようクールダウンも念入りにおこない、できるかぎり早く就寝したともいうが、いくら20歳の元気盛りとはいえ、その努力は筆舌に尽くし難いものがあったであろう。夏の本番までにトレーニングを重ね、さらに成長した姿を見せてほしい。

 

3月には大坂なおみ選手が全豪オープンを2年ぶりに勝利し、4回目のグランドスラムを

達成した。現地時間4月3日には、世界屈指の名門コースで開催された「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権」で、滝川二高3年の梶谷翼(17歳)さんがプレーオフを制して栄冠を勝ち得た。そして、今朝、米国から松山英樹選手がゴルフ界の頂点、マスターズ・トーナメント優勝というビッグニュースが飛び込んできた。日本人初のメジャー制覇だ。

コロナ禍で閉塞感が漂う中にあって、明るい話題が日本中を駆け巡った。スポーツや文化が持つソフトパワーを見せつけられた気がする。

 

新型コロナ感染の再拡大を受けて、大阪と兵庫、宮城の3府県を対象に5日から、今国会での法改正で盛り込まれた「まん延防止等重点措置」を初めて適用した。大阪市や神戸市など阪神間の5市では、飲食産業への営業時短要請が夜8時までに強化され、クラスターが発生しやすい高齢者施設や歓楽街でも頻回な検査も実施されることになる。更に12日からは、東京、京都、沖縄が追加される。

 

その一方、3月21日の緊急事態宣言解除を受けて、厳しく自粛が求められていたスポーツや文化イベント、コンサートなどの観客数が、施設規模に応じて一定緩和された。例えばプロ野球では、上限が5000人から1万人に引き上げられた。だが、甲子園の収容人数からすれば、5分の1だ。これまでに蓄積してきた知見を生かせばもっと緩和できると思われる。現に、スーパーコンピューター“富岳”がシミュレートしている「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測と対策」「パンデミック現象及び対策のシミュレーション」等々、科学的エビデンスもある。

 

飲食業や観光業など、業種によってはコロナ破綻も叫ばれて久しい。特に地方経済への深刻な打撃を救済することが喫緊の課題だ。われわれ政治家には財政出動も含め、いま以上の景気の落ち込みを阻止する判断が求められている。そのためには、科学的エビデンスの下、必要に応じて、スポーツ・文化イベント、旅行などの制限緩和は必要だ。

 

科学的エビデンスを得るうえでは、前回、前々回のコラムで言及したとおり、ウイルスの変容を早期に捉えるモニタリングと、広範な調査と高精度のゲノム解析のスピーディーな体制づくりが非常に重要である。4月1日には体制整備にむけたプロジェクトがスタートした。今後は、その進捗状況をしっかりとフォローアップしていきたい。

 

ところで、私にとってスポーツのパワーの源泉は、阪神タイガース。

昨年は、開幕12試合が終わった時点では1勝10敗1分けで断トツ最下位!今年は8勝4敗で首位!週末のDeNA戦に3連勝、11勝4敗で首位キープだ。

春先に調子がよいと、「今年こそ優勝だ、日本一!」と、虎党は幸せな気持ちになれる。いまは1万人しか入場が許されていないが、1日も早く超満員の甲子園で六甲おろしが歌える日が来ることを切に願っている。