ONE TEAM 再び

政府は7日、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を発令し、期間は5月6日までの1カ月とした。

前日に専門家で構成する基本的対処諮問委員会のアドバイスを総合的に判断して、期間と対象区域などの準備に入ると公表していたので、思った以上に混乱は起きてないように思う。このタイミングでの宣言には様々な意見があるが、世論の多くは支持しているようだ。

 

宣言では、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が地域指定され、地元兵庫もその一つとなった。

安倍首相は当初、都内の1日当たりの感染者が200人以上となった時点で宣言発令を考えていたようだが、「都市部を中心に感染者が急増しており、病床数が限界に近づいている(医療崩壊)。もはや時間の猶予はない」と、指定区域などの根拠を説明した。このため、日本の人口の4割以上を占める地域が “非常事態”に突入した。さらに、愛知と京都も指定を求めている。

 

特措法では指定を受けた都道府県知事が、要請・指示など地域に見合った具体的な対処方針を定め、国や市町村などと連携協力して実行していくこととなる。兵庫県の井戸知事は、「県内一律に制限を求めるかどうか、規制内容がエリア内で違っても構わない」とし、感染度合や地域に応じてフレキシブルな対応をする旨示唆している。大阪と一体の生活圏を形成する阪神地域と感染者がいない但馬や西播磨地域とは規制の内容が異なって当然だろう。

 

ただ、非常事態と言っても欧米諸国のようにロックダウン(都市封鎖)という強力な移動制限を行うわけではない。特措法が定めているのは、罰則を伴わない要請と指示であり、その内容はイベントの制限、バーやカラオケ店の利用制限など感染可能性を高める密閉、密集、密接を避けるためのものだ。食料品等を販売する商店や病院は休業しないし、鉄道などの公共交通機関も運行を継続する。

日々の生活に最低限必要なインフラは維持するので、都市の繁華街への外出は少々我慢していただき、仕事もできるだけ在宅で行っていただきたい。また大都市から帰省も控えていただきたい。こういった地道な取り組みが感染拡大の最大の防御策となる。

 

宣言と同時に、“緊急経済対策”として補正予算案の概要を発表し、連休前の成立を目指している。この対策は「緊急支援フェーズ」と「V字回復フェーズ」に分かれ、段階的に実行に移していく。

まず、感染者が急増している現在の状態に対処するため、拡大防止策と医療提供体制の整備(5万病床確保やオンライン診療、検査機器等の整備)、さらには治療薬やワクチンの開発など、感染爆発の鎮静化、封じ込めを図る。加えて、生活困窮者や中小企業への現金給付など、社会のセーフティーネットを維持する。

次に感染終息後は迅速に、観光や飲食、イベントを後押しし内需の拡大を図るとともに、企業の国内回帰支援や中小企業のテレワーク機器導入支援なども進めていく。

 

事業費規模108兆円の経済対策はGDP規模2割で、リーマンショック後に実施した対策56.8兆円の約2倍ともなる。先月号でも触れたが、今は財政規律にこだわるべき時ではない。今回の補正予算に限らず、景気回復までは国、地方を通じて思い切った財政出動を継続していくべきである。

 

いずれにしても、危急存亡、緊急事態を脱出するには、何より国民の協力と理解が必要である。まずは、全国民が一丸となって感染拡大の終息を図ること。そして経済をV字回復させて、我が国の未来を切り拓いていくこと。

先の大戦以来の国難の時にあって政治の役割は限りなく重い。ワンチームでこの難局を乗り切っていきたい。