2018 年の瀬

平成30年も残すところ一週間。21日には、平成30年度第2次補正予算と平成31年度予算が閣議決定された。来年10月の消費税10%へのスムーズな移行対策(約2兆円)の上乗せにより、当初予算は史上初めて100兆円を超えて101兆4,564億円となった。その中でも国土強靭化対策は色濃く反映され、補正、本予算あわせて約6兆3,900億円が計上されたが、災害列島とされる我が国にあっては当を得たものだと思う。

大阪北部地震に始まり、7月豪雨、台風20号・21号、北海道胆振東部地震、さらには記録的猛暑など、多くの自然災害に見舞われた平成30年。恒例の世相を表す漢字一字は「災(わざわい)」が選ばれた。

政治家も年末にこの一年を表す漢字一字をと、記者から質問を受ける。

安倍総理は「転」。日ロ関係の大きな転機と羽生選手など新しい若い世代への転換を意味。菅官房長官は「成」。働き方改革など、様々な改革を成し遂げたため。何かと話題の多かった片山さつき地方創生相は、一生懸命に「堪」える。桜田五輪担当相は、東京五輪・パラリンピック大会との出「会」い。野党では立憲民主党の福山幹事長と長妻代表代行がそろって「偽」り。共産党の小池書記局長は「破」。といったところだ。

改めて世界のこの一年を振り返ってみると、最も多くの話題を提供したのはやはりアメリカのトランプ大統領か?

米朝首脳会談、鉄鋼とアルミニュウム製品の輸入制限から追加関税を発動。更に在イスラエル米大使館のエルサレム移転、イラン核合意離脱表明、中距離核戦力全廃条約の一方的破棄や、シリアからの米軍撤収等々、通商、外交、軍事にわたって唐突ともいえる政策決定が世界を揺るがせた。

欧州ではメルケル独首相が州議会での連続大敗の責任を取り、2021年任期満了をもって与党党首を退くことを表明。抜群の安定感でEUの重石となってきた「メルケル」時代に幕が下りようとしている。ドイツと共にEUをリードしてきたフランスでも燃料税増税をめぐる不満から、11月にパリで始まった“イエローベスト”デモは、フランス全土に広がっている。マクロン大統領の支持率は23%まで低下している。

イギリスではメイ首相が、EU離脱合意案の議会承認のメドがたたず窮地に陥っている。

拡大を続けてきたEUも転機を迎え、混沌とした状況に陥っている。

アジアに目を向けると、6月に史上初の米朝首脳会談が行われた。その後の進展は一向に見通せないものの、ともかくこの一年間、核やミサイル発射実験はなかった。

中国では習近平主席が独裁体制の強化を図るとともに、南シナ海人工島のミサイル配備、欧州諸国までを取り込む“一帯一路”の推進など、世界にその影響力拡大している。最先端技術の不法なパクリも含め、世界のひんしゅくをかっている。

トランプ大統領の対中貿易赤字(昨年約40兆円)をターゲットにした追加関税と、それに対抗する習主席の報復関税は米中貿易戦争を巻き起こしている。“米中新冷戦”の様相を呈するこの事態は、行方次第で世界経済や国際秩序に大きな影響を与える。

この様な不安定な世界情勢の中で、我が国の政治状況は比較的安定していると言ってよいだろう。秋の自民党総裁選で勝利した安倍総理は、不測の事態起きなければ2021年9月まで政権運営の時間を得た。来年は大阪でG20が開催されるが、議長として世界に対して大いにリーダーシップを発揮して欲しいものだ。

私は、今年も、党政務調査会の科学技術・イノベーション戦略調査会長として、ライフワークである科学技術政策に取り組んできた。臨時国会の会期末12月8日には懸案だった“研究開発力強化法案改正法案”が成立した。

調査会で検討を始めてから約1年半を要したが、我が国の科学技術の未来を切り拓く法案であると確信している。だから私は昨年に続き“拓”を今年の漢字一字に選びたい。

振り返れば様々な思いが脳裏をかすめる年であったが、最後に大きな成果をあげることができ、満足感をもって一年を終われそうだ。

この1年間、何かとお世話になり本当に有難うございました。

来年は新天皇陛下の即位により年号も変わります。新たな時代も、引き続きご指導のほど、宜しくお願い致します。

それでは、来るべき年が皆様にとって輝かしい年でありますように祈念致します。