このところ世界各地から地球規模の異常気象が報告されている。我が国でも猛暑による熱中症被害が後を絶たず、また、西日本を襲った7月豪雨をはじめ、毎週のようにゲリラ豪雨による水害が報じられる。
台風の数も異常だ。8月の発生数は平年の5割増しの9個となった。23日に私の地元を直撃した20号に続き、4日頃には21号が列島を縦断しそうだ。このような日本の亜熱帯化は、今後も続きそうな気配である。
いにしえの世から治山・治水は国家の最重要事項である。
先週出そろった各省庁の概算要求の中でも国土交通省は、水害対策(5,273億円)、土砂災害対策(958億円)、輸送ルート維持(4,156億円)など、防災にかかわる予算の大幅な増額を要求している。また、自治体による防災の取り組みなどを支援する防災・安全交付金も21%増の1兆3,431億円を要求した。
6年ぶりに行なわれる自民党総裁選でも、防災に関する政策は重要な争点になりそうだ。
すでに立候補を表明している石破茂元幹事長は、政策の柱の一つとして政府の司令塔機能充実を図る“防災省創設”を掲げ、防災立国で国民の生命・財産を守ると主張している。
これに対して安倍普三総理がどの様に受けて立つのか?選挙戦での議論に注目したい。
もう一人、初の女性総理を志し、「最後まで諦めずに努力する!」と言っていた野田聖子総務相がついに総裁選出馬を断念。今回の選挙は安倍普三VS石破茂の一騎打ちとなることが確定した。
日程は9月7日告示、20日投開票と決定しているが、両陣営とも選対本部を発足させ選挙戦は実質的に火蓋が切られたと言ってよい状況だ。選挙期間中のスケジュールは、総理のロシア訪問に配慮して10日~14日を除いて、街頭演説会は8,15,16日。日本記者クラブ主催の討論会に加えて青年局などが主催する討論会も9日に設定されている。
前号で言及したように、今回の総裁選は国会議員票405票と党員党友の投票結果をドント式で割り振った405票の合計票で争われるが、今回は候補者が二人なので一回目の投票で当選者が決定する。
すでに報道されているように、党内各派閥の支持動向は確定し国会議員票の大勢は決した。となると選挙の関心は党員票の行方である。両陣営とも党員票獲得のために地方における様々な活動に時間を割いている。
石破候補は政策スローガンの中心に地方創生戦略を据えてポストアベノミクスを地方から展開すると主張している。安倍総理も地方を意識して鹿児島を立候補表明の地に選んだ。
4年前、国民政党としての自民党再生を意図して総裁選規程改正をおこなったが、今回の選挙で狙いどおりの成果が確認できるだろう。国民に開かれた自民党への理解が、より一層深まるような政策議論が展開されることを強く願っている。