2016年、残り2か月

播磨地方一円の秋祭りが終わり、先週末には西日本に木枯らし1号が観測された。季節はいよいよ秋から冬へと向かう。今年もあと2ヶ月を残すのみ、臨時国会も折り返しを過ぎた。

衆院では10月14日から、TPP(環太平洋経済連携協定)を巡って特別委員会で審議が行われている。この協定の承認が臨時国会の最重要案件である。
政府与党は11月30日の会期内の成立を目指して、週末の28日(金曜)の衆院通過を目論んでいた。ところが、与党理事や関係閣僚の委員会強行採決に関する不穏当な発言で審議が度々ストップするなどして、採決は週明けにずれ込んだ。

衆院を通過した条約案は30日以内に参院で議決されない場合は自然承認となる。この「30日ルール」適用で会期末までに承認されるタイムリミットは、11月1日(火曜)である。
政府与党は1日の衆院通過をまだ諦めていないが、慎重審議を求める野党の反発は必至だ。成立を確実にするために会期延長も視野に入れているが、週明け以降の国会は緊迫した展開になると予想される。

世界のどの国よりも、人口減少のスピードが速い日本。この国にとって、世界各国との経済連携なくしては、将来の経済発展はあり得ない。TPPはその先駆けとなる協定だ。今後、EUとのEPA、東アジア全域のRCEP、環太平洋全体のFTAAPのひな形ともなるのがTPPである。痛みを伴う分野もあるだろうが、国家全体の利益を求めて、2010年の民主党政権時代から交渉に参加し、5年間の困難な協議を経てたどり着いたのが今の条約案である。

野党は慎重審議を主張するなら、審議拒否(退席)などせず、出席して堂々と論戦すれば良い。もちろん、強行採決発言は不穏当なものであるが、「強行採決しないと約束しないなら審議に応じない」という野党の主張も、如何なものかと思う。私にはスケジュール闘争にしか思えない。

“国会劇場”と揶揄される、あいも変わらない与野党の駆け引きを国民はどの様に受け止めているのだろうか?
おそらく「どっちもどっち」というのが大方の受け止め方だろう。
11月1日に採決をするにしても会期を延長するにしても、どこかの局面で緊迫した場面は避けられない。

27日、昭和天皇の末弟で今上陛下の叔父にあたる三笠宮崇仁親王殿下が、入院中の都内の病院で薨去(こうきょ)された。百歳。
戦前は旧日本陸軍参謀として大陸で従軍。戦後は一転、東大文学部研究生として「古代オリエント史」を専攻し、歴史学者として大学の教壇にも立たれられるなど、学問、スポーツといった幅広い分野で国民と親しく接せられ、国民の福祉向上のために貢献してこられた。
特に、戦火をくぐり抜けられたご体験からか、一貫して平和の尊さを訴えられた宮様であられたことは国民が広く知るところである。心からご冥福をお祈り致したい。

今年もあと2ヶ月。季節の変わり目で寒暖の変化が激しい今日この頃、皆様もくれぐれも体調管理に気をつけて頂きたい。