4年に一度のスポーツと平和の祭典“第31回夏季五輪リオデジャネイロ大会”は、21日(日本時間22日)に17日間の闘いの幕を閉じた。
開会前は、会場施設建設の遅れや選手村の設備の不具合、さらには警察官のストライキまで、懸念材料が山積していたが、始まってみれば大過なく全ての競技が進行した。
そして日本選手の大活躍とメダルラッシュが、日本中を盛り上げてくれた。
地球の裏側にあるブラジルと日本との時差は12時間。昼と夜が逆転するためライブ映像は深夜から早朝、昼前に及ぶ。おそらく日本列島は寝不足症候群に覆われていたことと思う。
私たち国会議員にとっては幸いなことに、今回のオリンピックはお盆を挟んだ国会の夏休み期間の開催。盆踊りや初盆廻りなど地元の比較的時間調整の可能なスケジュールのおかげで、思う存分日本選手の活躍に声援を送り、楽しむことができた。
女子48kg級の近藤亜美選手の銅メダルから始まったお家芸“柔道”の復活劇。柔道だけで金3、銀1、銅8の12個を獲得し、世界に柔道の母国“ニッポン”の力を示した。なかでも男子は7階級すべてでメダル獲得という偉業を成し遂げ、ロンドンの無念を晴らした。
体操男子の団体総合では、アテネ大会以来3大会ぶりに “悲願の金”。引き続き行われた個人総合では、内村航平選手の華麗な舞いに日本中が酔った。5種目を終えた時点での点差からロンドンに続く連覇は難しいと思われたが、最終種目“鉄棒”でピタリと着地を決め、大逆転勝利をものにした。競泳も400m個人メドレー萩野公介選手、200m平泳ぎ金藤理絵選手の金2つを含む、メダル7個の成果。
女子レスリングでは、48kg級登坂絵莉選手、58kg級伊調馨選手、69kg級土性沙羅選手が17日に3連続金メダル。三人とも決勝で終盤までリードを許していたが、ハラハラドキドキした中でいずれも終了間際の逆転による優勝だ。伊調選手に至っては前人未踏の五輪4連覇も達成した。翌日の53kg級でエース吉田沙保里選手が五輪4連覇を阻まれたものの、63kg級の川井梨沙子選手が金メダルに輝くなど、レスリングも男女合わせて7個のメダルを獲得した。
卓球は男女とも大会前から大きな期待を集めていたが、そのプレッシャーの中で結果を出していった。その活躍には心から拍手を送りたい。また、バドミントンで日本勢初の金メダルを獲得した女子ダブルス高橋礼華・松友美佐紀ペアは、最終セット16対19とリードされてから5連続ポイントを奪取して優勝。勝利への執念は鬼気迫るものがあった。
カヌー競技や50km競歩で日本勢として初めて銅メダルを獲得したことも印象に残った。
極めつけは陸上男子400mリレー、ボルト率いるジャマイカには敗れたものの銀メダルを獲得!アジア新記録であのアメリカに勝利したことは、われわれ世代には考えられない。真に快挙である。
最終的には国別メダル獲得数で日本は7位。金12個、銀8個、銅21個の計41個で、ロンドン五輪の38個を上回る過去最多のメダル数となった。4年後の東京五輪に向けて、期待を膨らませる成果をあげたと言えよう。
勝利して感極まって流す涙もあれば、敗れて流す口惜し涙もあったが、表彰台の上に立った選手たちの姿は最高に美しく輝いていた。しかし、輝いたのはメダルリストだけではない。勝者も敗者もすべて世界トップレベルのアスリート達(HEROS)なのだ。
NHKのリオ五輪テーマソングは「HERO」だったが、「HEROS」にした方が良かったのではないかと思う。
リオ五輪閉幕とともに五輪旗は東京に引き継がれた。
2020年の東京オリンピック。開催国として更なるアスリートの競技力向上を図ることはもちろん、“スポーツと平和の祭典”にふさわしく、多文化が共生する日本文明を世界に発信する文化プログラムの充実も図り、世界の人々に更なる感動をもたらすオリンピックにしたいものだ。