新年会も成人の日までの3連休がピーク、今は松の内も明け、道を行き交う人々姿にも日常の営みが戻ってきた。
永田町の自民党本部では7日に仕事始めの会合が行われたが、今年は予算編成の仕切り直しが必要ということもあり、年始早々から連日熱心な議論が繰り広げられている。既に24年度補正予算は閣議決定し、今は25年度予算案や税制改正が主要テーマだ。
昨秋までは閑古鳥が鳴いていた党本部も、政権奪還により様変わりした。マスメデアの取材陣が激増し、政務調査会の各部会にも野党時代は全く姿を見せなかった各省庁の幹部が毎回出席するようになった。与党なのだから当然といえば当然だが、自民党本部にも活気が戻って来たと言えるのだろう。
ただ、私が党本部での議論に溶け込むには、暫しのリハビリ期間を要している。3年3カ月の月日はそれだけ長かったのだと、つくづく実感している。
むしろ、永田町の流れにすぐに馴染んでしまったのでは、充電期間の意義が薄れる気もする。私にとっての3年3カ月は、永田町という社会の外側に身を置き、改めてそのあり方を見つめ直す貴重な時間だった筈だ。
「永田町の論理」でなく「国民の目線」に立てというのは良く聞く常套句だが、現実に政界の渦中にあると、ついつい日々の仕事に忙殺され、理想が忘れられる嫌いがある。そうならないためにも、初心に返り、若葉マークを貼り直したつもりで議論に参加しようと思っている。
純粋な若葉マーク議員という意味では、我が党に119名の新人が国政デビューを果たした。私は彼等を自民党の財産だと思っている。部会で遠慮がちに挙手しながら、初々しい主張を発言する様からは、新しい自民党が見えてくるような気がする。
選挙の最中、私は「政治への信頼を取り戻すために、まず自民党が変わらなければならない」と、強く訴えた。既成概念に毒されていない新人議員の発想こそが、永田町に新鮮な風を吹き込み、自民党を変える原動力となる筈だ。
だからこそ彼等に「先輩議員に対する礼儀は必要だが、政策の議論では何ら遠慮することはない。政策議論に際しては全議員が対等であり、党内の全ての部会や調査会は基本的にオープンで、誰もが参加し自由に発言できる。それが自民党の伝統であり、我が党の優れたところだ。」とエールを送っている。
かつて私が初当選した時、中曽根康弘総裁は、我々新人に対して「政治家にとって最も重要な資質はしっかりとした歴史感・国家感を持っていることだ」と言われた。そして直後には「しかし、今の君達に最も大事な仕事は、次の選挙に勝つことだ。だからできる限り地元に帰って次の選挙に備えろ。」とも言われたのを、今も鮮明に覚えている。
今回の新人たちの中には将来の総理・総裁を担う人材が埋もれているかもしれない。しかし、その行く手には当選を重ねるという高いハードル群が待っている。初心を忘れず、試練を乗り越え、大きく育ってもらいたいものだ。
私もいつまでも新人のことにかまっている余裕はない、一日も早く政策立案と法案審議の仕事の感覚を取り戻し、リハビリ中のワッペンを剥がさなくてはならない。
月末には25年度予算案が固まり、通常国会も始まる。いよいよ論戦の始まりだ。