自公民の合意に基づき「社会保障と税の一体改革」関連8法案が衆議院を通過したのは6月26日。本来ならとっくに成立している筈なのだが、小沢グループの離党、新党結成など民主党内の混乱もあり、参議院の採決が遅れに遅れている。
3党合意で修正されたとは言え、そもそもが政府提出法案なのだから、当然、与党民主党が審議推進を図るべきなのだが、今の与党には全くその姿勢が見られない。
むしろ採決先延ばしを画策するかのような発言が党幹部(輿石幹事長や城島国対委員長)からでてくるのは、全く理解不能な誠意を欠いた対応だ。
そんな民主党の不誠実な態度に業を煮やしたのか、1日には、自民党の小泉進次郎青年局長ら血気盛んな若手の議員が「3党合意を破棄して法案を否決し、今すぐ野田政権を衆議院解散総選挙に追い込むべきだ」とする緊急声明まで公表した。
民主党執行部は表向きには、特例公積法案や公職選挙法の改正の成立に目処をつけるまでは一体改革関連法案の採決はできないとか言ってきたが、真の理由は某元総理を始めとする党内の消費増税反対派の動きを封じることができないからだ。仮に参議院の採決で、3名以上の造反者(離党者)が出た場合、参議院第一党会派は自民党となる。議長の座を奪われることになれば、今でも難しい国会の運営は更に苦しくなることは必至だ。
これに対し、野田総理は輿石幹事長を説得し、今週中の採決に柔軟に対応するとの意思を決定したようだ。
政策第一の野田総理の決断は正解だ。しかし、いつものことながら、どうして党代表が幹事長を説得するという構図が繰り返されるのか?不思議で仕方がない…。いつまでも党内の反乱分子を処分できない民主党の体質、政策で一致していない烏合の衆であることを続ける民主党の体質が問題だ。
原子力の将来を見据えたエネルギー戦略についても、TPP参加をはじめとする通商政策にしても、オスプレイ問題をめぐる安全保障問題についても、民主党内の意思統一が図れているとは思えない。これらの国策決定に際して、いちいち今回のような気の長い手続きを踏まれてはたまらない。
一方の我が自民党の結束は大丈夫だろうか? まさか、小沢新党など7党の内閣不信任決議案に同調するなどという暴論を唱える者はいないと思うが? 3党合意=消費増税の法案の早期成立と速やかな社会保障制度の改革議論のスタートを第一に、政策中心の議論を進めてもらいたい。
今回の3党合意は、今後の政策決定の範となるべき手法だ。党利を優先し何も決められない政治、やみくもに不毛の揚げ足取りの議論を繰り返す永田町体質から脱却し、本来の政策論議を行う国会を築くための第一歩だ。
今ロンドンでは、日の丸を背負った選手達が国民の期待に応えるべく全力をふりしぼって熱い戦いに挑んでいる。政治も今、国民の期待に応えることが求められているのだ。
「日本のために今何を為すべきか?」国民の負託を得て国政に携わっている議員諸君は、そのことのみを考えて行動して欲しい。それが「未来への責任」だと私は思う。
来週はお盆休みです。皆様も良い夏休みを…。