「デジタルとアナログの違い」

私の同期の初当選者は自民党だけで46人もいた。

7月7日の選挙に当選したので七夕会と命名した。

(ちなみに平成17年?の郵政選挙における小泉チルドレンは83人で彼等の同期会は8・3会と言うらしい)

初当選から24年を経て今も無傷(=無敗)でいるのは、民主党の鳩山氏を入れて7人になった。すでにお亡くなりになられた方もある。引退された方も数多い。

中には知事に転出された方もある。24年の歳月はとても長いと改めて実感している。

永田町の常識は世の中の非常識と言われる。

ある意味で正しいのだろう。が、これはどの世界でも同じではないだろうか。

所詮、人は自分が暮らす身の回りしか見えていない。

ただ、政(まつりごと)は、すべての国民の生活を左右する。やはり世の中の非常識であってはならないのだ。

私は立候補するまでは、建築設計を業としていた。デザインを決める過程に於いて、壁のカーブの曲がり具合を決めるのに何十枚もの図面を描く。ほんの小さな表現の差について何時間も悩んだり議論したりする。

家に持って帰った図面を並べてどちらが良いか悩んでいると、妻は「大差はないんじゃないの?」とアッサリ言い放ったものだ。永田町での議論も似たところがある。議論がヒートアップすると回りが見えなくなるのだ。

もう一つ、永田町での仕事では手続きが重要だ。

たとえどんなに正しい主張であっても、手続きを間違えると話しが拗れて前に進まなくなる。「俺は聞いていない」の類だ。

だからこそ、誰から順番に情報を伝えるかという手順が非常に重要になる。

私が何よりも苦労したのは、デジタルとアナグロの差であった。

私は根っからの理系で、デジタル思考の人間だから基本的には正しい結論は一つしかないと考える。

良いか悪いか、OKかNOか、真か偽か‥‥良ければOKであり次に進めばいいし、悪ければ他の方法を考える。これがデジタル思考の考え方だ。

しかし(良い悪いは別として)、現実の政治は限りなくアナログ思考の世界であり、良いか悪いかの間に数多くの解が存在し得るのだ。

人間関係が複雑にからみ合って、問題解決をより一層難しくしている。

これを解きほぐす業を備えていたのが我が父元三郎だった。と初当選直後に与野党の先輩からよく聞かされたものだ…。

しかし、私は(母の血を継いだのか)基本的にはデジタル人間だと思う。

今なおアナログが主流の政界に慣れるのにはかなり苦労した気がするし、24年経った今でも、この世界に違和感を覚える時がある。