月面着陸50年

「7月20日は何の日か?」と聞かれて、即座に答えられる人は極めて少ないと思う。
「海の日」とか「山の日」とか答える人もいるだろうが、今年だと「参院選の最終日」という人もいるだろう。
20日の朝刊でも関連記事はほとんど目につかなかったが、正解は「人類が初めて月に降りた日」である。アメリカの“アポロ11号”のニール・アームストロング船長と月着陸船操縦士エドウィン・オルドリンが人類で初めて月に降り立ったのが1969年7月20日(日本時間21日)。ちょうど50年前のことだ。

大学4年生だった私は、衛星放送のテレビ画面から伝わってくるリアルタイムの映像に釘付けになっていた。アポロ計画が始まったのは1961年のケネディ大統領の時代。月への旅にあこがれたのか、幼い日の私は、いつしか将来の夢として「MIT(マサチューセッツ工科大)に留学しNASAでロケットの研究をしたい」と言うようになっていた。

結局、夢とは大きく違う道を歩むことになり、進学は建築学科、卒業後は設計事務所に従事、その後は父の跡を継ぎ政治の道に入ることになった。
振り返ってみると初当選から早や33年。人生において政治に関わった期間が最も長くなった。最近は人生をやり直すとしたら実験物理学(特に素粒子)をやってみたいなどとも思っているのだが・・・。

話を宇宙に戻す。月面着陸から50周年の今年、アメリカの公文書記録管理局(NARA)とNASAにより発掘された70mmフィルムのアーカイブ映像と1,100時間以上の音声データを基に、映画「アポロ11完全版」が製作された。前代未聞のドキュメンタリーである。
「現在のハイテクを駆使して当時の貴重な映像を特注のスキャナーを駆使して8Kまでの解像度でHDRのスキャニングを可能にしたことで、最高の画質と最良の質を有するアポロ11号の映像が完成した」と報じられている。
全米で3月に公開された本作は、サターンロケットの発射から月面着陸、そして地球帰還までの9日間を詳細に捉えた新時代のドキュメンタリーで大ヒットをおさめた。

同じく3月、ペンス副大統領は、トランプ政権が掲げる有人月面着陸の目標を2028年から前倒しして5年以内とする方針を明らかにした。
これを受けてNASAは5月に人類を再び月の送り込む「アルテミス計画」のスケジュールを公表した。それによると、2020年に無人宇宙船、22年に有人宇宙船をそれぞれ月周回軌道に送り、24年に月面に降り立つとしている。
今回のプランは、官民共同による月面着陸船の開発や月での長期間滞在を目指すという点で、半世紀前と大きく異なっている。また、月面への中継拠点として月周回基地「ゲートウェイ」を設営するとしている。この小型の宇宙ステーション構想は、日本も参画する国際プロジェクトだ。

もう一つ変わるのが乗員。アポロ計画で月面に降り立った宇宙飛行士は合計12名、全員が男性であった。一方で24年に「アルテミス3」で月を目指すのは男女二人の予定。NASAのブラインデンスタイン長官は「次に月に第一歩をしるすのは女性飛行士の可能性が高い」と言及している。それもそのはず、アルテミスとはアポロと双子の女神の名である。
50年で檜舞台に立つ女性は急増した。

令和初の国政選挙が終わった。兵庫選挙区で自民党はまさに薄氷の勝利となったが、ともかく与党で2議席確保に安堵したところだ。
この選挙戦では選挙区と比例代表で104人の女性が立候補。候補者に占める割合は28%で過去最高だった。選挙区で当選した女性候補18人、比例代表で10人の計28人(6年前は22人)となり、過去最多の前回と同数で非改選を含めた女性の参院議員数は56人(22.6%)になった。

人類で初めて月に降り立ったアームストロング船長は、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとって偉大な飛躍である」と名言を吐いた。
今回の選挙結果が、女性の社会進出の一歩となるのかは国民の判断に委ねるとして、我が国会でも女性の進出と更なる活躍に期待するとともに、今後の女性の社会進出の伸展にも注目していきたい。

*HDR=High Dynamic Rangeの略。
従来ではできなかった高輝度の表示を可能にする技術。明暗の表現の幅が拡大し、
よりリアリティがあり立体感のある精精細な映像が楽しめる。

*アルテミス=ギリシャ神話の月の女神。アポロ計画の由来である太陽神アポロンと双子。

解散権

1月28日に召集された第198回通常国会は、会期を延長することなく150日間の会期を終え、予定通り26日に閉幕した。
会期末の恒例行事とも言える内閣不信任案上程は、野党間で是非を巡る意見が分かれていたが、二転三転、紆余曲折を経て、会期末前日の25日に提出された。
野党がすんなり首相への内閣不信任案提出といかなかったのは、それが解散総選挙の引金となり、衆参同日選になることを懸念したからだ。

野党は安倍一強体制を打破すると威勢のいい言葉を弄していたが、参院選勝敗の帰趨を決する1人区の候補一本化が実現したのは13日。難産の末、やっとという感じだ。衆院小選挙区でも候補者調整を行うことで合意はしているが、仮に同日選になっていたとして、1か月での調整は無理だっただろう。

野党間の主導権争いも国会対応への歩調を乱したようだ。当初から不信任案提出に積極的であった国民民主、共産、社民などは、提出を逡巡する立憲民主党の枝野代表に終始プレッシャーを掛け続けていたが、本音では不信任案が引金となり解散、衆参同日選となることを恐れていた。それでも立憲の意向に差配されるのは面白くなかったが故に強気の発言を行っていたようだ。

ここに至る経緯の発端は、5月第2号のコラムで言及したように、「不信任案提出が解散の大義になる」と、記者会見における菅官房長官の発言だ。果たしてそうだろうか?
日本国憲法では衆議院解散について、以下の2つのケースが規定されている。
7条:内閣の助言と承認により天皇の国事行為として行われる衆議院の解散。天皇は国政
に関する権能を有しないため解散権は内閣にあり、事実上、内閣の長である内閣総理大臣が解散権を握っている。
69条:内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、   
10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

一見、不信任案が引金になるのは69条解散の場合のようだが、同条では不信任が“可決”された場合の選択肢として解散が規定されている。提出されても否決すれば解散権は生まれない。故に、不信任案提出だけでは7条解散しかできないのだが、与党が圧倒的多数を占めるなか、“提出”という行為のみで解散の大義が生じるのだろうか?いささか無理があるような気がする。

尤も過去の7条解散すべてに明確な大義があった訳でもない。
古くは昭和27年(1952年)の吉田茂総理による“抜き打ち解散”。この時は国会も開かずに議長応接室に各党代表を集めて、解散が宣言された。
平成15年(2003年)の“郵政解散”は、郵政民営化法が自民党内の造反により参議院で否決されたことを受け、小泉純一郎総理が「国民に聞いてみたい」と衆議院を解散したもの。参議院の議決が衆議院解散の大義になるのか否か?当時は物議をかもしたものだが、争点という意味では非常にわかりやすい選挙でもあった。

ただ、大義の有無にかかわらず、解散権が政局の道具になっており、与野党の駆け引きに用いられる一面は否定できない。今国会も正にそのネガティブさが露呈した。そのことは国民も分かっているから、「年中行事」などと呑気に構えている。立憲民主党は憲法改正の項目に「衆議院の解散権」を提案しているが、一考に値すると思う。

ともかく25日の本会議場は全く緊張感がなく、盛り上がりに欠けるまま通常国会は幕を閉じた。大阪のG20が終われば日本の政治は参議院選挙一色となる。すでに7月21日の投票日に向けて各陣営とも走り出している。今年も暑い夏になりそうだ。

六甲おろし

今国会も終盤をむかえ、衆議院では政府提出法案の処理はほぼ終了した。先週の本会議も超党派による議員立法6本の採択と同意人事案件などで、木曜日だけの開催となった。
そのような状況下であるが、丸山穂高議員が、国後島ビザなし訪問参加中に発言した内容や不品行に対しする“糾弾決議案”の審議も同日行なわれた。
審議と言っても与野党調整済みなので淡々と採決するだけなのだが、この採決の際に我が党の小泉進次郎議員が欠席した。

私は採決終了後に自席に着席する小泉氏の姿を偶然目にして、「アレッ」と思ったのだが、その時は正直あまり気にも留めなかった。夜のニュースを観て、小泉氏が自身の考えに基づき棄権したことを知った。
彼の主張は、「議員の出処進退は一人ひとりが判断すべきことであり、本人が辞めないと言っている以上、決議に実効性もなく、茶番にすぎない。辞めなかった時にどうするかを判断するのは選挙であり、決議案を可決しても問題の決着とはならない」というもの。
これに対して一部議員からは「造反」との声もあがっているのだが、・・・。私は、今回のような案件は党議拘束になじむものではなく、「造反」は言いすぎだと思う。むしろ小泉氏の言動にはシンパシーさえ覚える。

話は変わるが、今シーズンの我が阪神タイガース、当初の予想を大きく裏切り?今のところ絶好調である!
シーズン初めこそ躓いたが、5月は15勝9敗1分と大きく勝ち越した。6月からはセパ交流戦が始まったが、日曜日の日ハム戦が終わった時点で32勝27敗2分の貯金が5。予想通り首位を走っている広島カープに3ゲーム差3位と健闘している。

こういう展開になると、毎試合の結果がとても気になるのが阪神ファン。私もこのところ日々野球中継を楽しんでいる。ここ数年、球場に足を運ぶのは多くてもせいぜい1~2回だったが、今年は、甲子園、神宮、東京ドームと、すでに3回も球場に足を運んだ。しかも、3試合とも勝利ゲームとなり、大いに“六甲おろし”を楽しませて頂いている。
“六甲おろし”はラッキーセブンと試合終了後だけだと思っていたが、最近は得点するたびに歌うようで、一試合のうちに何回も盛り上がる。
タイガース戦の観戦チケットは外野応援席から売り切れるそうだ。甲子園のライトスタンドはもとより、神宮でも東京ドームでもレフトスタンドはタイガースカラー黄色一色である。

試合が終わったスタンドでゴミ拾いをするファンの姿もお馴染みの光景となっている。
そう言えば、ワールドカップのサッカー日本代表試合でも同じような光景が全世界に報道され、世界中のサッカーファンを驚かせ話題になったのも記憶に新しい。案外、ゴミ拾いのルーツは阪神ファンクラブかもしれない

参議院選挙が終わったら時間を見つけて、もう一回はタイガースの応援に馳せ参じたいと考えている。いまの私にとっては野球観戦が最も有効なストレス解消の手段であり、加えてタイガースの勝利は何よりの良薬(負けが続き、返ってストレスが貯まることもあるのだが・・・)であることは間違いない。どうか、今の絶好調をシーズン終了まで維持して欲しい。

衆参同日選挙はあるのか?

このところ永田町で、衆院の解散総選挙を巡る様々な発言が続き物議をかもしている。以前にこのコラムでも言及したが、ことの発端は4月18日のインターネット番組での自民党幹事長代行・萩生田光一氏の消費増税に関しての発言だ。

萩生田氏は「景気が腰折れしたら何の為の増税か!この先危ないとなれば違う展開はあり得る」と述べ、景気動向次第では10月に予定されている消費増税を先送りする可能性を示唆し、さらに「消費増税を延期するとなれば、国民に信を問うことになる」と続けた。
翌日には自身の発言について「個人の見解であり、政府の方針に異議を唱えるつもりはない」と釈明したのだが…。

その後、北京訪問中の二階俊博幹事長が同行記者団から「衆参同日選」について問われ、「国民に信を問わなければならない差し迫ったテーマはいまのところない」と慎重な姿勢を示したが、「いつ選挙があってもおかしくないのが衆議院議員の宿命だ」とも述べた。

連休に入って解散風はやや納まったかにも見えたが、改元の前日30日に麻生副総理が安倍総理の私邸を訪ねて約2時間にわたって会談したことが、新たな憶測を呼ぶことになる。平成29年9月の衆院解散前にも会談があった。二人が長時間話をすると重要な決定が行われることが少なくない。
今回の話題は、表向きは「連休明けの国会対策や参院選の情勢」だったとされている。その一方で、麻生氏は「10月に消費税を10%に引き上げた後や、来年のオリンピック・パラリンピックの後は、景気が落ち込むと予想される。衆院選をやるなら今年の7月以外に無い」と進言したとの声も聞こえている。

それでも連休直後は、それほど強い風が吹いているとは思わなかったが、5月の半ば以降解散総選挙に関する発言がますます増えている。解散を煽っているのではないかとさえ思えるメディアの報道も相まって、風力が徐々に強まっているようにも思える。
13日には二階幹事長が「衆参同一選をやりたくてしょうがない訳ではないが、首相が判断すれば党として全面的にバックアップして対応していく用意はある」と発言。更に17日の記者会見で菅官房長官が、内閣不信任案の提出が衆院解散の大義になるかどうかを問われて「当然なるんじゃないでしょうか」と答えた。翌日には、甘利選対委員長が官房長官発言について「理屈の上では成り得るが、衆院解散の可能性は低いというのが真意だと思う」と火消しに動いてはいたが…。
20日には再び二階幹事長が「近頃、衆院解散の風が吹きかけているように思う」と語り、その後も与野党幹部の発言が相次いでいる。加えて先日トランプ大統領が発した「7月の選挙後(July elections)」という選挙を複数にしたツイートまでもが憶測を呼んでいる。

とかく解散の理由(大義)は何かが取りざたされているが、その根底となるのは政策の争点だ。これまでの経済政策や政権運営、外交政策、また今回は憲法改正なども争点にはなるが、一番取り上げられ易いのは消費増税の要否だ。すでに、我が党の中からも景気の弱含みを懸念して延期の声があがり始めている。

予てより私は消費増税を争点として選挙を行うべきではないと考えている。少子高齢社会に突入した我が国にあって、長期にわたり増大を続ける社会保障費を賄うには、広く浅く課税でき、安定した税収が得られる消費税に依存せざるを得ないからだ。法人税や所得税では年度間の変動が大きすぎるのだ。これ以上の消費増税の延期は、今を生きる我々の税負担を将来の子どもや孫たちに押し付けることになり、政治的選択としてやってはいけないことだ。

地元の会合でも有権者の皆さんの関心は、解散についての話題に集中している。
私は今のタイミングでの解散は無い(やるべきではない)と思っているが、問われれば「総理に聞いてください」と苦笑しながら応じている。ただ永田町界隈では、「このような生煮えの状況が続くなら、いっそ選挙になった方がよい」という声も出始めている。

客観的に見て、現時点での衆参ダブル選の可能性は5割に満たないだろうが、解散風は一度吹き出すと容易に止まらない傾向がある。6月26日の会期末までの一カ月は政局から目が離せない。
政界は一寸先闇。常在戦場は衆議院議員の宿命でもある。日々緊張感を持って臨みたい。

象徴天皇制

御代替りで10連休となった今年のゴールデンウィーク。
4月30日の「退位礼正殿の儀」で平成が静かに幕を閉じ、つづく5月1日、古式にのっとった「剣璽等承継の儀」により、徳仁皇太子殿下が第126代天皇に即位され令和が始まった。新天皇はその後「即位後朝見の儀」に臨まれ、即位後初めて三権の長ら国民の代表を前にお言葉を述べられた。

4日には皇居一般参賀が執り行われた。全国的に晴天に恵まれたこの日の日本列島、東京では日中25℃を超える夏日となったが、14万人以上の国民が参賀に訪れ、皇居周辺は祝賀のムードにあふれた。
9日の衆院本会議でも、即位に際し「天皇皇后両陛下のいよいよのご清祥と令和の御代の末永き弥栄(いやさか)」を祈念する内容の賀詞奉呈を、全会一致で議決した。

今回の一般参賀で私が最も注目したのは、若い世代の参列者が目立ったことだ。皇室への崇敬の念は年配者に多いものと思っていたが、必ずしもそうではないようである。
ある報道によると、先帝が即位された1989年の世論調査では、「皇室に親しみを持っている」とする回答は54%だったが、直近の調査では76%なっている。

上皇上皇后両陛下の平成の御代30年間にわたり国民に寄り添った活動や、いかなる時も国民と苦楽を共にされたお姿が、親しみを以って広く国民に届いた結果だと思う。
新天皇皇后両陛下がこの道を引き継ぎ、令和流の皇室像、新しい時代の象徴像を国民とともに作り上げられることが期待される。

その一方で、皇室は「皇族数が減少するなかで、いかにしてご公務の質と量を維持し、また、安定した皇位の継承を実現していくか」という大きな課題に直面している。

今回の皇位継承は、平成29年に成立した“陛下一代限りの退位を容認する”特例法によるもので、終身在位を定めた明治以降では初めて。約200年ぶりのご退位が実現した。
この結果、現時点で皇位継承権のある皇族は、53歳の秋篠宮さま、12歳の悠仁さま、83歳の常陸宮さまの3名である。未婚の女性皇族は6名いらっしゃるが、現行ルールではご結婚とともに皇族の身分を離れられることとなる。

今上陛下と皇位継承1位の「皇嗣」秋篠宮さまとの年齢差はわずか5歳。今回同様、陛下がご高齢で退位される事態が生じた場合、秋篠宮さまもすでにご高齢になっておられる。
皇室典範による男系男子による継承を貫こうとすれば、継承2位の悠仁さま、そしてそのお妃さまのご負担は非常に重くなるだろう。

今回の特例法を審議した衆参両院は、一連の皇位継承の儀式終了後に、安定的な皇位継承確保の在り方や皇族数の減少への対応について、政府に対して速やかな検討を求める付帯決議を行っている。
日本国民に浸透し、幅広く受け入れられている“象徴天皇制”を、より安定的に確固たるものにするためにも、国民的な議論を進めることは避けられない政治課題である。

平成から令和へ

今年の統一地方選挙の後半戦、全国218の首長選(市町村長、特別区長)と689の地方議会選(市町村議会、区議会)、あわせて907の投開票が4月21日に行なわれた。

平成28年4月の“女性活躍推進法”成立後はじめての統一地方選で、女性候補の進出が注目されていた。市長選でみると24人の女性候補が立候補し、無投票も含め過去最多の6人が当選した。兵庫県芦屋市では女性候補同士の熱い戦いも繰り広げられた。

前半戦の道府県議選で当選した女性候補は237人で、4年前の207人を超えて過去最多で割合も10.4%とこれまでで最も高い。また、市議選の当選者数においても過去最多の平成15年の1,233人をオーバーし、1,239人となっている。
列国議会同盟が発表した2018年レポート(一院制又は下院)によると、我が国の女性国会議員比率(衆院)は10.2%で、193カ国中165位。女性議員が増加傾向にあるものの、まだまだ道半ばと言えよう。

一方、同日に行なわれた大阪12区と沖縄3区の衆院補欠選挙では、メディアの事前予想では与党候補の苦戦が伝えられていたが、双方とも予想通りの結果に終わった。
大阪は府市統合をめぐる維新旋風、沖縄では基地問題という特有の事情があったとは言え、我が自民党にとっては痛い敗北である。特に大阪は、自民党議員の死去に伴う「弔い戦」であっただけに残念な結果となった。

野党第一党の立憲民主党・枝野幸男代表は、衆参ダブル選挙を想定し、参院のみならず、衆院の候補者についても野党統一候補の擁立を調整すると言及し、野党各党代表と協議をスタートさせた。また、26日には自由党が解党し、国民民主党に合流することが決定した。国政選挙にむけて野党の動きが一段と加速してきている。

先日、萩生田光一幹事長代行が10月の消費税引き上げとからめて、「(延期する場合は)国民の了解を得ないといけない。信を問うことになる」と発言をしたように、自民党の一部にもダブル選挙を主張する意見もあるようだ
しかし、すでに税率UPを前提に平成31年度予算が組まれ、様々な準備作業が進行している。「リーマンショック級の出来事が起こらない限り、消費税UPの延期はあり得ない」との政府見解は揺るがしてはいけない。

「解散は勝てると思う時にやるものだ。理由は後から考えればよい」と言われた元総理がいたが、あまりに党利党略で国民を馬鹿にした話だ。
加えて、中選挙区時代と違って小選挙区で行なわれる今の選挙制度の下では事情が全く違う。「政権交代。」のスローガンで闘った民主党に風が吹いて、自公連立政権が大敗を喫した平成21年の総選挙の悪夢を思い起こすべきだ。

いよいよ27日からゴールデンウィークが始まった。今年は天皇陛下の御代替わりもあり10日間の大型連休となる。テレビでも多くの特別番組が放映され奉祝ムードが盛り上がっている。ゴールデンウィーク恒例の民族大移動も今年は長期滞在型が多いようだ。

国会ではこの連休を利用して海外に出かける議員も多いが、今年は日本にとって時代が変わる節目の時期。私は国内にとどまり新しい時代に想いを馳せたいと思う。
「令和」が素晴らしい時代となりますように・・・。

野党再編は?

今年は12年に一度の統一地方選と参院選が重なる亥年の選挙イヤー。国会審議日程が非常にタイトとなるので政府は提出法案を絞り、加えて対決法案も避けた。その効果で国会は極めて平穏に推移していたが、ここにきて場外での失言に起因する閣僚の辞任、更迭騒ぎが続き、安倍政権は対応に追われている。
この状況に、統一地方選前半戦、大阪の維新以外はもう一つ振るわなかった野党各党が、にわかに勢いづいている。

閣僚の辞任ドミノとも言える光景は、ちょうど12年前の選挙イヤーでも見られた。
当時の第一次安倍政権は、相次ぐ閣僚の不祥事による辞任と消えた年金問題から弱体化、夏の参院選で自民党は歴史的大敗(改選64議席→37議席)を喫した。首相は続投を宣言したものの、自身の健康問題もあり最終的には退陣に追い込まれた。
参院の与野党勢力逆転(自83+公20VS民主109)により、以降の自公政権も苦しい国会運営を強いられ、平成21年(2009年)の政権交代へと繋がっていくことになる。

ただ、今年は前回の亥年と違い、野党勢力が分散しており、参院選に向けた選挙協力も進展がみられない。少々政権批判の声が高まっても、「安倍首相退陣、枝野内閣組閣」といった雰囲気には程遠い。(だからと言って、閣僚が失言を続けて良いというわけではない。)

野党の参院選候補者調整が難航している原因は、野党第一党の立憲民主党(以下、「立民」)と第二党の国民民主党(以下、「国民」)の再編にむけての主導権争いにある。両党とも選挙を意識して、一致点を見出すよりも、むしろ独自色を出そうとする傾向が強まっている。
統一地方選を見ても、両党の支持母体である連合が、官公労中心の旧総評系労組は主に「立民」を支援し、民間労組主体の旧同盟系労組は主に「国民」を支援するという、股裂き状態を強いられている。政策面での相違点は、憲法改正と原発政策だろう。

「国民」は憲法議論には積極的な態度を表明しているが、「立民」は安倍総理の下での憲法改正議論には一切応じないという。
原発に関しては、民主党政権時代にまとめた「2030年代原発ゼロ」の目標を維持して先の総選挙を闘った「立民」は、昨年3月に「原発ゼロ基本法」をいくつかの野党と国会に提案している。一方、電力総連の組織内候補を参院に擁立する「国民」は、「政治的スローガンとして既存原発ゼロを主張するだけでは無責任」と牽制する。

統一地方選前半終了直後、菅直人「立民」最高顧問がツイッターで「「国民」は政治理念が不明確なので解散し、参院選までに個々の議員の判断で「立民」との再結集に参加するのが望ましい」と投稿した。江田憲司氏も「「立民」がもっと積極的に候補者をぶつけていたら、「国民」は壊滅した」と投稿。いずれも統一地方選の結果を受けて、「立民」中心の野党再編成を主張したものだ。もちろん「国民」側はこれらの声に猛反発している。

これらの投稿には身内からも批判が噴出している。野田佳彦前首相は、「対自民党との決勝戦に勝つかどうかが大事なのに、準決勝のことしか考えていない」と苦言を呈した。
旧民主党から現在に至る経緯(民主党→民進党→希望の党→分裂)もあり、「立民」、「国民」両党の感情的なしこりは相当根深いものがある。
イギリスにおいてもブレグジット(EU離脱)をめぐって膠着状態が続き一向に出口が見えない。イギリス国民は「内輪もめと政治ゲーム」にうんざりしているようだ。

国会は経済や国民生活のために政策の方向を議論し、決定する場である。健全な議論のためには明確な政策の対立軸が必要であり、その主体として大きな主張の方向性に応じて結成されるのが政党であるべきだ。そして政党には、細かな意見の相違はあっても、党として一つの主張をまとめ上げる調整能力が求められる。

失言の追及ではなく、しっかりと噛み合った政策議論ができる与党と野党、政権交代可能な二大政党の時代は、いつ来るのだろうか?
とにかく「野党再編が進まない故に、政権与党内に気の緩みが生ずる」といったことがないよう、心を引き締めて選挙戦に臨まなくてはならない。

日本版NEC

 先月27日、平成31年度予算が参院本会議で自公などの賛成多数で政府案通り成立した。一般会計予算総額は過去最大の101兆4,571億円、当初予算で初めて100兆円を超えた。
29日には41道府県議選と17政令市議選がスタート。統一地方選の前半戦は、先に告示された11道府県知事選とあわせて7日に投開票される。政治は一斉に選挙モードに突入した。
政治日程が窮屈な中、先週は党本部で多くの会議が開催され、私にとっても会議室を梯子するほど、とても忙しい一週間だった。

 そんな中、私も所属するルール形成戦略議員連盟(甘利 明会長)で、戦略的外交・経済政策の司令塔となる「国家経済会議(日本版NEC)創設」の提言を急遽取りまとめた。従来、通商政策と安全保障政策は別個のものと捉えられて来たが、今や米中両国は経済力と安全保障を一体化して覇権争いを強めている。我が国もこういった情勢変化への対応を急がなくてはならない。

 デジタル帝国主義をめぐる争いとも呼ばれる米中新冷戦は、ハイテク摩擦、データ(デジタル)覇権争いを舞台に激化している。
 中国・通信機器最大手の華為(ファーウェイ)は、中国都市部を100%カバーするAI監視システム“天網”の基幹技術を担っている。一説には、僅か数秒で20億人の顔が判別できるシステムだと言われている。
この技術を展開すれば世界中の社会を管理(人々の動きを監視し、情報を入手)することも可能になる。中国は2017年に国内外の組織や個人に情報工作活動の協力を義務付けた「国家情報法」を制定しており、ファーウェイ社がこの法律の下に世界規模の諜報活動を行うことも否定できない。すでに同社は、80カ国・約200都市のプロジェクトに関わっており、世界中に“天網”システムが普及してしまう可能性もある。

 また、「一帯一路」(現代版シルクロード)経済圏構想では、AIIB(アジアインフラ投資銀行)によるインフラ投資への資金提供を切り口に、中国の政治的影響力を拡大している。
このような、経済的な外交術を操り安全保障上の国益を追求する経済外交策(エコノミック・ステイトクラフト)は、今後激しさを増していくだろう。

 米国は、英戦終結直後の1993年から国家経済会議(NEC)を設立しているが、中国のエコノミック・ステイトクラフトに対抗するために、NECを更に発展させなければならないと考え、現在、再構築に取り組み始めている。基本的には、国防権限法や安全保障上の最先端技術輸出規制強化や外国企業の対米投資の監視強化だ。

 また、米国はこういった政策の実効性を高めるため、自国のみならずUKUSA協定を締結しているファイブアイをはじめ、我が国および独仏にも同調を求めはじめている。
日本も米国等の要請に受動的に対応するのみでなく、自らの発想でエコノミック・ステイトクラフト政策を包括的に構想し、経済界とともに実行していく仕組みを早急に構築しなくてはならない。

 日本版NECのもとで、主体的に戦略的外交・経済政策を練りあげ、経済的パートナーシップと経済制裁、知的財産管理とデータ流通、国際標準やルール形成といった取組を主導していくこと。そして国際社会の安定と繁栄に積極的に貢献することが、平和を希求する経済大国“日本”の使命である。

*UKUSA協定=ウクサ協定。(United Kingdom-United States of America Agreement)
イギリス帝国の植民地を発祥とするアングロサクソン諸国の機関であること。ファイブアイとも呼ばれ、米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成している。

世界は今

15日、ニュージーランド(NZ)南部クライストチャーチ市のモスクで、男が礼拝中の信者に銃を乱射。地元警察によると、乱射は別のモスクでもあり死者は50人、負傷者は50人に及んでいるとのこと。犯行は「白人社会の再生」を掲げる白人至上主義者によるとのことだ。

NZは移民に寛容な政策をとっており、毎年6~7万人もの移民を受け入れている国だ。現在の人口は474万人だが、間もなく欧州系住民が7割を切るとも予想されているほど
だ。そのような多様性を尊重する安全な国だけに、今回の事件は想定外で、犯人は世界に与える効果を狙ったのではないかとも言われる。

近年、移民を巡る話題は、世界中で事欠かない。
トランプ大統領は、メキシコ以南の中米の国から不法移民を防ぐために国境に壁を建設することを公約に掲げ、その実現を巡って議会と対立している。その議論の最中にも、ホンジュラスなど、中米の国から移民の集団がアメリカを目指し大移動している。

欧州諸国では十年来、移民を巡るトラブルが絶えることがない。これらの国では徐々にナショナリズムが台頭し、政権を脅かす存在ともなっている。
英国ではブレグジット(EU離脱)を巡って、議会は出口が見えない混乱に陥っている。主な理由の一つは、人の移動の自由が保障されたアムステルダム条約による労働力の流動性、他国からの移民の急増により「移民に職を奪われた」とする労働市場の問題だった。

我が国も例外ではない。公式には移民受け入れ政策をとっていないものの、一部の産業分野では外国人労働力なしには成り立たない状況にある。これに対応し、昨年、出入国管理法を改正して外国人労働者の受け入れ拡大を決定した。年末には4月に創設される新在留資格「特定技能」に関する基本方針や分野別の運用方針、外国人全般に対する総合的対応策を閣議決定している。
一定の条件の下で長期滞在や家族同伴も可能となる。今後より多くの外国人が日本社会で生活する時代となることは確実である。

4月以降、基本方針に基づき実施状況を検証するとともに、更なる制度改革を行なう必要がある。これは労働政策だけの問題ではない。その基本は、文化や宗教、生活習慣の違う人々が互いを認めあい共生していくという理念の下に、教育から健康福祉に至る様々なシステムを整え、国民の一人ひとりが理解することだ。もし日本国民の中に排他的な考えが広まれば社会は不安定になり、外国人受け入れは破綻する。
世界各地で起きている様々な事件を対岸の火事と考えることなく、課題を解決することで日常の生活の中に外国人が普通に生活していける社会を実現しなければならない。

いま国会では、近年まれにみるスピードで審議が進んでおり、国内政治は比較的安定しているといえるが、米中経済交渉やブレグジットなど我が国経済に大きな影響が及ぶ問題や、米国とのTAG交渉、北朝鮮問題の新たな展開など我が国を取り巻く環境は大きく変化している。暫くは世界情勢から目が離せない。

*アムステルダム条約=EUの責務として、①自由、安全及び正義の地域を維持、発展させる②人の移動に自由が保障された地域とする③外部国境管理、肥後、移民、犯罪の予防と撲滅に関する適切な政策を融合させる、ことなど。

予算年度内成立

通常国会での最大の懸案は、4月からはじまる新年度の予算の早期成立である。

 

年度末3月31日までに成立しないと、4月分の国家公務員人件費をはじめとする新年度行政経費が執行できなくなる。憲法の規定で予算案は衆議院の議決が優先し、通過後30日で参議院の議決をまたずとも自然成立するので、この時期衆議院通過の日程をめぐり与野党の駆け引きが毎年のように繰り返される。

 

今年の通常国会は例年より遅く召集されたので、審議日程が非常にタイトになると予想されていた。加えて、“防災・減災、国土強靭化”などに資する平成30年度2次補正予算成立を優先したため、新年度予算は2月8日からの審議入りとなった。

 

前回のコラムでも言及したが、今国会の予算委員会での質疑の中心は厚労省の毎月勤労統計の不適切調査問題で、多くの時間が割かれてしまった。

 

野党は、①組織的な隠蔽行為があった、②首相秘書官の関与・官邸ぐるみ、③共通事業所の実質賃金「参考値」の公表など、同じ質問を繰り返している。つまり、アベノミクスの成果をねつ造するために賃金統計が操作されたのではないか?と印象づけたいのだ。

 

森友・加計問題では政権の支持率は大きくダウンしたが、今回の審議を経た後の最近の世論調査をみると、安倍内閣の支持率はメディア各社ともほぼ横ばいである。忖度という言葉でモリカケを連想させ、政権のイメージダウンを計ろうとする戦略が見て取れるが、今のところ功を奏しているとは言えない。

 

アベノミクスの評価や今後の経済政策、イノベーション戦略や人づくり政策、社会保障制度改革など、我が国の将来像について議論すべき重要課題が山積している。国際関係では日ロ外交交渉、日中関係、日韓関係、また米国とのTAG(物品貿易交渉)問題への対応も急がなくてはならない。米朝首脳会談の合意形成失敗により、朝鮮半島との外交戦略も再構築を迫られている。

 

しかし、国会では政局が優先され、大切な国民と国益のための政策議論がおろそかになっている。もう少し違った時間の使い方をすべきと考えているのは、私だけではあるまい。

 

今年の予算審議で一つ「おやっ」と感じたことがある。従来は野党第一党・立憲民主党の枝野幸男党首は対決型、第二党・国民民主党の玉木雄一郎党首は提案型であったのが、立ち位置が入れ替わったのだ。両党は参議院第一会派をめぐって激しい議員獲得競争を繰り広げている。おそらくこの争いも、従来の戦術を変化させているのだろう。さらには今年は4年ごとの統一地方選挙と3年周期の参議院選挙が重なる。少数野党にとっては存亡をかける選挙イヤーである。各党はこれからも春と夏の選挙を意識して独自性の発揮に腐心することになるのだろう。

 

新年度予算の年度内成立期限は3月2日の衆議院通過。激しい野党の論陣で審議がストップすれば暫定予算の編成が必要となるところであったが、幸い審議が空転することもほとんどなく、2日未明の衆議院本会議で予算案を可決し、とにもかくにも今年も年度内成立が確定した。

 

あと2カ月で平成の御代が終わる。平成の30年を総括するとともに、来るべき新しい時代に向け、政治の果たすべき役割について改めて考えなければならない。

 

TAG(Trade Agreement on goods)=複数国の間でモノにかかる関税引き下げや撤廃について定める協定。農産物や工業用品なども交渉対象。