未来への責任

去る22日、第26回参議院通常選挙が公示され、7月10日の投開票にむけた選挙戦がスタートした。通常選挙の期日は公職選挙法32条3項で、少なくとも17日前に公示しなければならないと定められている。最近では最低限の17日前に公示されることが通例となっていたが、今年の場合、17日前は23日となり沖縄の「慰霊の日」と重なる。この日は、公示になじまないとの理由から、今回は1日前倒しして異例の18日間の選挙戦となった。

選挙戦最初の週末は日本列島を30度越えの猛暑が襲い、全国各地で6月の最高気温が測定された。そんな中、私は兵庫選挙区でわが党の公認候補、末松信介(文科大臣)さんの応援で街頭に立った。
私が初出馬した36年前の衆参ダブル選挙も7月6日投開票の酷暑の選挙戦だった。当時は若さに任せて、無我夢中で乗り切ったが、この季節の選挙は本当に体力を消耗する。暑いさなか街頭に足を運んでいただいた支援者の皆さんに、心から感謝を申し上げたい。

今回の選挙では、円安、原油・物価高騰などの経済対策や、ロシアのウクライナ侵攻をうけた外交・安全保障、憲法改正が主な争点となっている。新型コロナウイルス対策の検証と次なる感染症への備えも論じられている。就任時からこれまでの岸田文雄首相の政権運営に対する評価も問われることになる。
中でも最も関心を集めているのが経済対策、特に物価高騰については野党が攻撃材料として政府の無策を批判している。

立憲民主党の泉健太代表は「岸田インフレ」とレッテル張りし、国民の不満の受け皿になるべく論戦を展開している。また、円安の原因である内外の金利差の是正として金融政策の転換を主張している。確かに急激な円安は好ましいとは言えないが、このタイミングでの金融引き締めは、景気後退の引き金となりかねない。正しい選択とは思えない。

各党の公約を見ると、ほとんどの野党が消費税の引き下げや廃止に言及している。一方で、消費税減税による財源の穴をどうやって埋めるのかは示されていない。

物価高の主たる要因はエネルギーと食料品である。短期的には、この両分野に特化した緊急措置を講じるという政府の方針は適切だ。

その他の論点の差異は概ね二つのグループに分類される。

①エネルギー政策については、原発の再稼働を容認するグループ(新基準を満たした上で、地元住民の理解が前提)と、そうでないグループ。②外交安全保障、特に防衛費の増額について、積極的なグループと、そうでないグループ。③憲法改正について(関心事は異なるが)、改正に積極的なグループと、そうでないグループ。

自民、維新、国民、N党は基本的な考えは近い。逆に立憲(安全保障は少しニュアンスが違う)、共産、社民、れいわは同じ方向を向いていると言える。

これらのことから、経済政策を除く主な論点(原発、防衛費、憲法改正)については、今回の選挙結果で民意が収斂されるのではないだろうかと、私は考えている。

世界秩序が大きく変ろうしている今、日本の針路を定める「新しい国家戦略」の策定が急がれる。この国の未来について、党派を超えて議論を進めることが政治に求められている。

参院選が終われば、(衆院の解散がなければ)3年間は大型の国政選挙はない。この選挙で勝利し、志を同じくする同志と共に、この国の未来に責任を果たして行きたい。今年もまた、暑い夏になりそうだ。