黄金週間

今年のゴールデンウィークは4月26日(土)から5月6日(火)まで。3日以上の連休は憲法記念日から6日までの4連休が1回のみと、ちょっと小粒のGWとなった。思い切って間の平日を休んでしまえば最長で11日間となるが…。皆さんはどのような黄金週間を過ごされているだろう。

1月から審議に追われてきた大臣たちにとっては、国会から解放されるこの期間は正しくゴールデンウィーク。1年を通じても数少ない、まとまった時間が確保できる季節である。そもそも国会の拘束時間が長い日本の閣僚は、諸外国のカウンターパートナーと接触する時間も自ずと少なくなり、相互の信頼関係の確保にも苦労している。そのハンデキャップを跳ね返すためにも、この時期に閣僚の外遊が集中することになる。

私も文部科学大臣就任時には教育担当大臣の国際会議に出席するためにベルリンを訪問したが、往路でサウジアラビアに立ち寄り、教育分野での日・サウジ協力について担当大臣との会談も行った。
グローバル化が進展する中で、閣僚が外国訪問や国際会議への出席など海外に出張して、わが国の考えや政策スタンスをアピールしなければならない機会は益々多くなっている。

それにも関わらず、我が国会では過去の慣例や与野党間の駆け引きが、閣僚を永田町に縛り付けてしまう。例えば、日本の首相は党首討論や本会議、各種委員会など年間127日も国会に出ている。これでは外交等の仕事に割く時間が充分とは到底言えない。同じ議員内閣制でもイギリス首相は36日、ドイツの首相は11日、フランスは大統領制ではあるが12日しか国会に出席しない。

現在、国会ではこのような硬直的なルールの見直し議論が行われている。例えば、首相の委員会への出席を予算委員会に限定する、各委員会での答弁は副大臣や政務官が担当するといった案が提案されている。
二度の政権交代により、ほとんどの政党が与党と野党を経験した今、もっと機動的で柔軟な国会運営ルールが必要なことは、与党経験者の誰もが理解しているだろう。旧態依然とした国会運営を改革することで、各閣僚に時間的な余裕ができ、より充実した政策テーマの遂行や国益に沿った外交の展開が可能になる。

話を目の前のGWに戻すと、今年の閣僚外遊は特に大型だ。安倍首相が欧州6カ国を歴訪するほか、全18閣僚のうち15人が海外に出かける。中国や韓国の反日キャンペーンに対抗する意味合いもあり、訪問国は欧州からアフリカ、中央アジアまで、のべ40カ国にも及ぶ。日本の積極的平和主義を世界にアピールするとともに、成長戦略の要となる経済連携の強化の面でも大きな成果を期待したいところだ。

一方でこの大規模外遊、少々気になる点もある。これだけ大量の閣僚が一斉に海外に出ている最中に、有事が発生したらどうするのか?と言う点だ。国家安全保障会議の主要9閣僚のうち、我が国に残るのは、官房長官と国家公安委員長のみになる時期もある。お隣の国では核実験を行う姿勢をみせており、自然災害はいつどこで発災するかもしれないだけに心配だ。今は、なにも起こらないことを祈るのみだが、万が一に備えるという観点から閣僚外遊の調整が必要かもしれない。

5月中旬から再開する国会論戦では、首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」からの提言をベースに、いよいよ集団的自衛権の議論が本格化する。昨年策定した「国家安全保障戦略」に基づく具体的政策展開に向け、先週の二つの選挙(衆院鹿児島補選、沖縄市長)の勝利におごることなく、より謙虚な姿勢で政権運営をしなければならない。

「勝って兜の緒を締めよ」。今はまさにその時だ。