最近の永田町

今国会の会期末は6月22日、あと1ヵ月の審議期間が残されているというのに、早や会期延長の話題で永田町が騒がしい。
菅総理周辺に「(自己防衛のために)国会を早く閉じたい」という空気が漂っているからだ。議論すべき課題は山積しているのに、何故、通常国会を会期末で閉じようとするか…。全く理解できない。

23年度の赤字国債発行を認める特例公債法案をはじめ、多数の重要法案の審議が震災対応のため先送りされてきた。1ヶ月ですべての法案審議が尽くされるとはとても思えない。

被災地支援にしても、当面の生活支援や復旧に対応する第1次補正予算こそ成立したが、一日も早い復興に向けてさらなる予算措置や特例制度の創設が必要だ。
日々刻々と変化する被災地の実情に迅速かつ的確に対応するためにも、国会は臨戦態勢を維持しておくべきだろう。先行きの見えない避難所生活を強いられている方々に、「6月で国会を閉じる」などという論は通用しない。

被災地の復興のみならず、原発事故の検証や今後のエネルギー政策のあり方についても、早急に議論しなくてはならない。
デフレ対策や経済成長戦略の構築も必要だ。本来であれば、6月中にはTPPへの対応も決定するはずだった。

間もなく取りまとめられる社会保障制度と税制の一体改革案についても、二次補正も含め復興財源の根幹とも関わるのであれば、即座にその是非について審議をスタートさせるのが筋だろう。
震災前に行われていた度重なる総理の協力要請は、言葉だけのパフォーマンスだったのか?

そういえば昨年の今頃も、鳩山→菅と内閣が代わったにもかかわらず、参議院選挙を有利に戦うためか、予算委員会も開催することなく一方的に国会を閉じてしまった。
一部で報道されているように、政権延命のために会期延長はしないということなら、言語道断、無責任極まりないと言わざるを得ない。

大震災の発災以来、鳴りをひそめていた菅総理の退陣論も、再び顕在化し始めている。
先週には西岡参議院議長までもが「菅総理をG8サミットに出席させるわけにはいかない」と激しい退陣論を表明した。

普通であれば、このような国家非常事態の折りに、誰も政局騒ぎで時を費やすことは望まないだろう。にもかかわらず、与野党を問わず多方面から退陣を迫られる理由を、総理はどの様に受け止めているのだろうか?

「一生懸命やっている」と総理は言うが、先週各メディアが行った世論調査でも、内閣支持率は低迷を続けている。言葉だけで「野党の皆さんにも協力をお願いしたい」とくり返すだけでは何事も進展しない。

総理は、寄せられる批判をもっと謙虚に受け止め、自らにもその原因があると反省し、誠意のある協力要請をなすべきである。
どうしてもその発想に立てないのなら、貴方は「歩く風評被害」と言われても仕方ない。貴方が一刻も早く退陣を決意することが、救国への第一歩となるだろう。