昨年の今頃、私は来るべき総選挙に向け日夜地元で活動を続けていた。
朝の駅立ちから始まり、日中は街頭でマイクを握り我が党の政策をアピール。夜は引き続き後援会の会合や地元のイベント参加と、返り咲きを目指し多忙な日々を過ごしていた。
平成21年の政権交代から3年が経過し、その間、鳩山、菅、野田と3代の民主党内閣が誕生していたものの、国を運営するにあたり外交、内政とも能力不足、経験不足、胆力不足を露呈し、山積する内外の諸問題に対処できず、数々の失政を重ねた。
当時の野田政権は衆参のねじれ国会によって何事も決めきれないと揶揄されていた。財政再建を一枚看板に消費税増税、つまり“社会保障と税の一体改革”を掲げ、「近いうち解散」を国民に約束し、民・自・公による3党合意を取り付けたまではよかった。だが、民主党内の激しい抗争により離党者が続出、一方、自民党でも次期首班に直結する総裁選が9月に実施され、夏から秋にかけて政局は解散含みで大きく揺れ動いた。
私自身は長年培ってきた与野党の同僚からの情報で、年内解散総選挙の可能性がかなり高いと予想していたが、解散の主導権を握る政府・与党民主党のなかでは世論調査動向の分析を通じて厭戦気分が広がり、総選挙は早くとも年明け、通常国会冒頭との見方が永田町では支配的だったように思う。
政界では「一寸先は闇」とよく言われるが、その言葉を絵に書いたような事態が昨年の11月14日に起こった。
その日の播州地方は穏やかな小春日和で、稲美町の六分一交差点での街頭広報活動を終えて、午後3時から始まった国家基本政策委員会での党首討論に聴き入った。
カーTVの映像は安倍自民党新総裁がゴールドストライプの勝負ネクタイを締め、高揚感溢れ気味に「(消費税増税法案成立で)私たちは約束を果たした。あとは勇気を持って(解散を)決断してもらいたい」と詰問。それに応える形で野田首相は、「消費税を引き上げる前に国民の皆様に約束して欲しい。特例公債の発行。そして一票の格差是正と国会議員の削減。定数削減は来年の通常国会で成案を得る。それまでは議員歳費2割削減する。約束していただければ、16日に解散をします。やりましょう、だから」と、逆提案。
「いま、首相、16日に解散する(と言った)。約束ですね。よろしいんですね。よろしいんですね」と、いささか興奮気味の安倍総裁。解散総選挙の流れは一気に決した。
光陰矢のごとし、あれから早や1年が経過しようとしている。アベノミクス効果もあり景気指数は回復し出した。今のところ内閣支持率は高く自民党支持率も安定している。
永年のデフレから脱却することが、安倍内閣と連立与党にとって第一の命題である。正に、これからが正念場だ。
昨年の我が党の選挙公約は“「日本を取り戻す」。”
その公約を実現し、もう一度日本を世界のなかで輝く国にしなければならない。
それが「未来への責任」だと、改めて思う今日この頃である。