党首会談決裂!

民主・自民両党の党首選後、秋休み状態になっていた国会だが、先週になってようやく自・公・民の3党党首会談が行なわれた。
しかし、輿石幹事長の「野田総理から、何らか具体的な提案がある」との予告にもかかわらず、残念ながら総理から何ら新しい提案はなく、解散時期を巡る双方の主張はすれ違いのまま、会議は決裂した。なりふり構わず、解散総選挙の引き延ばし作戦に入ったと思われる民主党の対応をみていると、今後も建設的な提案がでてくるとはとても考えられない。

民主党側の対応は全く不誠実なものである。しかし、このまま不毛の口げんかを続けていても膠着した局面は打開できない。国民の政治不信はますます高まり、世界各国からは日本政治の混乱を嘲笑されることになるだろう。
ここは我慢のしどころ。自民党としては、月末にも召集される臨時国会において、審議拒否戦法を放棄し、しっかりとした政策議論を通じて国民に政府与党の不誠実さと無責任さをアピールする方針に切り換えるべきだと私は考える。

まずは、特例公債法案と衆議院選挙の一票の格差是正、そして一体改革関連法案で定めた社会保障制度改革国民会議の設置への対応である。

そもそも特例公債法案は予算案と一体で審議すべきものであり、特例法案が成立していないから予算執行ができないというのは本末転倒だ。両者を切り離して、通しやすい予算案のみを強行採決するからこういう事態を招いている。少々細かい実務論を言えば、この法案が無くとも財務省が短期証券を発行(1年以内の借入)して凌ぐことが可能だと思う。
だが、知恵も工夫もない民主党は、この法案なくしては予算が枯渇すると言い張り、既に国民生活に関わる予算の執行を保留すると言う、国民生活無視の無責任な対応をし始めている。であれば、我々もこの法案を「人質」にするような戦法をとっても効果が薄い。

ただ、予算案に反対した野党が無条件で原案に賛成することは難しい。「24年度予算には無駄があり削減すべきである。無駄な予算を執行するための借金の片棒は担げない」というのが我が党の主張である。3月初めには組み換え動議も提出している。
政府はそれらの点にについて見解を明らかにし、合意形式を図る努力をすべきである。

衆議院選挙の一票の格差問題も、昨日今日出てきた問題ではない。最高裁による違憲判決が下されたのは2011年3月のことである。それから1年半余り、改正案を議論する時間は十分にあったはずだ。自民党は昨秋「小選挙区0増5減」案を提示したが与党は議論に応じず、6月になって突如「0増5減」に「小選挙区比例代表連用制」とう難解な仕組みを加えた法案を国会に提出し、しかも8月に衆議院で強行採決を行った。

制度の根本を見直すような選挙制度改革には相応の時間を要する。それは年単位の時間をかけて計画的に議論するとして、今はまず違憲状態を解消するための「0増5減」を優先すべきだ。

社会保障制度改革国民会議には、議論の期限が来年の8月21日までと法定されている。
充分な時間を確保する為にも早急に会議を設置し、議論をスタートさせるべきだ。
この会議こそが三党合意の成果と言うべき、政策決定の新たな仕組みのひな形である。
来るべき総選挙や来年の参議院通常選挙の結果如何に関わらず、誰が与党になっても野党になっても、政争の具とせず継続して建設的な議論が行われる必要がある。
政権交代により与野党の立場が逆転し、共通の理解の土俵ができた今こそ、新しいルールを定めるチャンスだ。今後社会保障のみならず、外交や安全保障についても国民会議を設置すべきではないだろうか。

この3つの条件が整えば解散を先送りする理由はなくなる。それでも解散を実行しなければ「野田総理は大嘘つき」であることが天下に示される。

デフレ脱却をめざす景気対策、近隣諸国との円滑な外交の回復、逼迫するエネルギー問題への対処等々、日本の行く手には課題が山積している。だが、三年余の政治運営を見る限り現在の民主党政権には、これらの課題への対応能力があるように思えない。一日も早く解散総選挙で国民の手によって政権をリセットする事が求められている。