平成最後の新年が明けて、気が付けば早や3週間が過ぎた。「歳をとると時間が経つのが早くなる」と言われるが、まさにその言葉を実感している。
今年の年頭の挨拶では、昨年の一文字漢字“災”や、5月の改元に触れたものが多かったが、「平成」の時代が終わるにあたってこの30年間を総括する話題も数多く報道された。
昨秋NHKは、平成という時代に当てはまるイメージを8項目提示して調査を行った。
当てはまる割合が最も高かったのは、「戦争がなく平和」が79%、次いで「治安が良い」56%、以下は「男女が平等」48%、「民主主義が成熟」47%と続く。一方、「経済的に豊か」は40%と低く、更には「家族の絆が強い」が36%、以下「地域が助け合う」36%、最も低かったのは「社会的弱者に優しい」で30%にとどまった。
この調査結果からは、平成という時代は我が国にとって平和な時代であったが、経済成長は停滞して人間関係は希薄となり社会的弱者には厳しい時代であったと、考えている国民が多いといえる。
また同時に行なわれた別の調査では、10分野について平成時代に日本は良くなったと思うか、悪くなったと思うかを尋ねているが、良くなった答えた割合が高いのは、「情報通信環境」が88%、次いで「道路交通網」が82%、以下は」防災」75%、「医療・福祉体制」65%、「教育」55%と続く。一方、悪くなったと答えた割合が高いのは、「政治への信頼」で75%、ついで「日本を取り巻く国際情勢」が71%、「国の経済力」は70%となっている。
私が最も気になったのは「政治への信頼」で、悪くなった75%に対して良くなったと答えた割合は僅か22%でしかなかった。
私の初当選は昭和61年(1986年)7月。2年半後の昭和64年(1989年)1月7日に先帝が崩御され、昭和が幕を閉じ平成の時代が始まった。即ち、私のこれまでの政治人生のほとんどは平成の時代のものである。
その平成の時代に「政治への信頼」が悪くなったと考えている国民の割合が、良くなったと考えている割合の3倍以上もあるのだ。
「無信不立」を政治信条とし、事あるごとに政治への信頼回復を訴えてきた私にとって、この調査結果は非常に厳しいものである。加えて政治のみならず、このところの文科省天下り問題や財務省の公文書改ざん問題、厚労省の労働時間調査の不備など、政府内の相次ぐ不祥事で政府(官僚)への信頼も大きく揺らいでいる。
昨年末には、再び厚労省の「毎月勤労統計」調査ミスが発覚し、作成したばかりの平成31年度予算案を修正する事態に至り、政府への不信感は更に高まっている。
我が国ではかつて「官僚一流、政治家三流」と揶揄され、政治が少々おかしくなっても優秀な官僚がしっかりと国家を運営すると言われた時代もあった。政治主導と言われる昨今では、逆に政治がしっかりして高い能力を持った官僚組織を機能させる必要がある。
しかし、最新の共同通信の政党支持率世論調査では、自民(39→36%)、立民(12→9%)、公明(4→3%)など、各党とも軒並み前月から支持率が下がっている。
唯一支持率が上がった?のは、支持政党無しの無党派層で36%から44%と大きく増えている。国民の2人に1人が支持政党無しと言う時代だ。
先週日曜日に行なわれた赤穂市長選でも自民、立民、公明など、与野党相乗りの現職が一切の政党支持を受けない新人に負ける結果となった。
今年は4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙が行われる選挙イヤーである。その主役であるはずの各政党は危機感を持って臨まなくてはならない。
まずは、信頼回復が政治の喫緊の最重要課題であることは論を俟たない。