代表質問に思う

1月28日の安倍総理の所信表明演説を受け、30日から各党の代表質問が始まった。いよいよ本格的な国会論戦のスタートだ。野党としての本会議経験が欠落している私にとっては、見慣れた光景に思われた。しかし、3年余りの間、議場の反対側に追いやられ、民主党の所信表明、施政方針を聞かされてきた同僚議員には感慨深いものがあったようだ。

自民党は結党以来、ほんのわずかの時期を除き常に衆議院本会議場の半分以上を占めてきた。野党となった細川連立内閣時代といえども、比較第一党の地位は維持していた。それが、この3年間だけは民主党の半数足らずとなり、自ずと存在感も薄れつつあった。政権奪還を何よりも実感できるのは、この本会議場での議席占有面積だろう。

“野次は議場の華”といわれるが、与党議員が圧倒的に多いためか、民主党議員が意気消沈しているためか、安倍総理の演説や答弁に対して痛烈な野次や怒声が浴びせられることは殆どなかった。与党からの盛大な拍手を除けば、議場が思いのほか静まりかえっていることには、いささか驚いた。議席の前半分を占めている新人議員たちも、まだ議場での声を上げるタイミングを計りかねているのか、それとも大人しい人格の持ち主が多いのか、とにかく今のところは礼儀正しく質疑を聞いているようだ。

26年前、私も本会議場の最前列に議席を与えられていた。あの時は、何も分からないまま座っていた我々新人議員に、国会対策委員長から次々と指示ペーパーが回ってきた。そこには「野次り倒せ!」等々の文字が書きなぐられていたものだ。今は静かに座っている新人議員にも、いずれ同じような指示が出されるのだろうか…。

私が初めて当選したのは1986年7月7日の衆参ダブル“七夕選挙”だ。同期生は47名。今日まで一度も落選することなく活動を続けている代議士は、自民党の石破茂幹事長、維新の園田博之氏など5名だけだ。今回、私と盟友の三原朝彦氏、そして中山成彬(維新)氏が返り咲いたが、現時点で現職として活動している議員は、参議院に転じた鴻池祥肇氏と前田武志(民主)氏を加えても10名のみとなった。

「新党さきがけ」で行動を共にした武村正義さんや井出正一さんはすでに政界を引退されているし、武部勤さんや笹川尭さん、大野功統さんらは今回の総選挙で退かれた。民主党でも鳩山由紀夫元総理が引退、元総務大臣の川端達夫氏は落選された。すでに鬼籍に入られた方も数多くおられる。

来し方を振り返ってみると、初当選同期組は与野党の壁を越えて繋がり、語り合える仲間たちだ。既にベテランの域に入った我々だが、これからも10名の縁をさらに深め、国家のために尽くさねばならない。

そう言えば新人の頃、今回引退されたある長老議員から教えられた。「本会議場は普段会えない先輩に、何かとお願いし、教えを請う絶好の機会だ」と。
今、立場が変わって、自分は新人からお願いされる、教えを請われるに足る先輩たり得るのだろうか? そう言われるように、しっかりと襟を正して本会議に臨まなくてはならないと、決意を新たにしている。