政権復帰への道

国民が政権交代を選択した平成21年の夏から、早くも2年余が経過した。
与党として政権運営に携わるのを常としてきた自民党ベテラン議員にとっては、とても長い年月だ。力を発揮する機会のない野党暮しに、フラストレーションが溜まりに溜まっている。

その結果が「解散総選挙に追い込め。追い込めない総裁は駄目だ」との強い意見となって表面化している。
心情としてはよく分かるし、一日も早く議席を回復したいとの思いは私も同じだ。
しかし、今は解散を求めるべき時だろうか?

震災復興、経済対策、財政再建、社会保障制度改革など、今の日本には至急に解決策を講ずるべき政策課題が山積している。いや、これまでの政治の無策故に、積み上がってしまったと言った方が正しいかもしれない。

国民は有効な政策の実行を求めているのであって、政治家の空疎な権力闘争を望んでいるのではない。
それにいくら「解散」を声高々に叫んだところで、解散をするしないは民主党代表である総理が決めるのだ。

政策立案への関与は、総理の座を奪わなくとも可能だ。野党であっても、法案の提出はできるし、国会での創造的な議論を通じて法案、予算案を修正することもできる。

確かに、2年間の民主党政権の政策運営が見るに堪えないのは事実だ。
普天間基地問題で日米安保体制が傷つき、中国やロシアに領土問題でつけ込まれる。経済成長戦略はお題目だけで、TPPへの対応も中途半端。子ども手当てをはじめとするバラマキ施策群は財源が見つからず方針が二転三転。さらに東日本大震災からの復興や原発事故対策は遅々として進まない…。もう一つ、政治資金疑惑への対処もすっきりしない。

失政を追求するネタに事欠かないのは確かだが、今は我慢の時。日本の行く末を左右する重要課題の解決を急ぎ、この国の閉塞感を取り除くことが先決だ。
そのために、自民党も自らの政策案を積極的に提示し、与野党が前向きに議論を行わなくてはならない。

民主党政権の度重なる失政にも関らず、自民党への支持は一向に回復していない。
世論調査では「自民党の出直し、再度の政権復帰を期待する」という意見は、2年前には6割を超えていたが、今は3割にも満たない。
従来の野党の戦法=かつての民主党のような与党批判一辺倒では、「政権復帰」の見通しは立たないということがはっきり数字に表れている。

今こそ責任政党である自民党が、自らの政策立案能力を磨き、新時代の“野党”の姿を示すべきときだ。そして、政策論議を通じて、この国の舵取りは自民党に委ねるべきだと国民から評価されなければならない。
回り道のようだが、それが政権再交代への近道となるだろうと私は考える。

先週20日から臨時国会がスタートした。野党が自らの政策をアピールするチャンスだ。
建設的な議論を展開して、大いに野党・自民党の存在感を示して欲しい。